「ドン・キホーテはただ者ではない、なかなかアイデアがあると思った」(三浦会長)

【本部がすべきこと】本当の商人、経営者をつくれ

 僕は、加盟店に何でもタダでいろいろなことを助成してあげたらいいと思ったんです。それが電機メーカーの系列政策です。あれもやり、これもやりとやってあげると、人間でいうと子供が長男坊主みたいになっちゃう。みんな親に頼る。親が長男・長女ほどは大事にしてくれんから、次男とか二女は強いですよね。それと一緒で、小売企業を大事にし過ぎると、結局、独り立ちできない。今、うち(コスモスベリーズ)に来られる電気屋さんは系列店の人が多いんですけど、サンヨーの系列店が一番強い。パナソニックが一番弱い。それは過保護だからですわ。いろいろなことをメーカーが良しとしてやったことが、結果、仇になって返ってくる。子供でいえば長男を甘やかしたような話です。

 本来、仕入れ原価を教えない商売なんてありえません。フランチャイズの方が原価を教えていない。メーカー系列も原価を教えなかった。この売価で売りなさいは言ったけど。そうした中では本当の経営者、商人は育ちませんよね。規模が大きい、小さい関係なしに、本当の商人、経営者をつくるところにいかないと、チェーンはノウハウ提供だけではいけない。

 僕が松下電器の営業として40年間、いいと思ってしてあげたことが、結果として弱い小売企業をつくりましたね。今、それを反面教師として、コスモスベリーズでは強い経営者が、それぞれの特徴をちゃんと出して経営できるようにしようとしています。それぞれの加盟店は歴史もあるし、均一した標準化は駄目ですよ。

 今、電気屋さんの多くは赤字です。事業をやる人が赤字を出すのは罪悪。税金も納めないし、真面目にやって赤字というのは世の中に貢献していないということでしょう。うちの加盟店が何万軒になろうと、赤字の店だったらすぐなくなるんです。僕がこれからやる仕事は、いかに加盟店が経常利益で黒字になり、税金を納めてもらえるか、そこにどんなサポートができるかです。経営を一生懸命やっていて赤字になるということは、どこかに水漏れがあるというのが理由の1つ。もう1つは分かっていてやらない、要するに三日坊主ということ。それをやらせんようにするだけで、黒字になると思います。だから、コスモスベリーズでは赤字のときはコンサル料を取らないけど、黒字になったら経常利益の半分は3~5年間返せと。そうした事業を去年の暮から始めたんです。それに僕は没頭します。この成果報酬型コンサル事業を徹底的にやろうと思っています。

金を追い掛けるな、「お客さんのため」を思い出せ!

 昔、金と女は追っかけるなと言われた。金も追っかけると逃げるんです。まず、こうしたことをしたらお客さんのためになるということをやれば、いいことだったら返ってくる。金儲けのために事業をやると、大抵、駄目になるんですね。

 セブン-イレブンも最初は、お客さんのためになってということから始まったと僕は思うけれど、今は何か金を追っかけているような気がする、本部も。

 僕らの育った時代は企業は公のもの、公器だと松下幸之助が言ったんですが、日本の資本主義がアメリカの資本主義になって、企業は株主のものだとなった。そうした仕組みになった以上、株主に忖度すれば粉飾しますよ。今、僕は『公益資本主義』を唱えていて、もう一度、企業は公に尽くすもの、土地や人は国から借りて公の機関だという発想に戻さなあかんとやっているんだけど、何かここ20年くらい極端に株主の企業になっちゃったね。そうある以上、どんな人がいても株主を向いて仕事をしますよ。

 もう1つ、25年くらい前から人件費と材料などのコストを一緒にしちゃった。前は分けていたが、人件費をコストと呼ぶようになった。コストダウンしましょうとなったら、人件費を削りましょうとなった。人のために会社があるんだったら、人と材料が一緒のコストというのはおかしいと思う。まず、P/L上で分けないといかん。倉本長治先生をはじめ昔の偉い人が生きとったら、怒るやろ。お前ら何をやっとんだと言うてね。

【ドン・キホーテが強い訳】アイデアがある、商人的だ

 今の量販店は本部に商品部があって、本部が決めた定番しか並べないとか、失敗しても分からないですよ。POSには定番しか入ってないですから。

 ドン・キホーテがすごいのは、本部で商品部が品揃えするんですけど、店長が選択するんです。これをやると、本部の品揃えの失敗も分かるし、店長も商品を自分で選ぶわけですから、責任が付くわけです。ある程度、絞り込みは本部がやるけれど、店長が仕入れをして並べるので、仕入れたという実感がある。ドン・キホーテはただ者ではない、なかなかアイデアがあると思った。 

 コスモスベリーズの加盟店はどちらかというと中小ですから、ヤマダ電機の量販店で合う商品でも合わない場合があるので、うちで選んで「コスモス定番」で登録している。それで、もし売れたら、ヤマダ電機も考えたらいい。ツインバードというメーカーさんの600アイテムある商品のうち、ヤマダ電機が定番として入れたのは120しかなかった。残る480は定番に乗らないわけですよ。そうするとわれわれも売れない。

 うちは今、そうしたメーカーさんにヤマダ電機で売れんかもしれんけど、うちの加盟店で売れる可能性がある商品は、うちが定番化してヤマダ電機に登録してマスターに入れるやり方をしている。ヤマダ電機でも売れるかもしれない商品は後から入れたらいいんじゃないかと言っている。

 マーチャンダイジングが、商品部が全てだという時代があった。それは消費が旺盛だったからで、少々間違っていてもうまくいっちゃいますよね。ドン・キホーテも、社長は「これでは店長は苦労するだろう。しかし1年か2年したら、これが力になる」と、この前、講演で発表しよったから、なかなかやるなと思ってね。社長は結構、商人的なものを持っているなと思いました。

 僕が教えてもらった松下幸之助の商人論では、この商品を見たときに、「ああいい商品だな」「原価はいくらだ」「この商品はあの〇〇さんなら上手に使いこなしてくれる」ということをイメージして売ると言うんです。それが商人だと。恐らく小売業で、「これをあの人に売ろう」なんてとこ、まずないわね、不特定多数に売るという発想だから。これからはもうちょっと、そうした「あの人に」ということが顕著になってくるし、それが商売のすごい強さになる気がするね。