RFIDで生鮮の在庫管理が一瞬で可能になる

 編集部:そういえば、GUでは2015年から店舗でRFIDを使ったセルフレジが使われていますね。①買物かごに買う商品を入れ、②それを、ICタグを読み取る自動レジ下にある箱に入れて、③クレジットカードや現金で代金を払うと、④商品が紙のバッグに落ちて、持って帰れる仕組みでした。

 ユニクロのセルフレジはこれとは若干違いますが、これもレジ要員の要らない自動精算。最近は処理速度が上がり、便利になっています。

 吉田:QRコードとも呼ばれる二次元コードでも、RFIDと同じ情報量が組み込めます。しかし、スマホなどのリーダーを当てる二次元コードでは、商品1個1個を手に取って、読み取らねばなりません紙に表示する二次元コードは、一括読み取りができないのです。

 RFIDでは棚の在庫品の一括読み取りができます。消費期限の情報を入れておけば、ある生鮮品目の棚在庫10個のうち、消費期限が明日まで残っているものは4個、今日の夕方に消費期限が切れるものが6個あるというように、鮮度管理、つまり生鮮の在庫管理が一瞬で可能になるのです。

 陳列棚にあらかじめICタグのリーダーを組み込んでおけば、自動でリアルタイムな生鮮商品の鮮度管理もできます。

RFIDを付けておけば、不良品があった場合、それが売場のどこにあるかも分かるようになる(2017年のローソンの取り組み)。

 現在、SMの鮮度管理、つまり有効在庫の管理は1個1個の商品を手に取って行っています。値札に表示された数字の消費期限を、売場の担当が読み取って、有効在庫数の確認と廃棄在庫のより分け、夕方の割引価格付けをするのです。

 売上げの60~70%を占める生鮮5部門の鮮度管理はSM特有の商品作業であり、陳列作業の次に大きな作業時間がかかっています。毎日、毎回行うことなので、想定の3倍以上に総作業時間が多いものなのです。

 パートの時間給は都市部では1000円くらいに上がっています。1時間は3600秒ですから、3.6秒で1円の管理コストです。

 1回の鮮度管理に1個で5秒かかっているとすると、そのコストは1.4円です。生鮮の平均売価は1個が200円くらい。1回の消費期限の確認で売価の0.7%の人件費が使われていることになります。

 発注から売れるまでに、担当が売場で平均3回の消費期限管理を行っているとすれば、売上げの2.1%が使われています。

 ①発注時に1回、②販売時間中の商品管理時に1回、③消費期限間近で、割引価格をつけるときに1回でも、合計3回です。

 売場の担当が商品作業の動画を撮って、みんなで観察すれば、このことが分かります。

 年商10億円のSMで売上比2%以上の利益を出しているところは、総店舗の30%しかありません。売上比1%や0%からマイナスの利益の店舗が70%。これは生鮮の商品作業の人的生産性が低いことが主因です。

 クレジットカードや電子マネーで自動決済する無人店でも使われるRFIDの導入でSMの商品の鮮度管理の生産性は飛躍的に上げることができます。

 代わりにかかるのは、ICタグの費用と、プロセスセンターや出荷物流時に行う個品のICタグにライターで行うデータ書き込み費用です。現在の値札作成と貼り付けのような作業で、ICタグは個品の値札タグとして兼用できますね。

 店舗の商品管理、在庫管理の生産性向上は、情報化によるイノベーション、つまり技術革新で果たせるのです。

 情報化では、店舗数の多いチェーンが、1店当たりの必要コストが低くなります。店舗数が1万店以上のコンビニでRFIDの利用が進んでいるのは、このためです。

 しかし、1社当たりの平均店舗数が30店のSMでは商品管理、在庫管理の情報化が遅れていて、今も人手に頼る人海戦術ですね。回転寿司チェーンでも、皿を回収してリサイクルができるRFIDが使われているのに残念なことです。

 SMでは管理の仕組みづくりこそが、店舗づくりであるという観点がなかったからです。

 小資本だった回転寿司チェーンでは、10年以上前から回転する皿にRFIDを使うところが多かった。1皿の平均単価が100~200円と低かったから、人的な管理のコストを下げる仕組みづくりが行われているのです。