人口減少や高齢化が進む日本。マーケット縮小が余儀なくされる中、スーパーマーケット(SM)が勝ち残っていくための鍵は何か。今後、重要性を増すことになる視点と取り組むべき課題について、いま、堅調に好業績を挙げるSMの事例をベースに月刊『食品商業』編集長が考察する。

※2019/4/1 社名変更に伴い本文一部変更

 都市型対応「300坪型」のSM店舗に注目

 「ここのところ、“都市型”対応を視野に入れた売場面積300坪程度のフォーマットを模索する動きが活発化しています。かつて、スーパーストア化を目指す中で、通過点となった『300坪』という広さが、再度、都市部出店という環境の下、焦点になっています。300坪の売場をどのように設計するのかについては、大型店が主流となっている企業にとっては難易度が高い課題ですが、注目事例も幾つか出ています」(竹下浩一郎『食品商業』編集長)

 その都市型300坪タイプのSM店舗として、注目を集めている店舗に昨年11月にオープンした「サミットストア三田店」(東京都港区)がある。業績好調のサミットが、さらなる都心部の攻略を目指して開発した「都市型店舗」の1号店だ。

サミットストア三田店外観

 同店は売場面積約300坪。売場は2層で、1階に総菜、飲料、菓子、洋日配品など、2階に生鮮食品、調味料、和日配品といった区分けになっている。1階は入口近辺に、パンの焼成や窯焼きピッツァを焼くシーンが見られるインストアベーカリーや出来たてを訴求する総菜売場を設置するなど、即食を中心とした売場構成。一方の2階は壁面を生鮮で固め、関連商材をゴンドラに配置した素材中心の売場構成だが、こちらもオープンキッチンや試食コーナーの「おためし下さい」を設けるなど、ライブ感やシズル感を高める演出が随所に見られる。

照明など「演出」にも気を配った売場づくりを実践

 「せっかく良い商品を開発したり、鮮度や味を向上させたり、さらには出来たてで提供する仕組みを作ったわけですから、販売するときの演出面を考慮しないのはもったいないことです。先進企業は、陳列の高さや見通し、さらには商品をどのように演出するかといったことも考えて照明の種類や設置方法にまでこだわっています」と編集長は話す。

 実は、三田店を出店したサミットも、そうしたこだわりを持つ企業の1社。海外を含めたさまざまな売場を視察するなどして、照明を含めた店舗の演出面の強化に注力している。目指すのは「入った瞬間に買物スイッチが入るような、五感で楽しめる店」。商品を手に取りたくなったり、吸い込まれるようにいろいろなところを歩いてみたくなる感情が起こるように、さまざまな工夫を凝らしている。そんな同社が18年のテーマに掲げたのは、まさに演出が大きな影響を及ぼす「総買上点数を上げること」。同社の好業績は、そうしたお客さまの購買意欲を高めるための地道な取り組みの積み重ねこそがあってこそ、ということができる。

 

 当然のことながら、売場では「商品が主役」だ。その商品を引き立たせる上で、照明は大きな役割を持つ。青果売場の野菜や果物は、照明によって赤、黄、緑などの素材そのものの色味を際立たせることができる。精肉売場や鮮魚売場でも、肉の赤身部分やマグロなどの赤色、あるいはサシや白身魚の白色も鮮度感をアピールし、総菜売場やベーカリー売場でも、こんがりした揚げ色や焼き色が引き立ち、出来たて感をより強く演出できる。

 「最新のLED照明の技術力には驚かされます。照明によって、商品の見え方も変わってくるのは実際に比較するとよく分かります。照明が商品の本来の良さや鮮度などを引き立てることで、お客さまの購買意欲が高まることは店側にとっても重要なことではないでしょうか」と、編集長は照明を含めた演出の重要性を強調する。

 サミットストア三田店では、ベース照明は1階も2階も同じだが、商品特性を考えて1階と2階でスポットライトを変えている。1階の総菜売場などには、温かみのある色合いの照明、2階の生鮮売場には鮮度感を際立たせるように工夫された照明を採用しているのだ。背景には、商品がより引き立つように、との意図がある。

 いずれのスポットライトも、商品を鮮明に見せながらもLED特有の眩しさは抑えている。お客さまが買物しやすいように、十分に配慮された店舗設計が施されているのである。