セブン‐イレブン向けの米飯トップベンダーが急減速している。店舗数2万店を超え、今もなお売上高、利益を伸ばし続ける最強コンビニチェーンの基幹商材を支えるベンダーに何が起きているのか。

 わらべや日洋ホールディングス(株)は、セブン‐イレブン向けに米飯、惣菜、調理パンの製造・供給をしている。同社の2019年2月期の連結業績は売上高2177億円(前年比99.4%)、経常利益17億5000万円(同43.5%)を見込んでいる。これは、1月に開示された第3四半期決算で発表されたもので、本決算での発表は4月になるが、見込み通りであれば上場以降、初の減収で経常利益もこれまでにない減額幅となる。この要因は人件費、物流費などの高騰を挙げている。

 同社は1967年、現業の礎となる調理パンの製造販売を開始、78年にセブン‐イレブンとの取引を開始、以降、同チェーンを主要取引先として、店舗数の増加、出店地域の拡大とともに業績を拡大してきた。2016年、事業会社のわらべや日洋を連結子会社とした現社名に変更。全国2万店以上のセブン-イレブンの約8割の店舗に年間累計で700アイテムに及ぶ商品を供給する。セブン-イレブン向けの売上高はわらべやの76.9%(18年2月期)を占める。

相次ぐ新商品、リニューアルにより販管費が高止まり

 業績推移を見ると売上高は安定的に増収を続けてきたものの、経常利益については売上比1.5%を境に増減を繰り返してきた。

 2018年2月期は売上高2191億円に対し、売上原価1876億円、売上総利益は314億円(売上総利益率14.4%)。販売管理費277億円を差し引くと営業利益37億円、経常利益40億円(経常利益率1.8%)の収益性。冒頭に挙げた減収減益要因は不可避なものといえる。

 損益計算書に記載された販管費の内訳には「運搬費」「人件費」「賃料」など製造・物流会社ならではの費目が含まれるが、特に「その他」と記された費目が77億円(販管費内比率28.0%)と高いウエートを占めている。有価証券報告書では「その他」は「修繕」と記載されており、過去にさかのぼっても毎年高い比率を示す費目。工場などの設備に対する修理、改修費用と考えられる。つまり、恒常的に製造ラインに対し改修コストを投じていることが読み取れる。

 この背景には主取引先であるセブン‐イレブンの商品政策がある。同チェーンは弁当、おにぎり、パスタをはじめ基幹商材に対し、新商品投入、改廃などを活発に行っている。中には製造方法の変更を要するものもあり、製造ラインや設備の修正も伴う。

 特に近年、健康を意識した商品の投入が顕著になっているが、例えば、「1日に必要な野菜の2分の1がとれる」と銘打った商品がラインアップされているが、昨年発売の「1/2日分の野菜!7種野菜のビビンバ丼」の場合、食感を確保するために硬さの異なる野菜を別々にボイルして盛り付けている。また、もち麦を使用したおにぎりでは、もち麦と白米をそれぞれが適した時間、浸漬させた後に混ぜ合わせる製法をとっている。

 作業工程の変更だけでなく、これに伴う製造設備の改修費用が先述の「その他」費目を押し上げる一因と考えられる。メニューの改廃とリニューアルはセブン‐イレブンの生命線であるだけに今後も大幅な削減が難しいコストといえるだろう。これらはわらべやだけでなく、セブンに供給する他のベンダーにもいえるだろう。

 こうした既存メニューの改廃に加え、セブンが注力するカテゴリーも米飯、惣菜だけでなく、調理麺、サンドイッチ、冷凍食品と拡大している。セブンの食品におけるカテゴリーを伸び率の高い順に挙げるとカウンターFF(107.2%)、調理麺・その他(105.8%)、デリカテッセン(惣菜・サラダなど、104.5%)となっている(2019年2月期 第1四半期全店平均実績)。 

 わらべやでは、メニュー用の食材を取り扱う「食材関連事業」は売上比では約1割を占めるが、第3四半期時点で前年比70.8%、額にして56億円の減収となっている。海産品の不振が大きいと同社では説明しているが通期の減収の一因になったと思われるが、先述の注力カテゴリーが変わりつつあることと無関係ではないだろう。

 新商品投入と改廃、注力カテゴリーの深掘りがセブン‐イレブンの強さを支えているが、その後方を支えるベンダーの置かれた状況を見ると、規模はわらべやに及ばないが、同じくセブン‐イレブンを主たる取引先とし、同じ業容を持つフジフーズ、武蔵野といったベンダーにとっても共通の課題であり、悩ましいところである。