2月6日にオープした「成城石井 ゲートシティ大崎店」(東京都品川区)は約70坪の中型店。複合施設「ゲートシティ大崎」や周辺のオフィスで働くワーカーがメインターゲットだが、近隣の住民も対象にして、『いくつもの挑戦』をする実験的な店舗だ。

 初の試みの1つが、入り口近くと目立つ位置にある『フードカート風スタンド』。米国ではやっているフードカートを模したもので、「バイオーダーでデリご飯やスイーツを、同社のセントラルキッチンで半加工したものを厨房で温めたり盛り付けして出来立てで紙容器に入れて提供する」(精算は専用レジ)。

 注目を集めるエスニックやロカボを意識し、約12種類の定番メニューを季節に合わせて用意、週替わりでスペシャルメニューも投入する。スイーツは人気商品の「モーモーチャーチャー」にソフトクリームを組み合わせたアイテムで特色を打ち出し、ドリンクはコーヒーマシンで提供、アルコールは取り扱わない。

 運営は2人体制。デリごはんはランチタイム需要に対応して11~14時、スイーツは11~20時まで販売する。

経営幹部候補生が米国研修でフードカートを見て、実現

 こうしたスーパーマーケット(SM)と飲食を融合させた「グローサラント」は、「トリエ京王調布店」(東京都調布市)と「アトレ新浦安店」(千葉県千葉市)で展開し、今回が3カ所目。トリエ京王調布店では飲食スペース「SEIJO ISHII STYLE DELI&CAFE」で一食完結型メニューを提供。アトレ新浦安店は小型店でピッツァを切り売りしたり、デリを量り売りしたり(成城石井初)とそれぞれ異なるが、こうしたことができるのが、メニュー開発力に優れ、供給能力が高いセントラルキッチンと2013年12月から展開するワインバー「Le Bar a Vin 52(ル バーラ ヴァン サンカン ドゥ)」のノウハウ蓄積があってのものだ。

 今回はそれに加えて、選抜された将来の経営幹部候補生の1人が米国研修の際にカートスタンドを見て、思い付き、実現したという経緯があり、新たなものに自由闊達にチャレンジする社風から生まれた産物でもある。

 カート風スタンドはオープン日には行列ができる人気だったが、ランチタイムには混雑が予想され、電子マネーとクレジットカード専用のレジを2台設け、レジの総数は6台。電子レンジも4台用意している。品揃えも弁当や電子レンジ対応のアイテムも豊富にそろえ、ランチ需要に対応する。

初導入のオーガニックコスメ、プロテインをコーナー化

 一方、マンションや一戸建てに住む近隣住民も一定数いることから、肉や青果物を中心とした生鮮3品や日配品もある程度そろえ、パン、ワインを中心とした酒類に菓子、加工食品も扱う。オープン後は品揃えを拡縮させながら5000~6000SKUを展開する考えだ。

 生鮮は店内では加工をせず、アソートセンターやパックセンターから供給。パンはクロワッサンなど一部の商品は店舗で焼成している。

 通常のSMの枠を広げ、多機能化していこうという新たな方向性に基づいた取り組みも具現化。『健康と美容に関するノンフードを加え、オーガニックコスメやプロテインをコーナー化』している。

 同社は、まるで世界中を旅しているような食の品揃えにこだわる「EATRAVEL」、おいしい食と喜びと笑顔に満ちた食卓を提供する「DELIGHT」、時代の先端を行く新しい食のライフスタイルを提案する「LIFE STYLE」、子供たちの未来の暮らしを持続可能にしていくことを目指す「SUSTANABILITY」の4つの約束を掲げている。

 サスティナビリティの取り組みでは、『フェアトレードやレインフォレストの商品を拡大し集積して展開』。『植物性プラスチックを30%使用したレジ袋や紙容器、紙ストローを採用している』。

 環境、社会、経済の持続可能性が問われる中で、SMもこれらに真正面から取り組むことが求められており、今後は業界全体で対応に迫られることになろう。同時に生活者の意識向上も必要で、かかるコストを誰が負担するのかの議論も深めていかなければならない。

「この店で初の取り組み」、導入可能なものは水平展開する

 今回初めて取り組んだ取り組みは今後、実験・検証を重ねていき、他店舗に導入可能なものは水平展開。顧客の半歩先を行く新たな食のライフスタイルを模索、提案し続けていこうとしている。

「大崎ゲートシティ店」はオフィスワーカーの“昼食問題”を解決する取り組みと、高所得の近隣住民のニーズ(よりクオリティの高い食品を求める)をある程度満たす取り組みを融合させたという点でも、都市型店舗の新しい形を示すものになっている。