かつては「変化対応の象徴」だったセブン-イレブンだが……

【時代はどう変わった】モノからコト、そして今は人

 モノの時代があって、今はコトがいいということで、ほとんどの企業がコト軸提案ですわね。だけれどコトももう終わりで、人の時代。人となると人間の幸せですから、僕が考えているのはいかに人間の1時間を有意義に幸せにさせてあげるかという事業がこれから必要だろうということです。

 パナソニックは100年たって、『くらしアップデート業』というコンセプトを出した。今までモノ、電気製品をつくって便利にすることが全てだったメーカーが、アップデート業ですよ。まだ社内は混乱している、何をやっていいか分からないと。モノがないので25万人の社員はびっくりしました。しかし、電機メーカーの中でそうしたことをいち早く宣言したので、僕はパナソニックはまともになったと思います。ソニーさんはゲーム、エンターテインメント、金融など多角経営で、国内ではダイレクト販売というか、直接自分で売るEC発想ですから家電の売上げは15%しかないという。だから、パナソニックが多少、ソニーのような発想になったかなと見ているんです。

 今は「人だ」となったとき、健康寿命は多少影響するでしょうけど、人の寿命は人間の努力によっては変えられない。今日1日に与えられた24時間をいかに有意義に楽しく生きてもらうかという世界に入ってきちゃう。今まで家電製品をより安く加盟店に提供するという経済的メリットからやっていたうちの事業(ボランタリーチェーンの「コスモスベリーズ」)が、心の問題になってくると結構、奥が深いんです。

 ライフシフトの時代に、うちは『ライフドック』というものを始めたんです。これは心のドックなんです。人間の幸福感は画一的でないし、個人全部、価値観が違う。これから寿命が長くなっていくんで、とにかく1日24時間をいかに有意義に生きて充実感を味わってもらうかに貢献する企業、そこにいっちゃうような気がする。

 これはモノよりもコトよりもはるかに難しいですね。人間1人ずつ違うし、電気製品をつくるようなわけには絶対いきません。人生100年時代に1時間でも充実した時間を持ってもらうために、何ができるだろうと。高齢者支援協会などとタイアップしたりして、ビジネスを行っています。モノはツールとして出てくるでしょうけど、それを使って便利だということは、もうそんなにたくさんないですよ。今まではモノを所有するという価値観があったけれど、今はシェアリングして機能だけ借りるという発想ですし。

【コンビニ苦戦の理由】まだモノ売りから抜けていない

 モノ、コト、人と時代が移ってきたのに、今のコンビニは全然対応できていない。まだモノ売りですね。公共料金を支払うとかATMがあるとか、これはある意味でインフラとしては公共的ですが、そうしたことが加わったのは2000年前半までのこと。

 コンビニが支持されたのは、大きなスーパーマーケットにある商品を「24時間売る」というコンセプトで、お客さんを見て品揃えした点。小売業の中ではインフラの部分まで、昔は結構、進んでいたんじゃないですか。

 今は新しいサービスはなく、手詰まりになったのかもしれない。お客さんの近くに来たということで、前まではメリットがあったんだけど、老人の歩く範囲が500mといわれているんで、もっと近くに来ないと行けない。結局、ネットになっちゃう。コンビニがいかにラストワンマイルで頑張っても、しょせん、ネットには勝てないです。そうかといって一人暮らし高齢者の見守りをやるというところまでやれれば別としても、人手不足でそんな人はおりませんし。人材的に入れてやるほどのソリューション的価値は生めないと思うと、ある意味では限界に来ているのか分からんね。