小さな専門店化が進む?

 

 これからは、購買体験に新たな意味や価値が求められてくると感じています。そして目的買いでない買物体験は、最も可能性を秘めているカテゴリーだと思います。

「この人がいる店で買いたい」と思わされる、人情味あふれる店舗。

 最新の技術が常に体験できる、ワクワクするショップ。

 細かくオーダーメードができて、1日数客と限定される店。

 悩んでいる人の、相談相手になってくれる場所。

 人が集まり、存続できるリアル店舗は今とは違う形態かもしれません。いずれにしても、今までのように「価格」を軸にした商売が、メインではなくなっていく気がしています。

 言い換えれば、リアル店舗が存続し続けるには、強い理由が求められてきているということです。実店舗を構えられることが、一種のステータスのようなプレミアになる日もそう遠くないのではないのでしょうか。

 まだ消費者もはっきりとは気付いていない、けれど確実にある「ニーズ」をつかむ力は、流通業の得意技だと私は思っています。何より、販売者も、購入者も同じ「人間」です。今まで見てきた知見を生かして、ぜひ価格に代わるような新しい切り口を生み出してほしいと思います。

 個人的には、今後の流通業は「専門店化」、それもかなり小さな規模の専門店がより増えていくのではないかと考えています。これは主観ですが、靴屋ではなく〇〇の人用の靴、中華料理店ではなく〇〇メニューのみ提供する飲食店、と細分化していくのではないでしょうか。

 現在、公正取引委員会はアマゾンジャパンの一連の行動は独占禁止法違反ではないかと実態調査を進めています。ただ、巨大企業が価格面で有利である傾向はしばらく変わらないでしょう。

 それならば店舗側も安売りに疲弊し、ただ悔しがるのではなく、価格至上主義からの脱却や発想の転換を進めてほしいと思っています。商売の原点は「必要な人に、必要なものを届ける」ことなのですから。