株式会社ワークマン 常務取締役 土屋 哲雄氏

 流通各社は、次代への成長エンジンを求め、あるいは多角化を目指して新業態の開発に余念がない。昨年9月、「ららぽーと立川立飛」に1号店をオープンし、半年間で12店舗となった「ワークマンプラス」は、久々の”大型新人”で今後大化けする可能性を秘めている。

 オープン日には大勢のお客が詰め掛け、その後も想定以上の売上げで女性客も多く、テレビや雑誌などでも取り上げられ、SNSでも話題となっている。そんな「ワークマンプラスの人気の秘密」を多角的に分析してみることにする。

「高機能で安価」でファンを増やしてきた

 ワークマンは作業着・作業用品の専門店で、1980年、いせや(現ベイシア)の一部門として群馬県伊勢崎市に「職人の店ワークマン」1号店を出店。2年後、別会社のワークマンが設立され、関東を中心に店舗展開が進んだ。87年には100店舗、97年300店舗、2002年には500店舗となり、12年700店舗、17年には800店舗を超え、全国に現在837店舗(19年3月末)を展開している。

 ワークマンが登場する前にも職人を相手にする店舗はあったが、近代的なチェーンではなく、個人経営の店舗が多く、旧態依然とした業界だった。ワークマンはそうした業界に新風を吹き込み、職人御用達の店舗として広く知られるように。直営ではなくFCで店舗展開をしたこともあり、急激に店舗網を拡大し、圧倒的なガリバー企業となった。

 そして、メーカー品の全量買い取りや独自の商品開発もし、必要な機能を確保した上で安価に商品を提供したことで、リピーターの確保につながり、顧客の囲い込みと支持の拡大に成功した。リーマンショック以降は経費節減のため、作業着が会社から支給されないことも多く、「若い職人がかっこいいものを自前で求めるニーズ」の高まりへの対応を強めて取り込んでいったことも大きい。

 近年はプロユースにとどまらず、「高機能で安価」な部分に目を付けた一般客が、釣りや登山、アウトドア、バイク用として使用するケースが増加。タウンユースとしても注目され、SNSや口コミで情報が拡散していった。

 3年前に、アウトドアウェア「FieldCore(フィールドコア)」、スポーツウェア「Find-Out(ファインドアウト)」、レインスーツ「AEGIS(イージス)」の3ラインのPBを発売、一般客にも好評で、売上げは倍々ゲームで伸びた。

 そこで、一般客をターゲットに、アウトドア、スポーツ、レインウエアの専門店「ワークマンプラス」を開発。ワークマン40年の歴史の中で初めて取り組む新業態で、プロユースというニッチな世界から飛び出し、職人から一般客の取り込みという新たな課題にチャレンジする意欲的な取り組みである。