マーチャンダイジングという言葉、チェーンストア企業ではよく聞く言葉ですが、得体のしれない言葉です。使う人によって意味が違う言葉の代表格だと思います。

 チェーンストアの人とコミュニケーションしていると、「わが社のMD(マーチャンダイジング)は……」という言葉が出てきます。そのときの意味はほとんどの場合、『MD=品揃え』の意味です。

 その他に『商品部の仕事』『商品計画』『バイイング=仕入れの上位概念』『商品の組み合わせ』『商品部の上司役』等、いろいろな意味があり、微妙に違ってきます。また、何となくマーチャンダイジングという言葉を使っている人が多数いるのも事実です。

 最近では消費材メーカーの人も「わが社のMDは……」と言い始めているので、気を付けてコミュニケーションしなくてはいけないなと思っています。

(注1)消費材メーカー:小売業へ消費者が直接使用する製品を販売しているメーカー/(注2)生産材メーカー:メーカーへ製品の素材、部品等を販売しているメーカー

 この語源は「マーチャンダイズ(Merchandise)=商い」にingをつけて「マーチャンダイジング(merchandising)­­=商いをすること」となります。「マーチャント(merchant)=商人」という言葉からも、小売業独特の言葉であることが分かります。

MDの定義をして、コミュニケーションを円滑に

 私の現在のマーチャンダイジングの定義は『チェーンストア企業のマーケティング目標を実現するために、品揃え、展開時期、展開場所、提供価格、提供数量、売場づくりツールの6つの要素をマネジメントすること』です。

 すると、マーケティングの定義が必要になります。それを『自社の事業領域、ライバル、顧客を分析し、競争優位、顧客満足獲得のための提供価値をつくり続けること』と定義、また、マネジメントを『予算達成に十分な問題を明確にし、その問題を解消するための計画を立案、計画を実行するにあたり、実行を阻害する問題を解消すること』と定義します。

MDの要素をマネジメントすることで売場を活性化

 従って、マーチャンダイジングは以下の6つの要素をマネジメントすることとなります。

(1)品揃え売場に陳列するアイテムの種類です。そのアイテムはどんな商品規格がよいのか、品質、容量、形、包装形態や仕入先等をマネジメントします。また、所属する分類の中でのアイテムバランス、主力品/品揃え品/比較購買品商品等の位置付けや定番/特売/スポット等の売り方をマネジメントします。

(2)展開時期品揃えすると計画したアイテムの導入、育成、継続、終了の時期をいいます。週別、店別にお客さまが買いやすいと思える、また常に競争優位に立てるタイミングで導入、継続、終了をマネジメントします。また、地域のイベント、旬などに最適なタイミングで導入、終了をマネジメントします。

(3)展開場所品揃えすると計画したアイテムの展開店舗、売場の陳列場所をいいます。お客さまが買いやすい売場をつくるため、売場の棚割りをマネジメントします。売場分類ごとに主力品と“一丁目一番地売場”の関係、陳列数量と販売数量との関係、売り方と陳列位置の関係、フェースバランス、仕入れ先分類ではなく買いやすい売場分類、新カテゴリー売場開発をマネジメントします。

(4)提供価格品揃えすると計画したアイテムの販売価格です。そのアイテムの価値に合致し、競争優位に立つ販売価格設定をマネジメントします。また、売場分類ごとの中心価格ライン、スタート価格ライン、終了価格ラインをマネジメントし、お客さまが比較購買しやすい売場づくりをマネジメントします。

(5)提供数量品揃えすると計画したアイテムの仕入れ計画数量、値入れ計画数量、販売計画数量、売場計画数量、発注数量、製造数量、陳列数量、販売数量、在庫数量、ロス数量をマネジメントします。お客さまが買いやすく、競争優位に立てる売場を実現するため、売場分類ごとにアイテム数バランス、フェース数バランス、価格ライン数バランスをマネジメントします。

(6)売場づくりツール品揃えすると計画したアイテムの視認性を高くするためのツールです。プライスカード、POP、ショーカード、メーカー提供販促ツール、仕切り板など売場づくりの道具やその使い方をマネジメントします。特に、お客さまの視認性を高めるための売場の統一感をマネジメントします。

 これらの要素を商品部、店舗が切磋琢磨して売場のレベルを上げていくことになります。