【これからの日本】時間は「効率的に使う」に変化

 今の若者は時間についてすごく考えるようになっていますね。この前、私の考える時間と価値について書いたものを、関東学院大学の学生が読んでレポートをくれたんです。ああ、若い人もそういうことを考えているんだと、これがすごいヒントになった。21歳の学生は、永遠に時間があるように感じ、3年ぐらいは遊んでいていいやと思っていたが、それが駄目だと分かったというんです。こうした大学生を採用する企業はものすごく助かりますわね。

 24時間というのはどんな人にも平等。24時間で一番つまらない時間は寝ている時間なんです。平均すると8時間。この前、中部大学の武田邦彦教授に「1時間の睡眠で8時間と同じ効果は出ないか」と聞いた。要するに、脳と体力の回復を8時間かけてやっているんだけど、1時間にしたら7時間も自分の自由にできる時間が増えると考えた。武田教授は「それは無理だけど、科学的にはまあ2.5時間くらいまでならいく」というんですよ。そうすると1日に5.5時間、実に23%全く新しい時間を創出できることになりますね。ということは、100歳まで生きると、123歳までと同じ充実感が味わえる。

 寿命を長くするというよりも、24時間をいかにその人の幸せのためにサポートできるかが、これからの企業では重要になると思います。

 今、いろいろな業種でお客さんのために丁寧にやれば時間がかかるというのが当たり前になっています。例えば、散髪は1時間より2時間かけた方が丁寧にやったというんです。でも、これ1時間ロスしていますわね。俺の時間を勝手に使いやがってと見ることもできるわけです。今後は本当にお客さんの時間を大事にするようなことを考える経営者をつくりたいなと思っています。

 人生の残り時間が少ないんで、時間を大事にするという老人発想では駄目だなと思っています。50歳を過ぎてから、残りの第二の人生を有意義になんて言っていたらあかんと。100年を充実した日々で送らせることを考えないといかんと。これは先進国の日本だからと思っていたけれど、中国の若者も、タイも一緒なんです。今の地球上に生まれた若い人はそういう価値観かなと思ったんです。

【将来への懸念】「信用より金」になっていないか

<三浦一光さんのプロフィール>1956年松下電器産業(現・パナソニック)入社、88年北海道・四国・名古屋営業所長を経て、西日本ナショナル電器社長、91年松下エレクトロニクス初代社長、93年松下電器産業 営業本部副本部長として、ダイエーとの取引をスタート、94年ビデオ事業部長として事業再建、96年レコード会社のテイチク社長として事業再編(天童よしみ「珍島物語」、川中美幸「二輪草」、大泉逸郎「孫」の3曲のミリオンセラー)、99年豊栄家電社長、2005年ヤマダ電機と合弁のコスモス・ベリーズ設立、会長として今日に至る。13年一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会の理事に就任、15年コスモスベリーズ社内ベンチャー部門「MSM流通研究所」代表兼務、17年一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会の副会長に就任。

 タイとか中国は、日本のように中小小売業が成熟していないんですよ。日本の場合、江戸時代に『士農工商』といわれた時代から商人が定着して、中小小売店が一定の地位を保った時期がありますね。今でも50万軒くらいの中小小売りが残っているわけです。そうなると政府は保護しなければあかんわけです。

 中国は保護はいらないんです。僕はビデオを売っていたけれど、中国にビデオの時代はないんです。据え置きの携帯電話の時代もない。後から来る国は5段飛びくらいでくる。日本は1段ずつ、それも下の段を気にしながら。これじゃ、負けちゃいますね。

 中国は後ろを向かなくていい。だから、アリババもやりたいことをやる。アリババの「芝麻信用」なんかを見ると、今まで金が一番だと思っていた中国人が金より個人の信用が上だと思うようになったんです。日本は信用より金だと反対を行っているような気がしています。この大きな変化はすごい力の差になると思いますよ。今の20代の中国の若者がそんな価値観を持って中国を動かすようになったら怖いね。