平成29年に沖縄は一時期、ハワイを上回る初の900万人台(957万9900人)の訪問客数を記録しました。その内訳は何と地理的に近いアジアからの訪日旅行者が、年間訪問客の3分の1になる約300万人を占めるまでに成長したからです(伸び率は前年比20%超)。

 アジアからの訪日旅行者にとって、LCCを利用すれば那覇までの交通費が割安になり、那覇に短期滞在し離島を往復するだけでハワイ同様、ダイビングやシュノーケリング、サーフィンといったマリンスポーツを「安近短」で体験できることは大きな魅力です。

 が、実は沖縄の訪日旅行者の8割以上がリピーター。その理由を、1位「景色」(49.2%)、2位「海」(45.7%)と回答しています。最も満足した点ではリピーターに限らず、“おもてなし”が全体の80%を超え、「とても親切」「あたたかいおもてなし」という評価でした。

 東京都と同じくらいの面積しかない沖縄が県人口の10倍に上る年間1000万人近い訪問者を獲得できる理由は何か?

 美しい海や自然の美しさがブランドとなり訪日旅行者を誘引しているだけでなく、マリンスポーツでは体験できない“おもてなし”が、沖縄でしか得ることのできない思い出として残り、リピートを喚起しているのです。

 

沖縄しかない“おもてなし”の原点とは!?

 沖縄には沖縄の食文化を生かした「食べて元気・飲んで元気・心はちゃ~げんき!」になれる商品開発に取り組むe-no(イーノ/前の名は沖縄教育出版。沖縄の素材を生かした健康食品、化粧品を通信販売)という会社があります。

e-noとは海藻や魚、貝類など青や黄の色とりどりの生き物がすんでいるサンゴ礁の浅瀬のこと。沖縄の方言でイノー(海畑)=癒しの場という。

 同社は、『ハイ・サービス日本300選』を受賞したり、『日本でいちばん大切にしたい会社』にも選ばれた企業。現場は常に無理しない対応で、顧客にモットーの「沖縄さんに電話してみよう!」と感じてもらえるよう接し、日常の何気ない会話を介して、相互に信頼関係を構築することで、既存客のリピート率は何と8割を超えるまでになっています。

 沖縄だからできる”おもてなし”とは、地元の人が生き生き働くこの会社のように、訪日旅行者だから観光客だからといって非日常な歓待をせず、できる範囲で無理せず自然な姿勢で相手を受け入れ、1対1のつながりを大切にする考え方なのです。

 

沖縄だからできる“おもてなし”とは?

 沖縄の住民は、国内でも他府県を当たり前のように「本土」または「内地」と呼び、国内外の旅行者に関係なく、言葉や文化が違うインバウンドと認識します。だから、訪日旅行者とも言葉のバリアなど気にせず垣根を感じさせない自然なコミュニケーションを交わします。

 沖縄を訪れた訪日旅行者は、言葉が通じない沖縄住民と「沖縄料理」や「歴史・文化」という異文化体験を共有することで、相互理解を深め、地元住民のライフスタイルに共感していくのです。

1.地元志向沖縄住民は地元企業の商品を必ず購入する

2.無理しないマインド沖縄住民は無理しない対応で売り手と買い手が末永く付き合える関係を重視する

3.なんとかなるさ精神真面目に正直に嘘をつかず生きていれば、必ずなんとかなる(沖縄ではなんくるないさ)

 人口が減少する日本でインバウンド需要を獲得することは必須です。その際に重要なのが、訪日旅行者に地元に根付いた価値観やライフスタイルを共有してもらうこと。共感してもらう仕組みをつくり、リピートを生み出すことが不可欠なのです。