低価格でも収益を出す「効率のよい店舗運営」

 ワークマンの強みは「低価格で高機能」という商品力。新業態の展開にあたっては新たな商品開発は行わず、一般客に人気があり確実に売れると思われる既存店舗で取り扱っていた商品をピックアップして品揃えを決めた。

 防水をはじめとする機能性はプロが過酷な現場で使っており、現実でも証明済み。価格はブランド品よりはるかに安いという事実が明らかで、ファッション性もブランド品と比較してもそんなに差はない。ブランドを気にしない層にとっては、ジャストフィットする商品で、ある意味、「スマート消費」の意味合いを持っている。

 この低価格を可能にしているのが「大量生産」。ワークマンは需要予測の精度向上に取り組んでおり、予測と販売実績の差はプラスマイナス10%程度、売れ残っても値下げせず、持ち越して販売する。「アパレルはワンシーズンで商品を入れ替えるが、ワークマンは5年、10年売れるロングセラーの開発を目指し、あまりモデルチェンジもしない」とワークマンの土屋哲雄常務取締役。

 原価率も63%と高いが、今秋に予定されている2%の消費税増税に備えて売価維持のため、さらに2ポイント原価率を引き上げる予定だ。

 利益率が低く設定できるのは収益を出せる効率性の高い店舗運営を実現しているからだ。ワークマンの店舗の約3分の1では、自動発注をメインにした一括発注を行っておリ、売 上げは20~30%増。今後は完全自動発注に向けて検証を行っていく計画だ。

 昨今はコンビニの加盟店オーナーの過酷な労働と所得のアンバランスが問題視されているが、ワークマンの営業時間は6、7、8時~20時。オーナーの取り分も軽く1000万円を超えるので子供に継がせるケースも目立ち、トラブルもなく本部と良好な関係を維持しているという。

 こうした低価格を実現する仕組みの確立で、高機能の商品開発のためのコストも吸収し、絶対的な競争力のある低価格が可能に。それがワークマンの商品の大きな魅力となっている。

 

 そんなワークマンだが、ワークマンプラスでは「商品の機能の高さ」をアピールすることに力を入れている。職人はPOPの説明が目障りと嫌うので(商品のことをよく知っているため)、これまでの店舗ではほとんど付けてこなかったが、ワークマンプラスでは一般客に知ってもらうため、分かりやすく訴求している。

 しかし、「接客はしないことに決め、接客を必要としない店を作った」と土屋常務が語るように、商品を手に取れば防水性は耐水圧5000mm、透湿度2000mg/㎡24H、伸縮率は140%など高機能は数値で説明されており、お客は気に入ったものを選べるようになっている。商品力があれば接客で商品を薦める必要がなくなるので、人材派遣の4人体制でレジと品出し業務を行い、人件費のコストは低く抑えられている。

 

 そして、最近はアウトドアユース以外にも、商品の高機能さがさまざまなシーンでも評価されている点も、人気の理由。調理場など水の濡れている現場を想定して開発された滑りにくい靴は、妊婦や幼児を持つママから人気を集め、介護現場でもよく利用されている。

 一般客がメインで女性客も多いワークマンプラスでは今後、さらに商品の機能性を生かした新たな場面での使用が広がっていくものと思われる。

「かっぱ橋道具街」のようにプロユースであったものが一般に広がるという現象は今までもあった。ワークマンプラスはその例を踏襲するものだが、「高機能で低価格」を武器に利用者層や利用シーンが格段に広がることで、多様な需要を取り込んでいる。

 ブランド品と比べるとコストパフォーマンスは極めて高く、消費者はその落差に強い衝撃を受ける。ワークマンの商品はインパクトが極めて高く、際立つ商品なのである。