イラスト/永谷せん

お待たせしても、お客さまをニッコリさせてしまうテクニックとは

 待ち合わせの時間に遅れるというのは、仕事でもデートでも相手に対して大変失礼なことです。相手の信頼を一気になくしてしまう危険性がありますから、時間にルーズな人は大いに反省するべきでしょう(恥ずかしながらこれは自戒の意味も込めております)。

  しかし、時には車の渋滞や電車の事故など、不測の事態が起きて遅れてしまうことはあります。そういう場合はどうすればいいのでしょう。

  到着時間を予測して、ばか正直に「あと15分で着きますので」と電話やメールで相手に伝えるのは考えもの。もし、それ以上時間がかかってしまった場合、余計に相手を不快にさせてしまうからです。

「あと20分ちょっと」と、少々サバを読んで伝えておくと、その時点では相手に不快感を与えるかもしれませんが、結果として15分で駆けつければ、「おや、意外に早かったね」と思ってくれるもの。

 相手は20分ちょっと待たされる覚悟をしていますから、頑張って5分早く駆けつけたあなたに好感を持ってくれる可能性だってあるのです。

  相手をそういう気持ちにさせてしまう手法を『ハイボール・テクニック』と呼びます。

 野球で例えると、「今度投げる球は高くなりそうだから気をつけて捕球してね」と忠告して、わざと相手を緊張させ、実際は普通の高さの球を投げて相手をホッとさせるというわけです。

  遅れを取り繕うためにあなたが使うエネルギーは全く同じなのに、言い方次第でこうも相手の心境は変わってしまうということ。これと似た状況は、接客中にもしばしば起きることです。

 例えば、商品の在庫を調べるためにお客さまをお待たせしなければならないときがそうです。「調べてまいりますので、少々お待ちください」。そう言って、待てど暮らせど戻って来ないのでは、お客さまはしびれを切らしてしまいます。

 では、どうすればよいか。

 そのヒントを教えてくださったのが、あるショップを経営しているNさんでした。「うちではスタッフにクッキングタイマーを持たせているんですよ」

 Nさんによると、在庫調べなどでお客さまをお待たせするときは、スタッフが状況に応じて1分とか3分とセットしたタイマーをお客さまの目の前に置いて、速やかに在庫調べに走るようにしているのだとか。 

 そして、必ずその時間以内に戻ってくるようにしているというのです。

「駅のホームでも、『まもなく電車が来ます』というサインが出るだけで安心するでしょう。それと同じ効果があると思うんです」とNさん。なるほど、人は何も情報を与えられずに孤立させられると、不安を抱くようになるものです。

 タイマーで「3分待てばいい」という情報を与えてもらえれば、お客さまは安心して待つことができるというわけです。しかも、3分かからずにスタッフが戻ってくれば、『ハイボール・テクニック』の効果が働いて、お客さまのスタッフに対する信頼度・好感度もアップする可能性が大です。

 そうそう、今ならクッキングタイマーを用意しなくても、スマートフォンで用は足りるようです。というのも、クッキングタイマーのアプリが無料で簡単に手に入るから。

 このアイデア、あなたのお店でも取り入れてみませんか。