【コンビニの問題点】FCなのにテリトリー権がない

 大都市圏の繁華街みたいに24時間動いているようなところはいいと思うけど、過疎地に近いような人口の少ないところで24時間やる必要はないし、ネットで買えばいらなくなるかもしれない。そうしたら、そのインフラをどう使うかですわね。駐車場半分と店舗を使って不足している保育所をやってもらったらどうですかね。その方が地域社会にすごく貢献する。

 コンビニは夜中にどれだけ生産性があるのか。新宿とか渋谷なら分かるが、少なくとも僕が生活しているような街(名古屋)では、生産性を上げるには夜中は閉めた方がいいのではと指導するくらいでないとあかんわね。

 僕は最初にセブン-イレブンを研究したとき、「このエリアをあなたに任せますよ」というデリトリーがないことが分かった。フランチャイズ(FC)なのにテリトリーがないといったら、FCじゃないような気がするんですけど。同時に、テリトリーのないFCはすごいなとも思ったんですけど、それだと勝手に店舗を出されます。コンビニは出店だけはボランタリーチェーン(VC)の考え方なんですわね。

 電機メーカーの系列店も同じだったんです。経営も別だし、資本も別なのに、パナソニックの商品しか売っちゃいかんとか、8割以上は売らなきゃとか、VCなのにFC。セブン-イレブンをはじめとしてコンビニはこれと同じ「特殊なFC」なんです。

 僕は一番大事なのはテリトリーだと思うんだけどね。商圏があってお客さまがおるんで、商圏を決めていないFCは、プロ野球でいったらホームグラウンドのないような話ですね。

 かつて酒屋という業種が滅びるんだけど、業態変更してコンビニなっていますね。あれは世の中、救ったと思いますよ。15万軒くらいあった酒屋がほとんどなくなっていますが、その中の大半がコンビニに変わった。そうした点では社会的貢献はそこやなと思うんです。

 今の時代、本部の統制がきついのに、加盟店が赤字になったら本部の責任なんですよ。ナショナルの加盟店もそうで、メーカーの言う通りにやって赤字になったと。加盟店は精いっぱいやったんだから責任ない、本部は言う通りにやらんかったと、どっちも責任のなすり合い。

 消費が非常に伸びた時代は、本部の言う通りにやっていればよかったのです。今は全国画一的な標準型のコンビニをつくっていくという成長期とは違いますわね。そうなると、地域とか経営者とかに合わせた、ある意味ではVC的な要素がないと駄目。統制ではいかんと思いますね。それを今回、セブン&アイ・ホールディングスがどんなふうに変えるかですね。僕は鈴木敏文さんが代わったときに起こると思ったんです。鈴木さんは頑張られて、いろいろな商品をつくったり、儲かるようにしてきたんでよかったんだけど。

<三浦一光さんのプロフィール>1956年松下電器産業(現・パナソニック)入社、88年北海道・四国・名古屋営業所長を経て、西日本ナショナル電器社長、91年松下エレクトロニクス初代社長、93年松下電器産業 営業本部副本部長として、ダイエーとの取引をスタート、94年ビデオ事業部長として事業再建、96年レコード会社のテイチク社長として事業再編(天童よしみ「珍島物語」、川中美幸「二輪草」、大泉逸郎「孫」の3曲のミリオンセラー)、99年豊栄家電社長、2005年ヤマダ電機と合弁のコスモス・ベリーズ設立、会長として今日に至る。13年一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会の理事に就任、15年コスモスベリーズ社内ベンチャー部門「MSM流通研究所」代表兼務、17年一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会の副会長に就任。

 松下電器産業(現・パナソニック)でもそうなんですよ。系列が良かった時代はせいぜい昭和50年までですよ。そこからはメーカーがやることは全部失敗なんです、僕らがやってきたころは。本部の言う通りにやっても、お客さまの反応がなくなったときに本部がどうするかですね。今、僕がやっているVCでも、もっと本当の経営者となって商売を考えることが重要になっている。要するに商人(あきんど)の経営者やね。今まではセールスマンなんです。コンビニもセールスマンですよ。資本家の加盟店オーナーとセールスマンがおるだけで、経営者がいないんですよ。そうした経営というのは、非常に対応力が悪くなっていくんですね。標準化されているし。

【7-11をこう見た】変化対応に遅れている

 セブン-イレブンは国内に2万店を超える店舗があるんだから、どんどん実験をしたらいい。この前の加盟店の時短営業も、本当は問題がピークになる前にいろいろなアイデアで、いろいろなところで実験して、検証していかないといかんですよ。文句が出てから慌てとったんでは。

 もともとイトーヨーカ堂は遊びがない企業だったですよ。それなのにセブン&アイは永遠に今のスタイルでいけると思っているところに間違いがあるんじゃないですか。これだけ変化が激しい時代に生活者も変わるし、このモデルがずっと永遠に伸び続けられるなんて錯覚しちゃうんですよね。絶対落ちるんですよ。そういうことに備えて、検証、実験をして、問題が顕在化したときにそれを早く入れてあげなあかんわね。どん詰まりに行って、さあ何をしようかではなしに。

 セブン&アイは今までは評価しています。やっぱり、よく勉強しているなと思います。ところが、今回はそうしたものが出てこない。品揃えを広げたり、変えたりすることはしていたとしても、あの業態のままで永遠に伸びられると思ったところにセブン-イレブンの間違いがあると思います。電機メーカーはそれで滅びたんですからね。あれだけの頭のいい人たちがやられているので、もうちょっとそのへんがあってもよかったような気がするんだけどね。トップチェーンのこうした状況が、今の日本のコンビニ業界を物語っているように感じています。