シャビーシックな木のドアが老舗喫茶店に歴史を吹き込む。

 世界各地、どこに行ってもコーヒーを提供するおしゃれなカフェが人気です。

 スターバックスコーヒーから始まったおしゃれなコーヒーはブームとなり、訪日外国人も日本でアメリカ発のスタバに訪れたり、最近ではサンフランシスコ発のブルーボトルコーヒーを訪れるために、わざわざ東京まで足を伸ばす訪日外国人もいたりします(お店のロゴカップを入れた写真が訪れた証としてInstagramにアップされています)。

 なぜ、訪日外国人が日本まで来て、わざわざアメリカ発のこうしたカフェを訪れるのでしょうか。

 それは、見た目にこだわる内装デザインやコーヒー器具の並べ方がおしゃれだからです。

カフェ・ド・ランブルを訪れる外国人が増えている!

 では、訪日外国人は日本の喫茶店には興味がないのでしょうか?

 実はそうでもなさそうです。

 最近、銀座のカフェ・ド・ランブルという老舗喫茶店を訪日外国人が訪れ始めています。

 その理由とは、ブルーボトルコーヒーの元祖が日本のこの老舗喫茶店であることを知り、サードウェーブのコーヒーのこだわりをぜひ、味わってみたいと思っているからです。

 訪日外国人の老舗喫茶店詣でが始まった今、こうしたコーヒーが生まれるストーリーを通じて、日本のこだわりをもっと知りたいと思うファンづくりを進める絶好機が訪れているのです。

※サードウェーブとは、「少量生産」「サステナブル」〈継続可能〉、「地元」〈ローカル〉を志向し、手づくりのよさを認めていこうという一種のムーブメントのこと。

シャビーシックな趣から伝わる歴史の重み

 訪日外国人は、日本の老舗喫茶店でシャビーシック(使い込んだかっこよさ)な木目調のカウンターテーブルに座り、自家焙煎されたコーヒー豆の香りにうっとりすることで、年代を超え、おしゃれな雰囲気に魅了されています。

日本の老舗喫茶店は見た目よりもコーヒーの味にこだわる。

 蝶ネクタイの店主が「シュシュ」と沸騰するポットのお湯を目の前で注ぎ、一滴一滴ドリップする丁寧に入れるコーヒーは、日本の職人の本物へのこだわりを確信させてくれます。

 こうした老舗喫茶店が醸し出すシャビーシック(使い込んだかっこよさ)な趣からは、地元で代々支持されてきた時代の変遷を物語る重みが伝わるものです。

 老舗喫茶店が昔のタイプライターやミシン台、カメラなどをお店に並べ、シャビーシックな設えをさらに強化すれば、訪日外国人に老舗にはサステナブル(古い小物をリサイクルしている)な一面があると感じてもらえるのではないでしょうか。

 日本の老舗喫茶店がシャビーシックな空間を通して、「少量生産、サステナブル、地元を大切にする」ことで「古いものがかっこいい!」という価値観を表現できれば、訪日外国人にもっと老舗のこだわりが伝わっていくと、私は思っています。

自分だけのかっこいいスタイルを求めている

 訪日外国人に、こうした体験をリピートしてもらうには、本物のコーヒーのおいしさがサードウェーブ(少量生産、サステナブル、地元)の実践で生み出されていることを体感してもらうことが重要になります。

 そのために、店舗では職人の本物へのこだわりの「見える化」を進める必要があります。

1 少量生産の良さ(豆の産地が生み出すおいしさ)をお店独自の言葉(「まったりする」など)で価値にして表現する。

2 サステナブル(環境に配慮)な方法(布ドリップによって紙の廃棄をやめる)で商品を提供する。

3 地元名(銀座ブレンドなど)を冠にした商品化を行う。

 日本の代々伝承された職人のこだわりは、アメリカ発のコーヒーショップにはないサードウェーブには欠かせない手づくりのよさを生み出す必須要素です。

 訪日外国人はまだ、「サードウェーブ=世の中にいいよね!」という流行の価値観に共感しているだけですが、彼らが今後、日本で望むようになるのは「アメリカでは作り出せない職人がつくり出す本物商品のよさに触れるプチ体験」なのです。

 訪日外国人は自分だけのかっこいいスタイルを本物のコーヒーを味わうことで見つけたいと思っているのです。