イラスト/永谷せん

ヒトの心は不思議がいっぱい。それを探るのが心理学。心理学は実践の科学です。実際に使えば理解も早いし応用も利くようになります。ご紹介する心理テクニックは現場で役立つことばかり。ぜひ使って販売力をUPさせましょう。

「名刺を見て思わず笑み」の理由

 さりげない“かわいさ”の演出が相手との間の壁を取り払います。

 あるパーティで名刺交換をしたときのエピソードです。 

 相手の方は年の頃は60代前半。経営コンサルタントをなさっているとのことで、いかにもやり手という印象。どんな会話をしたらいいのかと、ちょっと身構えてしまったほどです。

 でも、その方の名刺を見て思わず笑みがこぼれてしまいました。

  というのも、肩書きと名前の横に、その方の顔のイラストが子供の落書きのようなタッチで印刷されていたからです。

 聞くと、5歳になるお孫さんが描いてくれたものだそうで。それを説明するときのその方の顔は、まさに優しい“おじいちゃん”そのものでした。それで一気にその場の雰囲気が和み、会話が弾んだのは言うまでもありません。

  その方はTPOに応じて名刺を幾つか使い分けているそうなんですが、この名刺効果は絶大。さすが経営コンサルタントは人の心をつかむことに長けているなと感心させられたものでした。

  というのも、こうした似顔絵付きの名刺には心理学でいう『ベビーフェイス効果』が期待できるからです。

 人は「丸顔」「大きな目」「小さな鼻」「広い額」「短いあご」といった特徴を持つ人やモノを見ると、赤ん坊のような「無邪気」「正直」「純真無垢」といった印象を相手に持ってしまうのです。それを『ベビーフェイス効果』と呼びます。

 ゆるキャラが好まれるのも、彼らのあの特徴的なベビーフェイスがものをいっているのでしょうし、開業して久しいディズニーランドが今も多くの来場者を集めているのも、ミッキーやミニーといった愛らしいキャラクターたちに負うところが大なのでしょう。

 件の経営コンサルタント氏によると、似顔絵付きの名刺は女性にことの他、好評とのこと。

  確かに、女性は“かわいいもの”が大好きです。それは心理実験によっても確かめられています。

男性、女性が興味を示すもの

  人間の目は光の調節のために、瞳孔が大きく開いたり小さくなったりしますが、それだけでなく興味のあるものほど大きく開くという特性があります。それを利用して、男女にさまざまな写真を見せて瞳孔の開き具合を調べてみたのです。

 結果、男性が最も興味を示したのは案の定「女性のヌード写真」でしたが、女性が反応したのは「男性ヌード」よりも「赤ん坊」や「子犬、子猫」の写真でした。

 かわいいものに思わず目を輝かせてしまうのは、産み育てる性である女性ならではの特性なのでしようね。

 この実験結果は女性客を対象にした販売に携わる皆さんにも大いに参考になるのではないでしょうか。

  例えば、ネームカードを胸に付けているとしたら、そこに経営コンサルタント氏のアイデアを拝借してそれぞれのかわいい顔のイラストをワンポイントで入れてみるのです。

 それは自然にお客さまの目にも留まるでしょうから、『ベビーフェイス効果』が働いて初対面のぎこちなさを解消してくれるに違いありません。私が経験したように、きっと会話も弾むことでしょう。

 かわいくて話題が広がるものならどんなものでも構いません。トライしてみて損はありませんよ。