日本茶ミルクティー専門店『OCHABA(オチャバ)』が3月22日にオープンしました。緑茶、ほうじ茶、玄米茶を使用したミルクティー専門店は日本初。立地は新宿駅東口改札を出てすぐのルミネエスト地下1階・ベルクの横。甘くスイーツ系のドリンクにすることで、普段、日本茶を飲む習慣がない若い女子へのアプローチを狙います。

飲み物ではなく、スイーツ・軽食を意識

 運営するのは、生クリーム専門店『MILK』を手掛けたオペレーションファクトリー。ドリンクのみの提供で、販売価格は480~580円(税抜き)。実際に「緑茶ロイヤルミルクティー」を飲んでみると、想像した緑茶の味よりも先にミルクの甘みを感じました。続く後味には、お茶の渋みをしっかりと感じられます。

 また底に入っているのは、はやりのタピオカではなく黒蜜入りわらび餅。飲み物としての喉越しと、わらび餅のもちもち食感が合わさり、飲み終えるとデザートを食べたような満足感があります。

「お茶は食事と一緒に飲む機会が多いと思いますが、日常でも楽しんでもらいたい。わらび餅入りなので、スイーツや軽食、ブランチとしても楽しんでいただけると思います。通常の日本茶では煎じる回数や入れ方によって味わいが異なるのを、1杯で楽しめるように工夫を重ねました」と、同社プロデューサーの市川貴洋さんは語ります。

提供カップは、茶器をイメージして丸みを帯びた作り。湯飲みのように手のひらに収まる形をイメージ(緑茶ロイヤルミルクティー)
ほうじ茶ロイヤルミルクティー
玄米茶ロイヤルミルクティー

 最も苦労したのは、ミルクに合う茶葉の選定。茶葉は値段だけでなく、大きさや加工、産地によっても味が変わります。さらに通常の茶葉だと煮込んでも味が出にくいため、ミルクに負けてしまいます。濃く抽出できる茶葉を探し、開発者2人で約1年、何十回も試作を重ねました。

 また茶葉は新茶の時期に年1回しか摘めないため、鮮度を長期間保つ保存方法も重要となります。選んだのは、静岡県産茶葉を扱う創業70年の「丸善製茶」。冷蔵庫の中にヒノキを貼って保管していた姿勢や、持っている茶葉の加工技術・知識に感銘を受けました。

カウンターには急須のオブジェを設置。煎じ回数や方法によって感じる日本茶の繊細なおいしさを、1杯に詰め込んで提供します

流行は追わず、自分の「好き」を世に問う

「伝統ある日本茶の固定観念に捉われず、フィルターを通して今の世の中に合わせる。流行を追うのではなく、自分の好きなものを、今の時代にどう合わせるか。大変だけれど、仕事だからではなく『好きなものだから楽しめる』のは、あると思います」(市川さん)

 生クリーム専門店のMILKを出店した際も、自分が生クリーム好きだったことがきっかけだったと語る市川さん。ただ出店してみると、生クリーム好きな潜在顧客層の存在に驚かされたと語ります。

 今回も日本茶を甘く飲ませるという新しい考えに賛否両論があるのではと憂慮していましたが、滑り出しは順調。オープン日の3月22日16時取材時点では、50組程の行列ができていました。

「新宿駅は、乗降者数でギネス世界認定記録を持つほどの通行量なので、発信地としては最適。海外展開も狙っています。目標は1日1000杯。オススメはアイスドリンクのロイヤルミルクティー。10~20代のあまり緑茶を飲まない若い女性層に飲んでもらいたいですね」(市川さん)

SNS用の壁紙として防火扉をデザインし、写真が撮れるようになっている店内。
新宿駅の一角で狭い店舗ながらも、工夫が見られます

 最新の技術や商品に追随するだけでは、大外しは免れても、どうしても後手に回ります。自分たちが心から「良い」と思ったものを発信して世の中や時代に合わせていくという考えは、もっと増えていってもいいのではないかと感じました。

 商品があふれる現在では、作り手側の本気度も商品選定の1つの基準になってきています。「どれだけ商品に思いを込めているか」「熱く語り、良さを伝えられるか」も、お客さまに重視されていく気がします。

店舗は、JR新宿駅東口改札と東京メトロの中間に位置。通行客のかなり多い好立地で、どれだけの人の足を止められるかが注目されます

 会社としては、日本らしい名産物や文化を今の時代に合わせて世界に発信していく戦略。そして、2019年夏頃にはMILKの海外出店も予定しています。今後の新商品候補として市川さんが興味を持っているのは、MILKでつながりを持った北海道で見つけた小豆の和菓子やチョコレート。自分の好きなものや興味を起点にした商品作りを続けていきます。

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食品商業2019年05月

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平成から令和へ 駆け抜ける戦略店

間もなく平成が幕を閉じ、新たに令和の時代に突入しようとしている。 平成最後の年にオープンを迎えた新店群のマーチャンダイジングは、食品小売りにおける平成時代の到達点を示すものだろう。 平成から令和を駆け抜ける戦略店から、平成の到達点に思いを致そう。