できるオーナーの経営する「すごいコンビニ」に出合い、そうした店には「有能なSV(スーパーバイザー)が付いているのか?」という疑問が沸き起こった私は、コンビニ業界に詳しい経営コンサルタントS氏を尋ね、そもそも「有能なSV」とはどんな人か?」、話を伺った。S氏は自らコンビニ業界に身を置いた時期もあり、ご自身の実体験からいろいろと、ご教示いただいた。

 その前に、そもそもSVとは何か?

「加盟店の経営を支えるため、経営管理からストアスタッフのマネジメントまで『人・物・金』の運用管理をサポートするコンサルタントのような存在」

 と、ファミリーマートのホームページの言葉をお借りしておこう。フランチャイズチェーンの本部と各店舗をつなげ、経営を二人三脚で担っていくのが、SVだと一般の読者の皆さまにお伝えしておく。

 では、私が出合ったような「優良店には能力の高いSVが付いているものか?」と、さっそく伺った。

「必ずしもそうではありません。本部はそうは決して言わないでしょうが、教育的な側面を持たせることがあります。“20歳代中頃、東京に異動してきたばかり”といった経験の浅いSVをあえて『できる』店に送り込んで、加盟店オーナーに教育してもらうことはあり得ます」

 ――では、その“20代中ごろ、東京に異動してきたばかり”はダメなSVなんですか?

「話が飛ぶようですが、フランチャイズ・ビジネスの理念をまず理解してください。本部と加盟店は共存共栄すべきで、そのためにはヒューマン・ビジネスである必要があります。フランチャイズの法律的な契約条項は基本的にアメリカから入ってきたスタイル。アメリカには多様な人種がいて教育環境も違い、オーガナイズしていくには契約という形である程度、縛らなくてはなりませんから。しかし、日本では一定の教育レベルがあり、同じスタートラインから始められます。そこでは逆に同じ契約書に縛られているようではうまくいきません。本部と加盟店が役割分担をし、それぞれのやり方でお互いの領域に一歩ずつ踏み込んでいくという気持ちが必要となります。そのときに大切なのは一緒に取り組みたいと思わせるSVの人間力、加盟店との相性であり、最も根本的なそこに注視すべきなんです」

 ――もうちょっと具体的にお願いします。

「本部社員は基本的に縦のライン。部長から末端のSVに伝達事項が降りてきて、それが店舗とつながるときは水平のライン(関係性)になるんですね。上から降りてきた『あれしろ、これしろ』をそのまま水平に投げてしまうとおかしなことになる。『じゃ、どうしようか?』を考えるのがSVの仕事で、それが円滑にできるのが優秀なSVです。店舗とどうキャッチボールできるかが大切で、それは店舗ごとに変えていかなければなりません。普通、1人のSVは7、8店舗を担当しますが、それぞれ対応を検討するのが仕事です」

大変な場合にこそSVは本心で話す

 なるほど、優秀なSVとは店舗の個性やオーナーに合わせて一つの案件を柔軟に捉え、伝えていける人。では、もっと具体的に、例えば「見切り販売」や「セール」の問題で、優秀なSVならどう対応するんだろう。

「チェーン店とは1店舗ずつが鎖となってつながっていくのが基本的な考え方です。その鎖は形が同じじゃないと結び付いていきません。そこへ例えば、D店が食パンを100円でセールしたいと言ってきて、その200m先にはF店があり、そこでは200円で売っている。しかし、ここで鎖の形をそろえることばかり見ているSVだと、硬直的に『セールはダメです』と禁止してしまう。優秀なSVはD店とF店、両方と話し合い、高度にバランスを取りながらやっていきます。それこそがヒューマン・ビジネスなんです!」

 ――そんなだと、「D店には許可してひどいじゃないか!」と、F店は喧嘩腰になったりもしますよね?

「ええ、あり得ます。でも、それぐらいして乗り越えていくことで逆に絆が強まりますから、衝突することを恐れ過ぎてはいけません」

 ――とはいえ、そこは人間、しかも商売。こじれてしまう場合もありますよね? 

「負の状況になるときもあります。どうしても気の合わない相手って誰にだっていますし。でも、そういう大変な場合にこそSVは本心で話をしていくようにしなくてはいけないんです。キャンペーンの話なんて一切しなくていい。時間をかけて深い理解をしていくことにSVは徹底的に務めていくべきです」

SVを知るとは人生を知るようである

 なるほど、最初に伺ったようにSVにはかくも人間力が求められる! 有能なSVとはコミュニケーション能力に長けた、バランスの取れた人。マニュアルによるのではなく、自分で判断して采配できる人なのか。となれば、ダメなSVとはその逆。マニュアルによってしまい、自らで采配できずに高圧的にNOを言ってしまう。問題が起こっても目を逸らし、解決を図ろうとしない。

 これ、あらゆる職種に言えることだが、特にSVにはこうした能力が求められる。しかし、どんなに能力のあるSVでも店舗側と気の合わないときはある。そうしたときはどうしたらいいんだろうか?

「異動は2年に一度ぐらいはあります。その間はなんとかやり過ごし、できることからやっていく、という気持ちが大切ですね」

 すぐ白黒付けることをヨシとせず、困ったときは万事塞翁が馬の精神。SVを知るとは、まるで人生を知るようである。