先週末、家族で行ったいちご狩りで面白い体験をしました。

 地域にもよるのでしょうが、いちご狩りでは事前予約が必要なところが多いです。私たち家族は予約していなかったため、早起きして当日受付可のいちご農園を目指しました。

 1件目に向かったいちご農園Aは、受付開始時間は7時半。ところが15分前の7時15分には、行列客のみで募集を締め切っていました。

 急いでスマホで当日受付可能な別のいちご農園Bを検索し、向かいました。こちらはまだ受け付けており、私たち家族がいちご狩りを終えて出てきた10時半前に受付を終了していました。

 定員になるまでの時間の差は、約3時間。定員数は当日のいちごの生育状況や団体人数にもよるため、一概には比較できませんが、ほぼ同じ状況下でこれだけの違いが生まれることに私は驚きました。

受付終了まで3時間差。いちご農園AとBの相違点

 

 いちご農園AとBの条件は、ほぼ同じでした。

 どちらも食べ放題の時間は30分間で開園時間は10時、複数種類のいちごが食べ比べできる点も同じです。地理的にはAの方がやや最寄り駅に近いものの、AからBまでは車で約15分以内の距離でした。

 違う点は、広報力とアイデアでした。

 Aは公式HPを設け、SNS発信を行っており、小さなことですが待ち時間に遊べるグッズやスペースを用意していました。

 Bは公式HPやSNS発信などは行っておらず、体験した参加者の口コミがあちこちで見られる程度。現地に行くまではやっているのかも分からず、案内看板が出されたのは開園の約1時間前でした。

 いちご狩りの「体験」自体にはあまり変わりがないはずですが、実際に来店客の出足には大きな差がありました。

 いちご農園では、いちごの出荷業務がメインだと考えられます。一般客へのいちご狩りはある種のサービスで行われているのかもしれません。だとしても、やるからには早期に一定数の人数が確保できる方が、安心につながるはずです。

選ばれるための仕掛けや工夫とは

 

 これと同じことが、最近あらゆる分野で起きていると私は感じています。

 最新テクノロジーを扱うなど明らかな特徴がない限りは、スーパーマーケットなら食べ物を販売すること、ファッション業界なら洋服を取り扱っていることは、どのショップでも同じです。だからこそ、自分たちの「ウリ」を丁寧に伝えることが必要になってきています。

 自分たちがどんな考えを持っているのか、取り扱う商品の特徴は何かが伝われば、消費者はより店に親近感を覚えます。

 実際、私はBを訪れて、「もっと人気が出てもおかしくないのにな」と感じました。複数種類のいちごの食べ比べができること、受付を済ませたら開始時間までその場で待たなくていいことなども、他のいちご狩り農園と比べると十分差別化になります。価格もAよりBの方が安かったです。

 Bでいちご狩りをしている最中には「皆さん『赤くないから』と残して食べ頃を過ぎてしまうんですが、このレーンのいちごの品種は、赤くなくても食べられますよ」など丁寧な説明がありました。他では有料のところもある練乳の追加もサービスで行うなど、とても良心的な雰囲気でした。

 自店のいちご狩りの営業日や開園時間、取り扱っている品種、ルールを開示するだけでもぐっと注目度が上がるはずです。

 もっとも、いちご農園の場合は、あまりにもお客さまが集まると本業の出荷に影響が出て、かえって困るのかもしれません。ただ、物も人もいいのにあまり知られていないBのようなお店が、今はたくさんあります。

「〇〇店」と掲げるだけでは、同業者と自店との比較になります。でもほんの少し手間をかけて特徴を出せば、まだ見えないお客さまの潜在ニーズを引き起こすこと、より自分たちの考えに近しいお客さまを呼ぶことができます。

 特徴がなければ、気付いてもらうまでのハードルが格段に上がります。

 いちご狩りを例に取れば、当初、私は事前予約が必要ないちご農園が多いことも、練乳や品種の存在も頭にありませんでした。

 

 練乳が付くという情報を目にして初めて「そうか、食べている間に味に飽きてしまうかもしれないから、やっぱり練乳は付いていた方がいいかな」と思いましたし、複数品種が楽しめるとサイト上に記載があったことで「たとえ値段が少し高くても、いろんな種類が食べられた方が楽しいかもな」と気付くことができました。

 販売側は、具体的なキーワードやヒントを出して“解像度”を上げ、ニーズをより具体化して自店を選んでいただく必要があります。でも実際は、まだ店名やブランド名を前面に出して顧客認知を図る店が多いです。

 たくさん情報が開示されていれば、お客さまはそれだけでも安心できます。初めて行く場所ならなおさらです。働いている側からすれば常識に思えるような開店時間やサービス内容を伝えるだけでも、一般のお客さまにとっては価値ある情報になることも起こり得ます。

 公式情報であれば、伝える媒体は何でもいいと思います。自店を知って選んでもらうためにも、改めて広報戦略を見直してみてはいかがでしょうか。