『影響は軽微』というZOZO側の強気にかかわらず、『ZOZOARIGATO』を契機とした出店アパレルのZOZO離れはジリジリと広がっているが、09年の自社EC再スタート以来、10年も続いてきたZOZOへの運営委託を解消するというユナイテッドアローズのZOZO離れは別の意味でZOZOの苦境を露呈している。

蜜月関係から離反へ

 セレクト最大手のユナイテッドアローズが09年の再スタートからZOZOに開発と運営を委託してきた自社ECを19年10月以降、新たなパートナー企業と組んで自社運営に切り替える。自社ECの運営委託は解消してもZOZOTOWNへの出店は継続するとしているが、不可分な関係と見られてきたユナイテッドアローズのZOZO離れはアパレル業界のみならずECサポート業界にも衝撃を与えている。

 ユナイテッドアローズとZOZOとの取引はZOZOTOWN開設直後の05年5月の出店に始まり、09年に開設した“現行”自社サイトもZOZOに開発・運営を全面的に委託してきた。“現行”と書いたのは、07年4月に自社運営サイト「LICLIS」を開設したものの軌道に乗らず、1年もたたない08年2月に閉鎖に追い込まれているからだ。失敗の教訓からEC運営のプロたるZOZO(当時の子会社スタートトゥデイコンサルティング)への運営委託に切り替えて以降、急拡大に転じ、蜜月関係が続くことなる。

 ところがZOZOは受託販売事業(ZOZOTOWN)に比べて収益性の劣るB2B事業(ブランドECサイトの開発・運営サポート)に見切りをつけ、15年3月期の取扱高177億円をピークに一度は縮小に転じ、スタートトゥデイコンサルティングも本体に吸収している。18年3月期から再強化に転じてB2B業務を子会社のアラタナに移管していたが、ユナイテッドアローズ側が店舗とECを一元一体に運営するオムニコマース体制の確立を急ぐ中、EC特化のZOZOとはシステムや運用がかみ合わず、運営委託の解消に至ったと思われる。

 現在はECフロントはもちろん、在庫保管・出荷もZOZOに委託しているが、自社ECの在庫保管・出荷を担う最新設備のフルフィルセンター(千葉県流山市)が既に稼働しており、新パートナーによるシステムが整う19年10月をめどに自社運営に移行する。

迷走が招いたB2B事業の蹉跌

 ZOZOにとってもユナイテッドアローズはB2B事業取扱高の大半を占めており、18年3月期は75億4000万円中の54億6000万円、19年3月期見通しも100億円中の64億円ほどを占めるから、ユナイテッドアローズの離脱はB2B事業の休止を意味する。 

 ZOZOARIGATOを契機としたZOZO離れとは様相が異なるが、影響の深刻さという点ではオンワードのZOZO離れより大きいかもしれない。ECはともかくオムニコマースをサポートする体制に欠けると判断されたわけだから、B2B事業の発展性がブロックされたに等しいのではないか。

 B2C受託販売事業のZOZOTOWNはアパレルでは突出した規模とはいえ、顧客に対しては手を替え品を替えした販促策を尽くしてコストを肥大させ、出店アパレルに対しては手数料率をかさ上げ続け、どちらも限界に近づいている。ZOZOARIGATOによるZOZO離れがライバルに隙を突かせる契機となりかねず、もはや安泰とはいえない状況でオムニコマースの要となるB2B事業がブロックされてしまえば突破口が見いだせなくなる。大枚を投じたPB事業も離陸のめどが立たず、ZOZOは八方ふさがりの状況に追い込まれている。

 ZOZOは15年12月にスタートして1年半で撤退した『ゾゾフリマ』にせよ、膨大な損失を計上して19年3月期決算の下方修正を招いた『ZOZOSUIT』とPBにせよ、出店アパレルの離反が広がる『ZOZOARIGATO』にせよ、成算や反動を検証しないまま新規事業に前のめったり短期で撤退したり、取引先への説明を尽くさないまま方針を二転三転する悪癖があるが(ガバナンスが欠けている)、B2B事業もその例に漏れない。自社ECにシフトする出店アパレルを引き止めるべく注力したかと思うと、採算性の低さから唐突に縮小撤退に転じ(当時、自社ECを運営委託していたアパレルがパニックに陥ったのを忘れたとは言わせない)、出店アパレルのオムニコマース体制移行に取り残されると見るや再拡大に転ずるという節操のなさを見れば、取り組むアパレルとて先々が不安になって当然だ。

 ZOZOが最優遇してきたユナイテッドアローズとて先々を見据えれば自社ECのZOZO依存は限界で、切り替えの混乱や経済的合理性に目をつぶっても独自のオムニコマース体制を確立すべく、ZOZOと袂を分かったのではなかろうか。