毎年3月のSPAC月例会『最新オムニコマース戦略総研究』で発表している「ECモール評価ランキング」が今年もまとまったが、今回は大きな変化があった。人気を独占してきたゾゾタウンの評価が急落してライバルECモールに評価が分散し、2位以下の順位が大きく変わってしまったのだ。

評価が急落したゾゾタウン

 ゾゾタウンは6年連続して首位を守ったが全項目が前年から評価を下げ、総合評価は前年の6.36Pから半分以下の3.13Pに急落。17年の9.30Pからは3分の1まで落ちてしまった。低価格テナントが増えたせいか「ファッション感度」も0.77Pと前年から半減、マガシークやフラッシュセールサイトのグラッドに迫られている。「集客力」こそ首位を守ったが「売上伸び率」では楽天ブランドアベニューに抜かれて2位に落ち、「物流機能」は首位を守ったもののアマゾンに僅差で迫られ、「ささげサービス」はベスト10にも入らなかった。

 総合評価には含めなかったが、「売上対比手数料負担率」でも2年連続して最低評価に甘んじた。独占的地位と高収益にあぐらをかいてコスト抑制に注力せず手数料率をかさ上げ続け、PBに膨大な投資を割いてフルフィルなど出店者利便を高める投資に集中しなかったツケが現れている。

 ゾゾタウンの評価はZOZOARIGATO以前からジリジリと低下していたわけで、ZOZOARIGATOを契機に吹き出したアパレル側の不満は広がりこそすれ収まりそうもない。ZOZOがゾゾスーツやPBに注力している間にライバルECモールは着実に体制を整えて差を詰めており、ZOZO一強はまさに崩れんとしている。ZOZOがPBがらみの迷走で失ったアドバンテージはあまりに大きかったのではないか。

急躍進の楽天ブランドアベニューと足踏むアマゾン

 総合2位は前年の5位から急躍進した楽天ブランドアベニュー(ファッションモール)で、「売上伸び率」でゾゾタンを抜いて首位に立ち、「集客力」「ささげサービス」でも2位につけている。16年10月のスタイライフ統合でバラエティが広がり、現在は965店とゾゾタウンの1250店に迫る。人気がそちらに流れたせいか、楽天市場の方は6位から8位に落ちている。

 3位は前年と同じくアマゾンで15年の16位から着々と上昇してきたが17年以降は3位で足踏んでおり、今回は楽天ブランドアベニューに抜かれたのが印象的だ。2位に評価された「物流機能」を除けば突出した項目がなく、「集客力」で3位、「売上伸び率」で4位に評価されるにとどまる。ファッションウィークに協賛したり大規模スタジオに投資したりしているが、「出品型」のフロントでは「ファッション感度」も最下位の楽天市場と大差なく、ZOZOの敵矢を生かせないでいる。

 4位はNTT系のマガシーク(ファッションモール)で17年の2位をピークに4位をキープしているが、同じNTT系のアウトレットピーク(ファッションモール)は前年の11位、dファッション(ファッションモール)も14位から圏外に脱落しているから、いずれ統合が不可避だろう。5位はマルイウェブチャネルで前年の2位からは落ちたが、デベ系では最上位に位置している。6位もデベ系(百貨店)のタカシマヤファッションスクエアで、前年から1つ順位を上げた。

 7位はフラッシュセール総合モールのグラッドで、同業2位のギルト(ファッションモール)を統合して順位を上げた。8位は総合モールの楽天市場で、前年から1つ落ちたが15年の17位、16年の12位、17年の9位からは着々とアップしている。9位は17年末スタートの&モール(三井不動産)で、前年12位に登場して今回は3ランクアップしている。10位はマガシークと提携したロコンドで、前年の13位から3ランクアップしている。

 11位はデベ系モールの渋谷109公式通販で、前年の9位からは2ランクダウン。アイルミネは14位と前々年の4位、前年の8位から急落している。パルコオンラインストアはランクにも入らず、デベ系はマルイ、タカシマヤ、三井不動産を除けば勢いがない。18年2月にスタートしたストライプデパートメントはようやく20位に顔を出したが、「集客力」も「売上伸び率」も最下位と厳しい。

評価項目に見るECモールの優劣

「集客力」ではやや落ちたとはいえゾゾタウンが断トツの首位だが、楽天ブランドアベニューがアマゾンを抜いて迫っており、楽天市場、グラッドが続く。「売上伸び率」では楽天ブランドアベニューがゾゾタウンを抜いて首位に立ち、ショップリスト、アマゾン、楽天市場が続く。「モールのファッション感度」では、評価が半減したゾゾタウンにマガシークとグラッド、集英社フラッグショップが迫る。

「物流機能」ではゾゾタウンとアマゾンが僅差で並び、ロコンド、アウトレットピーク、マガシークと続く。「顧客データの提供」はどのモールも評価が低いが唯一、&モールが突出。タカシマヤファッションスクエア、グラッドが同評価で続く。「店舗への誘導効果」でも、17の三井不動産大型商業施設に受け取りとお試しの「&モールデスク」を設置して店舗と一体のC&Cを推進する&モールが突出。だいぶ離れるがマルイウェブチャネル、アイルミネと続き、この点でもデベ系モールの評価が高い。

「売上対比手数料負担率」では楽天市場が断トツに評価が高く、&モール、Wowmaが同評価で続く一方、ゾゾタウンとショップリストは極端に評価が低い(ワースト1位、2位)。それだけ手数料率がかさむということなのだろう。モール側と出店・出品側の業務分担もさまざまで一律に評価すべきではないが、モールによって平均的手数料率は10%未満から30%以上まで20数ポイントも開きがあり、ゾゾタウンは他ファッションモールより5〜7ポイントも高い。それだけモールのファッションイメージも集客力も高いということなのだろうが、高率な手数料に見合う利便が出店者に提供されているか、業務分担の柔軟性も含めて懸念が残る。

ECモールのタイプと業務分担

 ECモールにはさまざまな事業形態があり、評価するにはモール側と出店・出品側の業務分担と手数料率のバランスを見なければならない。

 ECモールには「出品」と「出店」があり、アマゾンやショップリストは「出品」で単品の価格競争になりやすく、ブランドの顔や品揃えを表現できない。どのモールもテンプレートの構造は似たようなもので編集設定によって「出店」にも「出品」にもなるから、ブランドの顔と品揃えをどう見せるかはモール側の政策が左右する。売上げが欲しいのか会員顧客を獲得したいのかブランドを訴求したいのか、出店・出品する側も進化段階に応じてモールを選択する必要がある。

 業務分担から見たECモールのタイプは、出店場所を提供するだけの「場所貸し型」から在庫を預かってフロントからフルフィルまでECの全てを代行する「フルフィル型」まで4タイプに分かれる。

1)場所貸し型

 自社ECを商店街に出店するようなもので、ECフロント構築(モールのテンプレートも選択できる)から出荷までほぼ出店側が分担するから手間がかかるが、顧客情報を直接入手できるメリットは大きい。売上課金は数%ないしは名目無料だが、楽天やヤフーなど総合モールでは多数の出店者がひしめく中を自社ページに誘導するさまざまなプロモーションが必要で、ポイント負担やアフィリエイト費用もかかるから、売上規模が小さいと必ずしも低コストに収まるとは限らない。それでも大半の出店者が、自社で分担する業務のコストや人件費も含めて売上対比15%未満に収まっている。

2)マーケットプレイス型

 ECフロントのシステムと受注、決済はモール側で、在庫管理・出荷は「宅配伝票データ」を得て出店・出品側が行う。顧客情報は宅配伝票の住所・氏名にとどまるが、モール側の在庫管理・出荷や宅配運賃の負担が無い分、手数料率は「フルフィル型」より10ポイント以上軽くなる。出店・出品側はそれらを自ら負担するから総コストはさほど低くはならないが、自社ECの体制が整った事業者なら低コストに回せるし、何より在庫を分散しないで済む。自社で分担する業務のコストや人件費も含めて売上対比20%未満に収まるケースが多い。

3)受注・宅配委託型

 マーケットプレイス型とフルフィル型の中間で、モールが受注した商品を出店・出品側の倉庫からモールの倉庫に移送してモールが宅配出荷する。デベロッパー系やフラッシュセール/アウトレット系に多い。移送のタイムラグは生じるし顧客情報も手に入らないが、自社倉庫に在庫を置いたまま複数のモールサイトの受注に引き当てられるメリットは大きい。自社で分担する業務のコストや人件費も含めて平均は売上対比25%前後に収まるが、取引高や商品単価などケースによってかなり幅があるようだ。

4)フルフィル型

 在庫を預けてECフロントから受注、決済、在庫管理・出荷まで全てモールが代行するフルサービス。人気のファッションECモールに多いタイプで、売上げは取れるが手数料率も百貨店並みにかさみ、在庫の分散が避けられない。『在庫を預ける』といっても売上手数料課金だから消化仕入れみたいなものでモールというより百貨店に近く、顧客情報も全く入ってこない。売上対比25〜35%の手数料がかかるのが一般的だが、個別ケースは20〜40%と幅がある。かつては主流だったが、店舗とECの顧客と在庫を一元運用してC&Cなオムニコマースを図る企業にとっては足枷で、離反する企業が増えている。

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 ECモールをどう評価するかは出店・出品側の進化段階や体制によって大きく異なるから、一律に考えるべきではない。4タイプの業務分担や手数料負担を考慮し、自社ECの進化に合わせて比重を切り替えていくのが定石だ。ECモール側とて出店・出品側の進化過程に応じて複数のソリューションを提供すべきで、ワンパターンだけでは有力出店・出品者の離反を招くことになる。ECモールランキングの変化はそんな時流を現しているのではないか。