212社ある流通業界の上場企業で、ナンバーワンになったのはクリエイトSDホールディングスだった!

 これまでは業態別にランキングを見てきたが、今回は平均年間給与額の総合ランキング。どんな企業が上位に入ったのだろうか?

 流通業界、第1位はドラッグストア(Dg.S)のクリエイトSDホールディングス(989万6910円)だった。

 第2位はスーパーマーケット(SM)のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(900万円)、第3位は百貨店のエイチ・ツー・オー リテイリング(891万4000円)、第4位はインテリア専門店のニトリホールディングス(877万7000円)、第5位は百貨店の三越伊勢丹ホールディングス(851万9772円)。

 以下、平均年間給与額が800万円台だった企業には、Dg.Sのウエルシアホールディングス、スポーツ用品専門店のゼビオホールディングス、百貨店のJ.フロント リテイリング、小売業グループのイオンがある。

産業化され、給与水準が製造業レベルまで向上した

 小売業は、ほかの業種に比べて給与水準が低く、それが優秀な人材を集めにくいネックの一つだと言われてきた。

 しかし、平均給与ランキングを見てみると、小売業の給与水準が極端に低いわけではないことが分かる。トップ企業の年収は1000万円の大台に届きそうであり、トップ10クラスの年収もおおむね800万円以上だ。金融や商社、建設・不動産といった「高給取り業種」には及ばないものの、製造業などと比べて、それほど見劣りはしなくなっていると言えるだろう。

 この事実は、小売業が産業化された一つの証左なのかもしれない。給与水準を左右するファクターの一つは労働生産性、すなわち、従業員1人がどのくらいの売上げ・利益を上げられるか、ということである。労働生産性が高ければ高いほど、給与水準も上がる傾向にあるのは言うまでもない。

 小売業はチェーン化、経営のシステム化によって巨大化し、企業としての資本効率を高めてきた。経営規模が取引先の大手メーカー、大手ベンダーなどをしのぐほどに成長した大手小売業も少なくない。その結果、小売業の給与水準も、製造業と肩を並べるまでになったという見方もできよう。

三越伊勢丹HD、リストラの影響で来年はどうなる?

 平均給与ランキングを業態別に見ると、トップ10クラスにはDg.S、SM、百貨店、専門店といった業態がバランスよく入っている。かつては小売業の中ではSMの給与水準が低いと言われていたこともあるが、少しずつ差が縮まってきているといえそうだ。

 強いて言えば、第1位のクリエイトSDをはじめとするDg.Sの強さが目立った。荒利益率が高い医薬品がメインであり、薬剤師などの有資格者の店頭配置を義務付けられた規制業種でもあるといった利点が背景にあるのだろう。人件費の高い薬剤師を抱えなければならない点も、給与水準を押し上げる要素と推察される。

 また、トップ5に2社がランクインした百貨店も、かつての「小売業の王者」としての貫禄を見せつけた格好だ。百貨店は荒利益率の高いファッションや高額品が主力であり、商業集積に立地するなど販売効率も高いため、本来は労働生産性や資本効率が高い業態である。

 しかし、郊外型ショッピングモールやカテゴリーキラー、ネットショップの台頭といった消費環境の変化に付いていけず、地盤沈下してしまっている。

 また、第5位の三越伊勢丹は大掛かりなリストラを断行しようとしており、来年のランキングでは順位が低下する可能性をはらんでいると言えるだろう。