オンライン印刷サービスのラクスル(株)が物流シェアリングサービスを拡大させる。

 印刷業と物流業という一見、事業構造が異なる2つの業界に関わる同社のソリューションモデルとは。

上場後、初の決算は営業収益111億円

 ラクスルは2009年に設立。印刷通販の価格比較サイト運営会社としてスタート。以降、顧客と、印刷における入稿から印刷など手掛ける印刷各社のプラットフォームを担ってきた。2018年5月に上場。上場後の初決算は営業収益111億7400万円(前年比145.6%)、営業利益9300万円。

 同業では(株)プリントパックが知られるが、同社は自社工場も擁する印刷会社である点が異なる。さらにチラシやフライヤーでは、プリントパックが納期と枚数によるコストパフォーマンスを打ち出すのに対し、ラクスルはDMなどポスティングサービスを含んだパッケージも提供する。これはスーパーマーケットなどがチラシを地区別にきめ細かく展開する際の有効策としても活用されてきた。

2月から一般貨物事業者までサービス拡大

 ラクスルが印刷業界対象に培ってきたシェアリングサービスを物流業界に持ち込んだのは2015年。「ハコベル」と称したサービスは、荷主の依頼に応じて、運送各社が独自で行っていた配車・運行の手配をインターネット上でマッチングする代行するもの。

 主に個人向け荷主を対象とした軽貨物からスタートしたが、2019年2月からは「ハコベルコネクト」として、サービスを一般貨物事業者にまで拡大、荷主、配送とも大手事業者も対象になった。併せて各運送会社が有する受注案件、配車の可否などをオンライン上で可視化することで効率的なマッチングも可能となった。

『営業利益以下は開示しない』

 印刷、物流とも機器および配送用車両などの設備、人員を擁していること、その稼働率が収益性を左右する点が共通する。シェアリングとは「モノ、サービスを、多くの需要者と共有する仕組み」。これをデジタル化により効率化、加速化させる点にラクスルの事業特性がある。

 有価証券報告書記載の数値では2014年7月期から17年まで経常損失を出し続けてきた。それでいて上場が可能となったこと、上場後初の決算で冒頭に挙げた高収益になったことに事業の可能性と成長性が表れている。

 財務諸表に記載された売上総利益と売上げは「前事業年度比30%以上の成長を目標」としており、営業利益以下の各段階利益は黒字を見込み、経営環境や事業環境に合わせた機動的な投資判断をするために「具体的な金額予測は開示しない方針」との文言もふるっている。