「シートタイプ」が堅実な成長を続ける!

 2018年の化粧品市場規模は約1兆3453億円となり、縮小傾向が継続している(図表①、インテージ全国女性消費者パネル調査〈SLI〉調べ。国内に在住する15~69歳の女性個人の購買データからの推計のため、「インバウンドを除く内需」を表している)。カテゴリー別で見ると、ほぼ横ばいで推移しているメイク化粧品に対し、構成比の大きい基礎化粧品の不調が目立っている。

        図表①化粧品市場及びカテゴリー別市場規模の推移※1
             (データソース:SLI/期間:2014年~2018年 各年1~12月/ベース:金額)

 

 不調が続く基礎化粧品の中で、売れ行きが安定しているものがパックである。直近5年間は、ほぼ横ばいに推移しており、2018年の市場規模は385億円となった(図表②)。形状別で見ると、シートタイプがパック市場をけん引していることが分かる。2018年の市場規模は186億円、対2014年比で約1.4倍にまで拡大している。

                  図表②パック市場およびパックの形状別市場規模の推移
                                            (データソース:SLI/期間:2014年~2018年 各年1~12月/ベース:金額)

 

 シートタイプは、購入率も購入者当たりの購入金額のどちらも拡大している(図表③)。つまり、新規ユーザーを獲得するのと同時に、ヘビーユーザーを生み出しているといえる。年代別に見ても、全年代で購入を伸ばしていることから、幅広くユーザーが定着していることが分かる。

               図表③シートタイプの購入率・購入者当たりの購入金額の推移
                                                          (データソース:SLI/期間:2014年~2018年 各年1~12月)

 

 ではなぜ、シートタイプは市場拡大が続いているのだろうか。好調を探るキーワードは、「毎日使い」であった。

「大容量化」と「オールインワン商品」が拡大している!

 シートタイプ市場の特徴的な動きとしては、1商品当たりの内容量の増加、つまり大容量化が挙げられる。

 内容量別にシートタイプ市場の推移を見ると、ここ数年で、30枚以上の商品の構成比が大きく拡大しており、2018年には3割を超えている(図表④)。このような大容量商品の広がりから、日常使いできる商品に対する、ユーザーのニーズの高まりがうかがえる。

         図表④シートタイプの内容量別個数構成比の推移
                                               (データソース:SLI/期間:2014、2018年 各年1~12月/ベース:個数)

 

 次に挙げられる特徴は、オールインワン商品の拡大がある。「化粧水+美容液」といった複数機能を備えた商品をオールインワン商品と定義した場合、5年間で約3倍以上に市場規模が拡大している(図表⑤)。スキンケアにかける時間や手間を減らせるオールインワン商品は、忙しい女性のニーズとマッチしているといえる。

      図表⑤シートタイプのオールインワン機能商品市場規模の推移
                    (データソース:SLI/期間:2014年、2018年 各年1~12月/ベース:金額)

 

 大容量化とオールインワン商品の拡大から導かれるシートタイプの好調要因は、「毎日使い」の定着である。これまではスペシャルケアとしての利用が主流であったが、日常的な利用が浸透したことで大容量化が進み、時勢を捉えたオールインワン商品が増えたことで、「シートタイプを使った毎日のスキンケアが広く習慣化している」といえるのではないだろうか。

〈今後の市場展望〉時短・簡便ニーズでシートタイプが伸びる!

 化粧品市場は新商品や流行によって大きく左右されるものの、シートタイプのパック市場は引き続き拡大を続けていくと思われる。

 その理由として、時短・簡便ニーズの拡大がある。女性の社会進出が叫ばれて久しいが、当面はこの状況が続くだろう。2018年の女性の就業者数は2946万人で、対2014年比で約200万人近く増加している※2。こうして忙しい女性が増えることで、シートタイプは、「毎日使い」できる気軽なスキンケア商品として、利用が広がっていくことが予想される。

 加えて、インバウンド需要の高まりによる市場のさらなる活性化も考えられる。今回は「インバウンドを除く内需」を分析したが、シートタイプ市場全体としては、訪日外国人の購買量も年々拡大している。このような国内外需要の高まりを受け、メーカー各社による商品開発は今後も続くと思われる。

 時代に合わせて構造が変化し、成長を続けるシートタイプのパック市場に今後も注目したい。

(株式会社インテージ アナリスト 石原雅人)