4月10日、ユニー・ファミリーマートホールディングスの記者会見冒頭。『2018年度決算・2019年度経営計画』の発表前に公表されたのが「ユニー・ファミリーマートホールディングスによる100%子会社・ファミリーマートの吸収合併(効力発行日は2019年9月1日)」と、その後の「ユニー・ファミリーマートホールディングスのファミリーマートへの商号変更」だった。 

 

 この理由を同社の髙柳浩二社長は「ホールディングスという構造がしっくりこない」「スピード重視(の経営)に向かない」と語った。現状は持ち株会社の下に事業会社のファミリーマートがある2重構造だが、(株)ファミリーマートの取締役会で決めたことをユニー・ファミリーマートホールディングス(株)の取締役会でも決める必要があるなど会議体が増えたため、「早い段階から」(髙柳氏)この構造を解消し、一元化をしたかったという。

 この一元化に先駆け、同社では19年5月1日、高柳浩二氏が代表取締役会長、澤田貴司氏が代表取締役社長になる異動を行うが、今後は、「ユニーとその子会社の事業」を譲渡したパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス関連は髙柳氏、ファミリーマート関連は「澤田君中心に私もアシストしてやっていく」(髙柳氏)。

 

 日本にコンビニが誕生して約50年。AIの登場でますます世の中の変化が速くなっている。そうした中、“業態疲労”が進むコンビニでスピード重視の変革を行うのは当然だが、16年9月1日にユニーグループ・ホールディングス(株)を吸収して(株)ファミリーマートから商号変更したユニー・ファミリーマートホールディングス(株)。それが再び、(株)ファミリーマートになるのは、紆余曲折を経て立ち位置を見たら“経営統合前とあまり変わらないところにいた”ような状況に見えなくもない。

『4つの挑戦』も物足りなさを感じる

 “その場足踏み”に見えるのは『2019年度重点施策』もだ。

「今期はさらに攻めていく」と会見で語った澤田貴司 ユニー・ファミリーマートホールディングス代表取締役副社長だが、方針として掲げた『4つの挑戦~スピード重視の対応~』は(1)加盟店支援の強化、(2)店舗収益力の強化、(3)デジタル推進、(4)PPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)との協業推進。

 

 (1)と(2)はこれまで何年も、というか、コンビニが日本にできて以来、変わらぬFCビジネスの根幹をなすものだし、(4)は共同実験店の『ファミドンキ』が成果が出つつあるとはいえ(18年度実績:日商前年比130%、客数前年比110%、日用品売上前年比300%)、いまだ3店舗での検証を続けている段階。目新しいのは(3)だが、これも小売企業各社が取り組んでいることでもある。

“面”で行う時短営業は注目の取り組み

 同社は(1)~(4)で具体的に何をするのか?

 (1)の加盟店支援の強化で行うのは①「人手不足・コスト増への対応、店舗運営の効率化」、②「時間営業実験」、③「廃棄ロス削減」、④「加盟店向け制度改善・コミュニケーション強化」の4つ。

 
 

 このうち、②では2つの実験を実施。「東京」(文京区、千代田区)と「長崎」(諫早市、大村市、島原市、南島原市、雲仙市)では週1日(日曜日)に限定時間営業(5時~24時、5時~翌1時の2パターン)。「東京」(豊島区)と「秋田」(秋田市、大仙市、横手市、湯沢市、由利本荘市、仙北市、美郷町)では週7日間、夜間営業をやめる(7時~23時、5時~24時、5時から翌1時の中の3パターン)。この4地域には約270店あるが(大半はFCの加盟店)、その中から時間営業を希望した店舗がそれぞれ営業時間を決めて、実験を行う。

 コンビニのサプライチェーンは24時間を前提に構築されているため、点(店舗単位)ではなく、面(エリア単位)で実験を行わなければ、日商や店舗の利益への影響が分からないとの考え方から進められる、この取り組みはコンビニ業界を変える可能性がある点で注目に値する。

 

 だが、(2)店舗収益力の強化の①「商品力の強化」、②「店舗基盤の強化」(ビルド&スクラップおよび改装推進など)、③「地域密着の推進」、④「本部コストの削減」は過去にも取り組まれてきたこと。

 

 (3)デジタル推進の①「顧客基盤の確立」(7月から自社バーコード決済サービス「FamiPay」の開始し、スマホアプリも刷新)、②「ポイント・決済のオープン化」(11月からTポイントに加え、楽天ポイントとdポイントを導入。6社のバーコード決済を導入)も他社で取り組んでいるし、③「新サービス機能の拡充」(小口ファイナンス、購買データ提供、広告DMP)の小口ファイナンス(FamiPayを活用した貸付・後払い、個人間送金、投資運用、保険)も先行事例があるものばかりだ。

 
 

 そう見ると、新しいのは、不確定要素が多い(4)PPIHとの協業の①「商品・サービスの共同開発」、②「金融サービス分野での協業」(ポケットカード)、③「海外事業の共同展開」(台湾など)くらい。こうした点が“その場足踏み”に見えるのだ。

 

なぜ、出ない「業態の再定義」

 2018年度の通期決算(IFRS)は、営業収益6172億円(前期比96.9%)、事業利益516億円(同123.7%)、税引前利益42億円(同71.2%)。

IFRSのルールで継続事業のみの数値。ユニーおよびその子会社の事業は非継続事業として除外。

 当期利益は573億円(同156.6%、継続事業で248億円、非継続事業で325億円)で、親会社所有者帰属利益が454億円(同134.7%)。18年度はユニー株式売却で得た351億円を構造改革費用にあてたユニー・ファミリーマートホールディングス(355億円のうち、統合のれん含む減損に199億円、不採算店舗の追加閉鎖・減損に36億円、海外事業追加引き当てに36億円、店舗費用前倒し費用等に73億円、ホールディングス関連減損に11億円)。

 最後に残ったコンビニ事業では、16年下期以降、不採算店3316店を閉鎖したが、18年11月にファミリーマートへの看板替え(5003店)を終え、旧サークルKサンクス店舗の転換後の日商は50.3万円(10%の伸び)。コンビニ事業としてはセオリー通りの取り組みを進める同社だが、それでも物足りないのは、今の日本のコンビニが一番、表明しないといけないことを示していないからだろう。

2018年度の成果で目を引くのは「マーケティング力の強化」

 それは業態の再定義なのだが、それを記すのは次の原稿に譲りたい。