仕事に感情を込められる人は貴重

 

 他人のモチベーションを上げるような仕事ができる人は、貴重です。相手の目線になって一緒に喜べる、他人の挑戦を応援できる、できることがあれば代わりに調べておく、本気で感謝を述べる……こういった「感情を入れる」仕事ができる人は、まだまだ少ないです。

 形式通りにやった方が楽で早いし、仕事に感情を込めなければ傷付くこともありません。いざというときに自分を守ることもできます。

 でも、いろいろな意味で、それではもう選ばれなくなってきている気がします。効率を重視するタイプのサービスは既に競合も多く、無感情な接客はロボットやAIの方が得意な領域だからです。

 冒頭でも触れた通り、マッサージ店には多くの人が疲れて癒しを求めてやってきます。リアル店舗に訪れる人も、最近ではそうなりつつあると感じています。

 会社ではタスクや締切に追われ、ネットやSNSでは誰が何をしたと瞬時に伝わる。ただ生活するだけなのに受け取る情報量が爆発的に増えていることで、毎日、常に何かに追われているような気がする人は、私だけではないと思います。

 そういうときに「サービスしなくちゃ」「失礼のないようにしよう」ではない、私的な感情が込められた言葉をかけられて、意外ですが逆にとても気持ちいいなと感じたのです。

 

 不思議なもので、つまらないとかつらいといったネガティブな感情はすぐに態度に出るのに、うれしいとか楽しいといったポジティブな感情は相手に伝えない人が多いです。

 でも、どうせ出すなら、自分のポジティブな感情の方がいいはずです。うれしい、楽しい、ビックリした、そうした人間らしい感情を出すことは、決して悪いことではありません。「タオルはポイッと置く」なんてマニュアルには絶対書かれない表現でしょうが、きれいに畳まないでも大丈夫ですよ、と言われているような印象を受けました。

 忙しいリアル店舗にそこまで求めるのは、もしかしたら難しいのかもしれません。でも、今ヒットしている商品やサービスは、開発者や販売者が真剣さや思いを積極的に出しています。クラウドファンディングでお金が集まるのも、目標についての思いに支援者から共感や応援が生まれるからです。

 正しい言葉遣いやマナーが思いを伝えるのではなく、思いが言葉遣いや振る舞いに表れていくと私は思っています。

 帰宅後に再度店舗を調べてみたところ、施術してくれた彼女はマッサージのキャリアこそ長いものの、まだ入店したばかりの新人だと知りました。もちろん、プロとして技術を磨くことが最も大事ですが、スキルアップには経験や時間がかかります。でも、今自分が考えている思いや感情を表に出すのは、誰でもできます。

 ネガティブよりもポジティブな感情を伝えるスタッフが増え、顧客から支持されるような店舗が、少しでも増えていくといいなと願っています。