(写真の店舗と本文は関係ありません)

 先週、セブン-イレブン東大阪南上小阪店が本部に無断で営業時間を短縮した問題がクローズアップされました。

 人手不足により24時間営業を維持することが困難となったことが原因のようです。

 これに対し、本部が加盟店に対して約1700万円の違約金を請求するとともにFC契約の解除を通知したとの報道がある一方で、これを否定する報道もあり、情報が錯綜しています。

 現時点で明らかとなっている情報の範囲でこの問題について考えてみたいと思います。

契約違反の有無・内容は?

 過去の裁判例を見ると、セブン-イレブンの本部と加盟店との間では加盟店基本契約と加盟店付属契約が締結されており、報道によれば本件でも同様のようです。

 この基本契約には「加盟者は、加盟店の経営について、本部の指導、助言に従い、情報を活用し、販売促進に努め、店舗、設備、在庫品の管理を適切に行い、消費者の期待に応えるため、本件基本契約の定めるところにより、全期間を通じ、年中無休で、連日少なくとも午前7時から午後11時まで、開店し、営業を行うものとする。」旨の規定があります。

 また、付属契約には上記の規定に第2項として、「本条第1項の営業時間『全期間を通じ、年中無休で、連日少なくとも午前7時から午後11時まで、開店し、営業を行う』との定めにかかわらず、加盟店は、今日の実情に合わせ、本件基本契約の全期間を通じ、年中無休で、連日24時間開店し、営業を実施するものとし、本部の許諾を受けて文書による特別の合意をしない限り、24時間未満(本条第1項)の開店営業は、認められないものとする。」旨の規定を追加するものとされています。

 このように、24時間営業は加盟店が負う契約上の義務であることが明記されているわけです。

 24時間営業に関する条項が本部の加盟店に対する優越的地位を濫用して追加されたものではなく、加盟店が24時間営業に関する条項の趣旨を理解してこれを基本契約に追加することを承諾しているのであれば、本部に対する関係でその条項の効力が否定されるべき理由はありません。

 この点は、セブン-イレブンの深夜営業に関する過去の裁判例(東京地判平成23年12月22日判時2148号130頁、東京高判平成24年6月20日公正取引763号54頁)の判旨からもうかがえるところです。

 そうすると、本件加盟店による契約違反の事実は動かしがたいものといえるでしょう。

 また、本部側からは本件加盟店の接客に問題があったことも指摘されているため、深夜営業を無断で取りやめたこと以外にも契約違反と評価されるような事実があるかもしれません。

契約解除には信頼関係の破壊があったことが必要だが…

 本件加盟店は24時間営業を行うべき義務に対する違反がある上、セブン-イレブンの法定開示書面には解除事由として「決められた営業時間を守らない」ことが掲げられています。

 しかし、FC契約のような継続的契約では当事者間の信頼関係が重視されることから、契約解除には契約違反があっただけでは足りず、当事者の信頼関係が破壊されて契約の継続が著しく困難となったことが必要とされます。

 仮に訴訟となった場合には、24時間営業、その他の契約違反に至った経緯やその影響などが本部と加盟店の双方から主張され、信頼関係の破壊の有無が吟味されることとなるでしょう。

 ただ、現在ではコンビニ業界では24時間営業が広く普及しており、セブン-イレブンも24時間営業であるという認識が一般にあることは間違いありません。

 本件加盟店が人手不足によって苦しい状況にあったとはいえ、セブン-イレブンでは24時間営業が行われないこともある状況が生じた場合、セブン-イレブンの利便性に関する統一的なイメージに大きな影響が生じることとなります。

 これを考えると、本件がこのまま訴訟へと発展した場合、本部と加盟店との信頼関係が維持されているというのは難しいと考えられます。

 また、加盟店に契約違反がある以上、契約の解除とは別の問題として、本部は加盟店に対して違約金・損害賠償を請求することができます。

 東大阪南上小阪店は厳しい戦いを強いられることになるでしょう。

 他方、セブン-イレブン本部は是正勧告や経営指導などを通じて加盟店に是正の機会を与え、本部も経営改善に向けて努力を尽くすことにより、訴訟をできる限り回避しつつ、仮に訴訟になった場合に解除の有効性をより確実に主張できるようにするため、「信頼関係を維持するためにできる限りの手段を尽くした(が維持することができなかった)」ことを裏付ける事実・証拠を積み上げている段階であると思われます。

FCの在り方を見直すべきときがきた

 コンビニ業界やFC業界は、本件が投げ掛けた問題を真摯に受け止め、早急に変革を進めるべきです。

 加盟店基本契約・付属契約や裁判例でも指摘されているように、コンビニやFCチェーンにおける深夜営業の合理性は、「今日の実情」を背景とするFCの「イメージ」を保持する必要性によって裏付けられています。

 今日では、深刻な人材不足や働き方改革などの影響により、24時間営業の必要性に対する疑問も呈され始めており、「今日の実情」、コンビニやFCチェーンに求められる「イメージ」は大きく変化しているといえます。

 そのため、本部が想定している「今日の実情」や「イメージ」が果たして本当に現在の実情と合致しているのかを検証する必要があります。

 また、深夜営業などに伴う加盟店の負担は、AI等のIT技術の導入により軽減できるはずです。

 Amazon Goが徐々に広がりをみせる現在において、過酷な取引条件を加盟店に強いたり、小手先の合理化を行ったりすることによりチェーンの「イメージ」を維持することは合理的とはいえません。

 FC本部の方針や経営手法が問われています。