2018年度 第15回JSA大賞ディスプレイコンテスト総評

椎野伝一氏

 15回目となったJSA大賞ディスプレイコンテスト、ここ数年で各参加店のプレゼンテーションのレベルアップは目を見張るものがあります。ファッショントレンドを上手に取り入れ、洗練されたコーディネートのものが多く見られ、以前のようにただ商品を置いてあるだけというものは皆無になりました。

 しかし一方で、その店らしさやオリジナリティといった面での個性や新鮮さを感じるものが少なく、結果、今回は残念ながら大賞が選出できませんでした。一瞬でお客さまの目を引き付けるパワーや時代性が、どの応募作にも感じられなかったことが一番の理由です。上位店の間には技術的な差はほとんどありません。ぜひ次回は審査委員がワクワク・ドキドキするような作品を期待します。

 皆さんは「ディスプレーした商品が売れる」だけで満足していませんか。ディスプレーすれば、ただ陳列している物より売れるのは誰にでも理解できます。しかし本当の意味は、ディスプレーのやり方を変えたら、

①入店客数が増えた

②店全体の売上げが上がった

③商品の回転率が上がった

④プロパーで消化率がアップした

 などの効果がなくてはなりません。ディスプレーが自店の商品計画や販売計画に基づいたものであることが必要です。

①自店の主力商品は?

②ライバルとの差別化ポイントはどんな点?

③主力となるのはどんなお客さま?

④自店のスタイリングの特徴は何?

 ディスプレーは売るための仕掛けです。ディスプレー商品は他に比べて何倍も早く売れます。だからディスプレー商品はあらかじめ在庫を増やすか、追加ができるように準備をして、販売チャンスを逃さないようにすることが大切。でなければ単に早く売り切れたというだけで、全体の売上増に貢献できたことにはなりません。

 このように考えると売場づくりやディスプレーは、人に頼らずに品揃えコンセプト、商品の特徴などをお客さまに伝えるのに極めて有効なツールといえます。それは近年の課題である人不足への対応にも役立つはずです(=ディスプレーやPOPは第二の販売員)。

 また従来、人の仕事だったお客さまへのさまざまな情報提供業務が、売場作りやディスプレーで可能ならば、スタッフの作業量軽減にもなり、結果として本来の接客そのものに集中できることにもなるのです。

 

※本記事は『商業界』2019年6月号(5月1日)に掲載されるものです。内容は取材当時のものです。なお、大賞・優秀賞の店舗は、日本専門店協会の総会で表彰され、ホームページ〈https://jsa-net.or.jp/〉では全入賞作品公開します。
※『商業界』はオンラインストアや紀伊国屋書店など大手書店で発売しております。