ネット小売りの巨人・アマゾンが無人実店舗「アマゾンゴー」を全米各地に展開し始めています。それはアメリカではスマホ保有率が77%以上となり、それをICカードのように使う時代が到来したから。これにより、ウォルマート(全米小売業売上高1位)とクローガー(同2位)はアマゾンゴーと競合するときが来ると見て、具体策を講じ始めました。

 今回は、ウォルマートとクローガーのアマゾンゴー対策を比較し、リアル小売業が目指すべき地元密着の戦術を解説していきます。

対アマゾンゴーのウォルマート対策の改善から生まれた

 クローガーは各州の食品小売りチェーンを次々と買収。今や、全米35州とワシントンD.C.に2700を超える店舗(中心はスーパーマーケット=SM)を展開、約12兆円の売上げを稼ぎ出しています。その傘下にあるのが、「地域密着で売上げシェア1位を誇るSM」のラルフスです。

 このラルフスが約400店舗をドミナント展開する西海岸・ロサンゼルス地区は特に物価が高いところ。共働きで時間がない中、節約もしなければならず、できれば家庭での調理や買物の時間を短くしたいと望む生活者が多い地域です。

 この地にアマゾンゴーは2019年に出店を予定しています。入店時にQRコードをゲートにかざせば、売場で好きな商品をバッグに入れ、人との会話もなく(お酒売場は年齢確認あり)、お金も触らずに支払いも終わる。こうした『買物の待たせない便利さ』でお客の支持を得る考えです。

 一方、それを迎え撃つウォルマートは、『返金や支払いでの待たされるストレスの解消』で、アマゾンゴーと差異化すると考えでした(来店客のスマホにアプリをダウンロードしてもらう必要あり)。ところが、来店客に強いる商品のスキャン作業が面倒で誤操作も生じ、顧客満足度も低下。結果、人件費圧縮による店舗での利益率アップも期待できず、この自社アプリスキャンに対応する店舗数の拡大を断念している状況です。

 では、日々の食卓をカバーするラルフスはどのような付加価値で、これらに対抗しようとしているのでしょうか?

 ラルフスの親会社・クローガーが出した答えはハンディスキャナーを使い、『買物で節約できる便利さ』を体験してもらうことでした。