元とんかつ店の物件に居抜きで店舗を造作した

 (株)串カツ田中ホールディングス(本社/東京都品川区、代表取締役社長/貫啓二)では、同社が開発した新しい「串カツ田中」の「ロードサイドモデル」の1号店を3月28日、群馬県前橋市にオープンした。店名は「串カツ田中 前橋三俣店」で、JR前橋駅から約3㎞離れており、幹線道路の東部環状線に面し間近で県道3号線と交差するなど、交通量の多い場所となっている。元とんかつ店であった物件を居抜きで活用し、83坪120席という既存店にない大型店舗を構えた。

「三世代で楽しめるFR型串カツ酒場」の3つの特徴

「串カツ田中」は2008年12月にオープンした東京都世田谷区の世田谷店より展開を開始。14坪24席で450万円レベルの売上げを想定していたが、半年後には800万円を売る大繁盛店になった。以来、住宅街での展開を継続してブランディングを行い、その後、繁華街やオフィス街、大型ターミナル駅付近、商業ビルなどへの出店が可能になり、出店余地を豊富に持つ業態となった。2019年2月末現在221店舗となっている。

交通量の多い東部環状線に面している

「串カツ田中」のロードサイド店舗としては、千葉・流山、大阪・岸和田、泉北など既に存在しているが、今回のロードサイドモデルは「三世代で楽しめるFR型串カツ酒場」をコンセプトとして、大きく3つの特徴がある。

 それはまず「居心地の追求」。さまざまな客層のニーズとその利用シーンに応えられる構造や内装を整えた。客席はカウンター席、ボックス席、お座敷の他に、ファミリーが貸し切りで使用できるクッションフロアのファミリールームを設けた。

 次に「食事メニューの充実」。「串カツ田中」では昨年6月からほぼ全店で禁煙化を行っている。それによりファミリー層が増加し、これまでの居酒屋としての利用に加えて食事の利用シーンが増えてきた。そこでメインとなる串カツの他に釜飯などのご飯ものを充実させた。また、ワンドリンク制とお通し代を廃止した(新たにメニュー化した「キャベツ」は1人50円で食べ放題となっている)。

「串カツ」は30種類以上ラインアップ
「屋台風いか焼き」250円
「田中名物!串カツとじ」680円
「田中のかすうどん」740円
「鶏釜飯」890円

 そして「利便性の追求」。「串カツ田中」としては初めて順番受付システムの「EPARK」を導入、ウエーティングをしなくても席の準備ができたらアラートで教えてくれる。また「O:der」も導入し、テイクアウトの事前予約、受取時間指定で待たずに熱々の串カツを受け取れるようにしている。

 3月26日に行われた店舗内覧会では、同社社長の貫啓二氏が同店の狙いについて説明した。以下にその内容を紹介しよう。

「トライアンドエラーでロードサイドモデルを固める」

(株)串カツ田中ホールディングス代表取締役社長の貫啓二氏

『当社の企業理念は「串カツ田中の串カツで、1人でも多くの笑顔を生むことにより、社会貢献する」というもの。そして目標は「全国1000店舗体制を構築し、串カツ田中の串カツを日本を代表する食文化とすること」です。これを達成するためにはロードサイド展開をスピード感を持って行うことが重要だと考えるようになりました。

 今回初めてロードサイドモデルを出店するに際して、群馬県は自動車保有台数が人口100人当たり69.58台と全国1位(自動車検査情報登録情報協会2017年)であることと代行車を利用する文化があることが、ここで始めることの判断材料となりました。

 これまで展開してきた住宅街で、思いがけなくお子様連れのお客さまが多かった。このような傾向を捉えて「お子様はいずれ大人になっていく。また、幼いときに体験したB級グルメは記憶に残る」ということを考えるようになりました。そこで、串カツ田中のメインターゲットは仕事帰りの人ですが、一番大切にするお客さまをお子様にしようと決めて今日に至っています。

「串カツ田中」では昨年6月よりほぼ全店で禁煙化しました。その理由は、喫煙者が減少しているというトレンドを捉えたのではなく、串カツ田中にとって大切なお客さまであるお子様を大切にしようという発想で取り組んだことです。これによってファミリーの客層が増えるようになりました。

 過去、住宅街で店内にたばこの煙が充満していることからファミリーのお客さまからのクレームを頂き、禁煙化についてどこかで決断しなければならないと考えていました。

 そして、禁煙化によってファミリーにとても喜ばれるようになりました。ロードサイドの岸和田、泉北の店では禁煙化に伴って客数が20%増えました。そこでロードサイドモデルでさらに一歩進んで「三世代で楽しめるFR型串カツ居酒屋」をコンセプトとするようになりました。

順番受付システムの「EPARK」を導入、ウエーティングをしなくても席の準備ができたらアラートで教えてくれる
「O:der」も導入し、テイクアウトの事前予約、受取時間指定で待たずに熱々の串カツを受け取れる。「EPARK」ともにチラシにQRコードを掲載
厨房に沿ってカウンターを設けた
テーブル席は半個室的に構成
貸し切り利用ができるファミリールーム
タッチパネルを用意

 全店禁煙化に伴って、客層の構成比が以前(2017年6月~11月平均)は会社員・男性グループが31.1%、ファミリーが13.4%だったものが、会社員・男性グループ24.1%、ファミリー20.8%となりました。それぞれ7%減り、7%増えたことになります。

小学生以下は「自分でつくれるソフトクリーム」が1個無料

 そこでロードサイドモデルでは、これまでのお子様サービスを継続していきます。「ソフトクリーム無料」(小学生以下)、「手作りたこ焼き」(6人以上の来店でたこ焼き20個を無料サービス)、「子どもジャンケンドリンク」(未成年限定、1人ソフトドリンク1杯が、ジャンケンで従業員に勝った場合が無料、あいこで半額、負けで定額)。こうしたお子様サービス(小学生以下)の他に、「お子様プレート」390円、「お子様うどん」290円など、「お子様メニュー」を充実させました。

 通常業態の客単価は2300円前後、アルコール比率は4割、ロードサイドモデルではアルコール比率が1割ほど下がり、それに対してフードメニューを増やしていますが、ロードサイドで営業している岸和田、泉北の実績から客単価は2000円になるものと想定しています。

 今後のロードサイド出店では前橋三俣店を標準として捉えるのではなく、ここでメニューやオペレーションなどのトライアンドエラーをしながら、近隣に出店してロードサイドの業態を固めていきます。』

「串カツ田中」ロードサイドモデルの展望を語る貫氏

「お子様」を大事にすることで可能性が広がる

 さて、同社の業績の動向を以下にまとめておく。

 同社は2018年11月期の重点施策として「地方出店の加速」「離職率の低下」「ターゲット別の販促」に取り組んだ。

「地方出店の加速」では、店舗数が増加し、テレビ放送の影響によって全国規模で認知度が向上した。客単価が低いために地方でも受け入れられやすく、実際に地方での売上げが好調で、串カツのニーズがあると判断し、全国1000店舗体制実現に向けて関東だけではなく地方展開を進めていく。

「離職率の低下」では、「新卒ルーキー店舗運営部」を立ち上げた。この部署では新卒社員が1年間研修を兼ねて入社同期のメンバーで店舗運営をし、新店舗のオープンなどをチームでやり遂げる。そうしたことを通して、理念を体感し活躍する人材を多く輩出させることが目的になっている。

「ターゲット別の販促」では、サラリーマン層に向けては「ノンスモーキングチャレンジ」(たばこを従業員に見せると通常のジョッキがメガジョッキになり料金は同一)などによって新たな顧客を開拓し、平日の売上げアップを図る。ファミリー層に向けては、「ごっこランド」(職業体験ゲームの知育アプリ)、「お子様の串カツ調理体験」「提供遅れの撲滅」を行った。

 これらで2018年11月期は、売上高76億6760万円(前年同期比39%増)、経常利益7億373万円(同35%増)。出店数は56(関東圏26うちFC13、関東圏以外30うちFC16)で総店舗数は218となった。2019年11月期の出店は64(うちFC31)を計画している。

 このように同社では店舗展開の方向性を定め、可能性を大きく広げている。そのポイントは、住宅街立地で業態をつくり上げてきたことで、スモールビジネスの骨格をしっかりと形成してきたこと。そこで偶然にも客層にお子様が多かったことから、これらを大事にした仕組みを作ってきたことである。これによって、顧客のターゲットが広がり、さまざまなプロモーションを行えるようになった。

 串カツ田中は業種として常識にとらわれることなく顧客満足の追求によって、事業の在り方を好転させてきている。