厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

第30話 外資系医療メーカーで働く妻・マコの目線

 

 一家の大黒柱のような役割をしていたことがある。

 私が外で働いて稼ぎを担当し、夫は家で主夫として家事・育児を中心に担う生活。私の収入がほぼ家族の世帯年収になるため、プレッシャーが大きくて必死に仕事をした。

 きりのいいところまで終わらせようとして、ついつい家族との約束よりも遅い時間まで働いた。終電帰りの日も多かった。

 帰宅すると、子供たちは既に寝ている。食事を用意してくれる夫がイライラしているのが伝わってくる。

「今日はもっと早く帰って来れるって言ったよね? 子供たちも楽しみに待っていたんだよ」

「ごめんね、遅くなっちゃって」

「帰ってきたらやるって言っていた掃除、ちゃんとやっておいてね」

『……こっちは家族のために外で働いて稼いできて、残業帰りで疲れているのに、家事まで分担しなきゃいけないの?』

 心にモヤモヤ浮かんだ不満を、グッと飲み込んで食事を済ませ、部屋を片付ける。夫は夫で家事だけでなく育児もあって大変だと分かっていても、不平等感が拭えなかった。

―――

 転機は、私の外資系企業への転職がきっかけだったように思う。転職して私の帰宅時間が早くなると、余力が残っていることもあって少しずつ家事をやれるようになっていった。

 2年前に自宅で仕事をする完全リモートワーク勤務になって、夫・タカの仕事の比率が増えると、生活は大きく変わった。

 まず、仕事で家にいなかった私が常に家にいるようになったことで、帰宅時間でもめることがなくなった。

 夫が仕事を増やした分、世帯年収は増えてプレッシャーは和らいだ。私は仕事の隙間時間に、気分転換に家事をするようになった。

 やる家事は、タスクリストにも乗らないような些細なことが中心だ。お茶を飲むために開けた冷蔵庫の、調味料の欠品や賞味期限のチェック。返信待ちや仕事が煮詰まった合間合間に、少しずつ干していく洗濯物。

 いざ家事をやろうと思うと時間もかかるし気ものらないけど、仕事からいったん離れるという名目だと、案外サクサク進む。

 会社だとただPC前で頭を抱えたり、トイレに席を立つくらいしかできなかったけれど、家なら人目を気にせずに立ち上がれる。仕事とは関係ない家事が、よい気分転換になっている。

 共働きに変わって夫婦の役割分担が曖昧になったことで、お互いが家事をすることへの納得感も生まれた。

 時差の関係で23時からオンラインミーティングが入ったりもするが、働く時間がこちらである程度調整できるのも助かる。夫婦が共に稼ぎ、共に家事を分担する今の生活には満足だ。

―――

 夫と私にとって育児は共通の趣味のようなもので、これまでも教育方針や育て方など、顔を合わせるたびに話し合ってきた。

 お互いの価値観をぶつけ合って議論を何度も重ねることで、実際の育児の改善につなげてきた。

 子供が幼いときと今では育児の大変さが異なるように、これからもライフステージによって働き方も変わっていくだろう。

 そのたびに家族で話し合い、その時々でベストな選択肢を探して進んでいきたい。

 

>第29話 複業スタイルで働く夫・タカの目線

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 この連載では、エピソードの元になる共働き生活(料理、買物、外出についてお話を聞かせていただける共働き家族を募集しています。

 また、併せて共働き生活に役立つ商品・サービスを取り扱っている企業も募集しています。

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