テムザック製の「RODEM」に乗ってきました!

 話は自宅から出掛けるところから始まる。

 家の前には自動運転のモビリティ(乗り物)。それに乗って買物に行くわけだが、自動運転なので、もちろん運転の必要はない。するのは乗り物に付いた端末に「〇〇スーパーに行って」と話し掛けるだけ。

 すると、モビリティは安全に走行しながら、目的地まで移動。乗り物の中では窓の外の様子を見るのもいいし、さっきまで見ていた映画の続きを端末で鑑賞するのでもいい。

 快適に過ごすうちにスーパーマーケットに着くと、その前には同様のモビリティ。そのまま店内に入るわけだが、入店の大渋滞で待つわけでもなく、乗り物は次々と店内に。そうするうちに、自分の番がやってきた。

 モビリティの端末に「夕食にワインと肉料理を楽しみたい」と言う。すると、乗り物は店内のワイン売場に向かうが、その移動中、端末がAI技術を使い、「今晩のワインと肉料理」を決める手助けをしてくれる。もちろん、モビリティはスムーズに移動し、他の乗り物とぶつかることなどない。思ったよりも早く着きそうで、ワインと肉料理の組み合わせはまだ決まらない。

 すると、端末はワインの好みに応じて「何種類かのワインと肉料理の組み合わせを提案」してくれる。その提案は食卓を映した動画で行われるが、最初の提案「ビーフシチューとボルドーの赤ワイン」は柔らかそうな牛肉に寄っていき、グラスに赤ワインをゆっくりと注ぐ映像を見て、食欲を刺激され、この組み合わせにすることにした。

 このとき、ちょうど、ワイン売場へ。AIはすかさず、「価格帯の異なるボルドーの赤ワイン」を何種類か提案してくれる。生活は苦しいが、動画の臨場感とリアル店舗にいる刺激が気分を高揚させるのか、奮発して2000円のワインを買うことにした。

 次はビーフシチュー。端末は「素材からつくるか、出来上がったものを買うか」を聞いてくれる。たまにはゆっくり料理をするのもよいが、食後は自宅のリビングで観たい映画がある。趣味の時間を優先して惣菜を買うことにした。

 モビリティは対面形式の売場に。そこで、店舗の従業員に食べたい量だけビーフシチューを注文した。従業員はそのまま食卓に出せ、電子レンジでも加熱できる容器にビーフシチューをよそいながら、「一緒にフランスパンはいかがですか?」と薦めてくれる。ビーフシチューのソースをつけたフランスパンを口に含み、赤ワインを飲むところを想起し、フランスパンも買うことにし、それを伝えると買物は終わり(会計は端末にひも付けしたクレジットカードなどで自動的に済む)。

 端末に「自宅に帰る」と伝えると、自動運転の乗り物が連れて帰ってくれる。買った商品はそれを追尾する別の乗り物(これも自動運転)が運んでくれ、玄関でそれを受け取ればよい。

 夫婦2人で楽しいディナーを楽しんで、映画もゆっくり鑑賞。充実した時間を過ごせたなと思っていると、自分のスマホに買物をしたスーパーマーケットからメッセージが。買物をしてくれたことの感謝と、買った商品に不満がなかったかを気遣う内容、そして、購入したビーフシチューには冷凍の商品もあり、食べたいときにすぐにレンジアップすれば食卓に出せることを教えてくれた。

 ビーフシチューがとてもおいしかったので、思わず、冷凍の商品を注文をしてしまった。

介護用車いすの活用場面が広がって

 と、妄想が広がるような体験をした。

 それは2019年3月18日(月)の「丸の内エリア 次世代モビリティ体験 記者発表会」でのこと。

会見には「メイプル超合金」がゲスト出演。カズレーザーさん、「RODEM」が欲しいそうです。
(株)テムザックの髙木陽一代表取締役。「人の役に立つロボットを世に出すことに取り組んできた」 

 これはNTTドコモと三菱地所、三菱地所設計、テムザックの4社が丸の内エリア(東京)で次世代スマートモビリティ「RODEM」を使って観光客向けの公道実証実験を行うことを発表したもの。

これが「RODEM」。やや前傾姿勢で乗るので体が安定する。

「RODEM」は座って乗るが、その際、乗り物前部内側に膝をつけ、前傾姿勢になるので、安定性が高く、乗っていても疲れない。これはもともと、テムザックが介護用車いすとして開発したもの(ベッドの縁に座った状態で車いすに乗るには体を180℃回転させねばならないが、これだと座ったまま、前に体を運ぶだけで乗れる)。5年ほど前からはNTTドコモも開発に加わり、介護以外の分野でも応用できないかと研究を重ね、沖縄の道の駅、京都の嵐山での実証実験を経て、今回の公道実証実験になった。

 

 今回は丸の内には訪日ゲストも多いが、景観への配慮から店舗などに看板掲示制限があることに着目。そこで、「RODEM」に取り付けたNTTドコモのタブレットで、3つの取り組みを実施。それは(1)「レストランなどの探索が可能なARと『dグルメ』を組み合わせたサービス」、(2)「『はなして翻訳』を用いた多言語翻訳によるインバウンド対応」、(3)「三菱地所設計が提供する丸の内エリアの歴史紹介コンテンツを動画や『AIエージェント基盤』を活用した対話形式等で体験できる」。「RODEM」に乗り、周囲の観光情報に簡単にアクセスしながら、周囲を回遊できるようになっている。

操作はジョイステックで簡単!
これを首にかけると音が聞こえる。
 
 
 
 
「d払い」でのキャッシュレス体験もできます。
キッチンカーでバナナジュースを頂きました。

困っている高齢者、主婦、共働き夫婦を救う

 実際に「RODEM」に乗り、この体験をしてきてひらめいたのが、冒頭に書いた「未来のスーパーマーケットの姿」。

「RODEM」は現在、乗った人が操作する(といってもジョイスティックを動かすだけ。自動車の運転免許を持たない私でもできた)か、遠隔操作するか(近距離の場合)。自動運転が実現するのは5G(第5世代移動通信システム)が商用実用化される2020年を待たねばならないが、5Gを使えば、建物内のセンサー活用も進み、「未来のスーパーマーケット」は実現できると思っている。

 こうなれば、店舗に行けない高齢者や、家事や育児に疲れて、でも買物に行かねばならない主婦、忙しく働く共働き世帯の男性でも、ストレスなく、自分であれこれと考えることなく(これがいいかは微妙だが)、買物ができるのではないだろうか。

「RODEM」は現在、屋内用のもので1台100万円。屋外用のものはもう少し高くなりそうだし、タイで生産する台数も限られているが、1回の充電で15キロ走れる点も魅力。量産ベースに乗れば価格もこなれてくるだろうから、自家用車代わりに個人で購入もできるだろうし、スーパーマーケット企業が1店舗に何台かを配備することも可能だろう。

 この「RODEM」に乗りたいという方、3月22日(金)は新東京ビル1階 JNTO TICで試乗体験ができますし、関心がある場合は(株)テムザックまで問い合わせをしてください。

 
左から安田健一さん(三菱地所設計 R&D 推進室長)、佐野洋志さん(三菱地所 街ブランド推進部 オープンイノベーション推進室長)、安藤なつさん(メイプル超合金)、カズレーザーさん(メイプル超合金)、齋藤武さん(NTTドコモ 第一法人営業部 部長)、髙木陽一さん(テムザック代表取締役)

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販売革新2019年7月号

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■リアルの逆襲/■日本の小売業最新決算2019

アメリカではウォルマートなど“リアル小売業”からスタートした
チェーンストアの好調が目立ち中国でも”リアルの逆襲”というべき現象が 発生しているという。
彼らはネット(EC)とリアルを融合させ大きな飛躍を遂げている。
そこから日本が学ぶことは多いはずだ。
アメリカ、中国、そして日本の”リアルとEC”の現状と今後を分析し、
リアル小売業の在り方を追求する。