プロダクトアウトとマーケットインという言葉、カタカナなので英語だと思われがちですが、実は1950年代に日本で生まれた概念と言われています。「ジャングリッシュ=和製英語」なのです。私も外資系企業で仕事をしたとき、「プロダクトアウトは意味不明」と言われたことがあります。

プロダクトアウトとマーケットインが生まれた背景

 マーケティングは「生産志向」「製品志向」「販促志向」「顧客志向」「社会志向」と変遷してきました。日本では前3つの志向をプロダクトアウトの発想、後2つをマーケットインの発想と呼んでいます。

 プロダクトアウトとは『自社の生産工場ありき、自社の技術ありき、自社の在庫ありきの発想で、自社の都合で企業活動する』というもの。『周りを見ていない、内向きである』という悪いイメージの発想と言われ、「あなたはプロダクトアウトの発想が強過ぎる」という使われ方をしました。

 この反省から『もっと周りを見る、外向きになる』という意味合いでマーケットインの発想が求められるようになります。

 しかし、『お客さまは神様です』の言葉が出てきてしまったように、何が何でも顧客の要望に応えるという極端なマーケットインの発想が生まれたのも事実です。

 高学歴者の余裕時間の拡大、各種サービス現場の増大、マーケットの事実の“見える化”等、いろいろな要素が絡んでいますが、行き過ぎたマーケットインがモンスタークレーマーを生む要因の1つになってしまったようです。

新しいプロダクトアウトとマーケットインのバランスが大事

 自社の強みをしっかり自覚するという意味合いで、プロダクトアウトの発想は大事だと思います。「自社が大事にしていること」「お客さまに伝えたいこと」「ライバルに負けないこと」を曖昧にせず、社内で共有することは大変大事なことです。

 具体的には、まず自社の事業領域を認識することです。多くの企業はこの事業領域(言い換えると「戦う土俵」)を認識していません。認識できていたとしても間違っていることの方が多いのです。

 次に競争相手の認識です。こちらは認識をしていない企業はまずないのですが、間違って認識している企業が見受けられるので、今一度、事業領域と競争相手の確認をする必要があると思います。

 その上で、マーケットインです。やみくもに『お客さまは神様です』と認識するのではなく、現在、自分の事業を支えてくれている顧客は誰なのかを明確にし、その顧客を守る戦略を立てます。そして、その顧客だけで将来の事業状態が発展するかを想定し、問題発生が予想できるときは、新たな顧客創出戦略を考えます。

 これが、プロダクトアウトとマーケットインのバランスです。『自分の事業領域はどこか』『自分のライバルは誰か』、そして『自分の顧客は誰か』です。これがよく言われる3C分析です。

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