旅行で不便だと思うのが「移動の際のチケット手配」。移動手段や利用会社が違えば、交通事業者ごとに買うのがほとんどだからだ。

 そうした面倒を解消しようと、交通系ICカードの相互利用が進んだが、未対応の路線やカードがあるし、旅行会社が(宿泊なども含めて)予約代行してくれるが、これも公共交通機関の時刻を調べ、どれを使うかを決めないと話が進まない。

 こうした課題を解決し、無事に旅先のターミナル駅に着いても、そこからのバスや路面電車の利用で苦労した経験を持つ人は多いことだろう。

 そうした困り事を解決するサービスが誕生する。

スマホで経路検索から予約、乗車まで可能

「新モバイルチケット」(仮称)という日本版MaaSアプリがそれで、ジョルダン※1が5月にリリースを予定している。

(※1)ジョルダンは「移動に関するNo.1 ICTカンパニー」としての地位確立を経営戦略に掲げる企業で、その主要サービスは「乗換案内」(全国の電車、飛行機、バス、フェリーの時刻表・運賃・乗換案内・路線図・定期代などが調べられ、スポットや住所までの検索も可能。始発・終電検索、運行情報、構内図、出口案内や地図も提供中)。

3月26日午後、ジョルダン(株)MaaS事業の展開に関する記者発表会が行われた。会見に出席した発表者(右からジョルダンの佐藤俊和代表取締役社長、佐藤博志戦略企画部部長、Masabi社のジャコモ ビジェーロ アジア事業開発担当責任者)

 これは「乗換案内」のアプリに“チケットウォレット”を搭載させたもの。これにより、スマホで経路検索した画面のままチケット購入ができ、乗車もそのスマホで可能になる。ポイントは“チケットウォレット”とした点。ここに乗車券以外に食事や観光、宿泊のチケットを入れておけば、スマホで観光施設に入場可能(施設で入場券を買う手間を省ける)など、アプリ1つで旅行が完結する。

ウォレットにすることで、「アプリ1つでの旅行の完結」を目指す。

このためにMasabi社と総代理店契約をしていた

 こうしたサービスは既に、海外ではフィンランドの『Whim』というアプリ(ベンチャー企業MaaS Global社が2016年6月にサービス開始)があるが、その日本版といえるのが、今回のアプリ。

 ジョルダンは、今年1月にイギリスのMasabi社※2(公共交通チケットサービスを提供)と総代理店契約を締結。Masabi社のモバイルチケッティングサービス「Justride」を採用し、この日本版MaaSアプリを開発している。

(※2)Masabi社は2007年にイギリス初のモバイルチケッティングアプリを開発。交通機関のモバイルチケッティングサービスの先駆者として世界4大陸で40以上の顧客にサービスを提供している(アメリカではボストンのMBTAやロサンゼルス、ニューヨークの地下鉄、ラスベガスのバスなど)。

 日本版MaaSアプリでは「Justrideチケット」を表示することで、電車や高速バスに乗るが、これには二次元コードと目視用の2種類を用意。目視用のチケットは乗車後に交通事業者側が目で見て確認、二次元コードを読む端末がなくても利用できるようになっている。

二次元コードはこれで読み込む
目視で確認する方法もある

 二次元コードは複製のリスクを伴うが、「Justrideチケット」では二次元コードは一度しか使えず、5秒ごとに更新させることで複製を防止(目視用のチケットも文字が動き、色も変わるカラーバーにすることで、スクリーンショットによる複製を防いでいる)。

二次元コード、目視用ともに複製防止の仕組みが構築されている

「企画きっぷ」で売上げに苦しむ事業者も救う

 このアプリを観光施設や飲食店など施設で利用する場合は、施設にQRステッカーを用意。それを利用者がスマホのカメラで読み取り、チケットを表示させる仕組みになっている。

施設での利用は、スマホのカメラでQRステッカーを読み込む方法

 実は、この移動と施設のチケットを組み合わせると、「企画きっぷ」(電車+食事+観光)になるが、このアプリではその販売も行っていく。収入減の中、日本国内の交通事業者が積極的に開発しているのが、この「企画きっぷ」(京浜急行の「みさきまぐろきっぷ」など成功事例がある)。日本版MaaSアプリは交通事業者をサポートするものにもなっている。

移動に関するデータを取れる点も強みの1つだ

インバウンド向けに多言語対応アプリ

「ラグビーワールドカップ2019」(2019年9月~)や「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」(2020年7月~)では、多くの外国人観光客の訪日が想定されるが、このアプリではインバウンド向けに「多言語乗換案内」※3でチケットサービスを展開。

(※3)英語、中国語(繁体・簡体)、韓国語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語、フランス語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語

 日本人だけでなく、インバウンドにもサービスを提供し、アプリの浸透を図っていく。

 

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