アイリスオーヤマのパック米

 アイリスオーヤマの業績拡大が続いている。

 同社HPに記載された売上推移を見ると、2003年1300億円、2012年2400億円、2018年は4750億円(いずれも12月期。グループ合計売上高)と6年でほぼ倍増となっている。

 収納用品から電球、家電、パック米などいわばコモディティ(機能や品質の差異が減少し、普遍化)商品の製造・販売を主力にしている同社はなぜここまで成長できるのか。

 アイリスオーヤマは1958年、プラスチック加工の大山ブロー工業所として創業。1964年、現会長の大山健太郎氏が経営を引き継ぎ、以降、ガーデン用品、ペット用品などを主にホームセンター向け商材の製造・供給を行ってきた。

 1988年、収納ケースを開発。中身が見られるクリアな仕様は家庭での使い勝手のよさから同社の象徴ともいえる主力商品となった。

 そして2012年にはLED事業に参入。前年の東日本大震災では仙台に拠点を置く同社も物流センター、本部に被害を受けた。その際の経験が節電および使用電力削減につながるLED電球が必需となるとし、開発を加速化させたもの。ラインアップも家庭用からオフィス、店舗、工場、街灯用まで拡大している。

 2014年から始めた精米事業は、東北のコメ生産者の活性化を目的に手掛けたもので、低温精米という独自技術と食べ切りしやすい2合からのラインアップにより、人気商材となっている。

全部署参加の新製品開発会議で投入スピードを高める

 同社の扱い品目は約1万5000品目。

 そのうち新製品として投入して3年以内の品目が62%を占める。その源が新製品開発会議。メディアでもよく紹介されているが、毎週月曜日に行われる同会議では社員による短時間のプレゼンで採否が決定される。開発、生産、営業から品質管理などあらゆる関係部署が集う会議でもあるので、投入決定後の動きも速い。

 同社はメーカーベンダーという言葉を生んだパイオニアでもある。製造から小売りまでを一気通貫で行うプレイヤーをSPA(製造小売業)と呼び、主にユニクロのファーストリテイリング、無印良品の良品計画が挙げられる。いずれも50%前後の高い売上利益率が特徴だ。

 同社は製造から小売業向けの販売(卸)を行うという意味では製造卸、つまりメーカーベンダーと呼ばれる理由だ。従って、営業収益の伸びだけでなく、その収益性が気になるが、非上場企業であるため、売上利益率、営業利益はもちろん、カテゴリー別の売上構成比、伸び率も不明である。

 アマゾンはじめオンラインリテーラーによりリアル店舗の顧客減と売上減がジワジワと進む中、商品を企画・開発し、配送する機能を持った企業の強みが際立つ。アイリスオーヤマの成長と対比するように、同社の主な販売先であるホームセンターの苦戦ぶりに象徴される。

 その意味で店舗を持たないメーカーベンダーはSPAの強み、リアル店舗を持たないことの強みを兼ね備えていると言える。

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