ブティックのようなたたずまい

 

 フルオーダーカットの和牛精肉店があると聞き、しかもそれが世田谷にできたばかりのライフの旗艦店「桜新町店」(スーパーマーケット)のそばにあるとなったら、視察がてら行ってみないわけにはいきません。

 ライフ桜新町店から歩くこと5分。「本当にこっちでいいのかしら」と不安に思いながらどんどん行くと、ありました。住宅街の中にひときわ目立つブティックのような外観のお店、そこが「TOKYO COWBOY(東京カウボーイ)」です。

 お店に入ると正面にカウンター、右側の壁面全体がショーケースのようになっていて、ガラスの中に美しい肉が並んでいます。

 私の前に5、6人のスーツ姿の30代のグループがいたのですが、先に帰ってしまったので、どうやって頼んだらよいか分かりません。とりあえず、その場で作ってくれるローストビーフサンド(1200円税別)を買えることは調べて行ったので、注文しました。

 

 サンドイッチを作ってもらっている間に頼み方を聞いてみました。すると、使用用途や何人で食べるのかを伝えると相談に乗ってくれるとのこと。例えば、ステーキ、すき焼き、焼き肉、バーベキュー、煮込みといった料理の種類を伝えて、後は何人家族で食べるとか、友達同士でとか、女子会でとか、孫と一緒にとか、おばあさんとなど、シチュエーションを言って予算を伝えればミートコンシェルジュがそれに合った部位を切り出してくれます。

 ショーケースのガラス扉全6面のうち、奥の2面がすき焼きなど、真ん中の2面がステーキなどに使う肉、入り口近くが小間肉やハンバーグなどを入れてあるそうです。

3つのポイントを満たす商材に出合う

 このお店、2015年にオープンして順調に売上げを伸ばしています。

ミートコンシェルジュが肉をオーダーカットしてくれる。

 社長の上野望さんは証券会社の出身。リーマンショック後、金融業界ではお客さんに喜んでもらえる商品がなかなかなく、顧客と喜びを共有できるビジネスがしたいと痛切に感じていました。喜んでもらえて、金融商品のようなバーチャルな商品ではなく目に見えて、ご自身が海外経験があるため海外でも展開できるものはないかと商材を模索していたところ、精肉業界に携わる人と出会いました。「和牛」なら「おいしい」と喜んでもらえて、目に見えて、日本にしかない独自ブランドとして海外展開できるといった上野さんの考えた3つのポイントを満たすことができます。

 そこで、実店舗とネット販売とでやっていこうと決め、お店を探し始めました。ターゲットにしたのは渋谷区、世田谷区、目黒区。上野さんの自宅から通える範囲で富裕層が住む町です。さらに、自分の世界感を出すために、あえて商店街や百貨店の中ではなく、住宅街の中で探しました。「フルオーダーカットで、ミートキープができて、ミートコンシェルジュがいるという店で、さらに自分の外観のイメージがあって、クルマを目の前にポンと止めてパッと買えるというフローを考えて、あえて、商店街を離れた住宅地でやろうと決めました」

 物件探しに自転車で3週間ほど走り回り、アンティ―クの英国車を扱うショールームにしていた場所を借りることができました。

「ふらっと立ち寄れない立地ですから、最初は自分の人脈と、オンラインとで売上げを伸ばしていければ3年くらいで軌道に乗るだろうと思っていました。オンラインはまだ全体の約2割ですが、3年たった今、しっかりと軌道に乗っています。」