EC物流も効率化できる

 店舗物流ではZARAのようにSMI(Store Managed Inventory:店舗が部分的にせよ品揃えと在庫のコントロールを担う体制)で店舗に販売消化責任を問えば「スルー物流」が可能だし、しまむらのように自前のルート便できめ細かく店間移動するなら「トランスファー物流」が可能だし、ドラッグ商材のようにVMI(Vendor Managed Inventory:納入業者に品揃えと数入れ、在庫管理を委託する方法)の問屋物流を活用すれば倉庫物流そのものを必要としないが、個々の注文に宅配出荷するECでは「棚入れ」「摘み取り」が不可避と考えられがちだ。

 ZOZOが取扱高の拡大をにらんで6施設計43万平米にも倉庫スペースを拡大しているのは在庫を預かる「フルフィル型」に固執するからだが、「棚入れ」しては広大な倉庫スペースが必要になるし、倉庫管理やピッキングの手間とコストを免れない。出品側にしても在庫を預けると一元的な引き当てと出荷が難しく在庫効率が低くなるから、C&C(クリック&コレクト:ECと店舗の連携と店舗の物流拠点化)を進める先行的なアパレル事業者は「フルフィル型」のECモールからいずれは離脱する。それが「ZOZO離れ」の本当の真相だ。

 受注してからECモール側の倉庫に移送して宅配出荷する「出荷委託型」なら出品側の在庫効率を損なわないし、ECモール側も「種まき」でスルー出荷することができる。移送の時差もミルクラン集荷でミニマムに抑えれば、宅配便のデイサイクル集荷に間に合う比率を高められる。そんな当たり前のことをZOZOが理解するなら、「フルフィル型」に固執しないで不要な倉庫スペースに投資せず、「ZOZO離れ」も広がらず、「種まき」で出荷も格段に効率化できるはずだ。

 ECモールが注文の宅配情報を配信して出品側が宅配出荷する「マーケットプレイス型」なら元よりECモール側の棚入れもピッキングも不要だが、それでは出品側の棚入れとピッキングが負担になる。どちらも棚入れとピッキングを要せず「種まき」でスルー出荷するには「受注先行」が不可欠で、D2C(Direct To Consumer:メーカーが顧客に直接販売するビジネスモデル)なパーソナルオーダーや受注生産なら当たり前に適応できるが、そんな場合でもいったん、棚入れするケースもあるから問題意識が問われよう。

 アマゾンでは「シッピングコスト」が自ら宅配出荷する商品販売額の13.3%(2018年12月期推計)を占め、ZOZOでも「荷造運賃」が取扱高の6.5%(18年4〜12月)を占めるが、これは宅配外注費であって倉庫内物流費用(賃借料や人件費/外注委託費)は含んでいない。宅配外注費の圧縮には一括店舗物流を活用するC&Cが決定打だが、店舗網を持たないEC事業者は独自のお試し受け渡し拠点(TBPP:Try Buy Pickup Point=中身を確認したり試着してから購入や返品ができる受け取り拠点)を布陣しない限り享受できないから、小売チェーン側のアドバンテージとなってしまう。

 ならばEC事業者は倉庫内物流費用の圧縮に注力すべきで、「種まきスルー出荷」の自動振り分けシステムを整備して「出荷委託型」取引や「受注先行」商品を拡大すべきではないか。さすれば過大な倉庫スペースも実用性の疑わしいロボットピッキングも不要になるはずだ。

※本稿をより理解するには『プライム会費値上げで露呈した宅配依存というアマゾンの弱点『ZOZOSUITS大コケで分かった「ECフィッティングの本命はTBPPだ」』の併読をお勧めする。