昨年、「小規模事業者の食品が店頭から消える!?」(18年5月17日掲載)で、消費者庁が「正しく理解していますか?小規模事業者が製造する食品であっても、小規模でない事業者が販売するものは『栄養成分表示を省略できません』」というパンフレットを公表していると紹介しましたが、今年1月になって消費者庁は、その内容をさらに詳しく説明するパンフレットを公表しました。

 これにより、道の駅などで加工食品を販売している小規模事業者の多くは、栄養成分表示を省略できることが明確になりました。

 消費者庁は「食品表示基準において、『販売』行為を行っているか否かは、『所有権の移転』が行われるか否かで判断します。」と説明しています。

 ただし、食品表示法の基準に「販売の定義」が記載されているわけではありません。一般的に、納入業者から小売店に、あるいは小売業者から消費者に「所有権を移転することが販売」と解釈されているので、表示基準であえて述べていないだけです。

 消費者庁は、この販売の解釈に基づいて「栄養成分表示を省略することができる小規模事業者が販売する場合」の事例を2つ上げています。

①小規模の事業者が製造し、小規模でない事業者の場所を借りて、製造した小規模の事業者が「販売」する場合

消費者庁 小規模事業者における栄養成分表示の省略 

 この事例は、例えば「ホームセンターなどの店舗内で、団子や大福などを屋台で販売する場合」です。小規模事業者でない小売店で、小規模事業者の商品を販売していますが、これは場所を借りているだけで、小規模事業者が自ら販売しています。

 この場合、所有権は「ホームセンター(小規模でない事業者)から消費者」ではなく「小規模事業者から消費者に移転する」ので、栄養成分表示を省略できるということです。

 大手小売店舗内で消費者に販売していても、販売員は小規模事業者であり、実際の販売(所有権の移転)も、小規模事業者から消費者になるので栄養成分表示は省略できるということです。

 もちろん、屋台で販売している事業者が小規模であることが条件です。

②小規模の事業者が製造し、所有権は製造した小規模の事業者のままで、小規模でない事業者が会計業務を行う場合

消費者庁 小規模事業者における栄養成分表示の省略 

 この事例が、道の駅などに該当します。

 小規模でない小売店(道の駅等)で、小規模事業者の商品を、小規模事業者の販売員を置かずに販売している場合、あたかも「小規模事業者が製造した商品を道の駅(小規模でない事業者)が販売している」ように見えますが、実際は、道の駅は小規模事業者の商品を陳列し会計業務だけを行っていることがあります。

 この場合、消費者は代金を道の駅側に支払いますが、所有権の移転は「道の駅から消費者」ではなく「小規模事業者から消費者」になるので、栄養成分表示を省略できるということです。

 道の駅(朝市等)では、地元の農家の方たちが製造した加工食品(弁当、惣菜、菓子等)を販売する場合、多くは委託販売手数料やバーコートラベル・原材料表示ラベル等の代金を支払っている委託販売が主です。店が閉まるとき、農家(小規模事業者)は、売れ残った商品を引き取り、翌日また新たな商品を持ち込み陳列します。

 この際、持ち込み委託販売なので、店側は仕入伝票等で決済していません。実売上げ分から手数料等を差し引いた分を農家に支払います。小売店側に商品を納入するのではなく、委託販売なので「所有権の移転は、農家(小規模事業者)から消費者」になり、栄養成分表示を省略できるのです。

消費者庁 小規模事業者における栄養成分表示の省略 

 ただし、委託販売といっても、納品・返品のような形を取る場合、所有権が「小規模事業者→小規模事業者でない事業者→消費者」になると、栄養成分表示は省略できません。

 この結果、道の駅などの弁当、惣菜、菓子類等のほとんどの商品は、栄養成分表示をしなくてもよいことになります。しかし、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の中規模から大手小売店では、ほとんどの商品に栄養成分が表示されるようになります。

「道の駅だから仕方がない」「農家の人に栄養成分表示は無理だ」というのではなく、あくまで省略できるというだけです。栄養成分表示は、消費者に対する健康面での情報提供です。「道の駅は健康面を軽視している」と消費者に思われないためにも、できるだけ栄養成分表示をするように努力するべきです。