観光庁が2017年度に行った「訪日外国人旅行客の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」

「日本政府観光局(JNTO)」が発表した2018年の訪日外客数は3119万人となり、前年比108.7%増を記録した。消費額は4.5兆円で、その中でも買物での支出が1.6兆円と全体の35%を占めている。しかし、多くの小売業の現場でインバウンド対応ができていないのが現状だ。

 中でも多言語対応ができていない店が多く、訪日外国人が旅行中に困ったことの上位に「多言語表示の少なさ」との回答が目立った。特に飲食店・小売店が最も困った場所になっている。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、テレビでは全世界で30億人が観るといわれている世界最大の見本市で、近年はインターネット・SNSの普及により発信力が格段と上がり、日本文化・ブランドを全世界に発信するまたとない機会である。

 この絶好の機会を前に、多くの訪日外国人のおもてなしをする飲食店・小売店の多言語対応の向上は喫緊の課題となっている。

訪日外国人が日本人に求めていること

「小売業の多言語対応フォーラム」

 世界中からやってくる訪日外国人の、飲食店・小売店での満足度向上を実現するため、ジャパンショッピングツーリズム協会では1月29日に「小売業の多言語対応フォーラム」を開催した。

 このフォーラムは2部構成になっており、第1部では『小売業の多言語対応ガイドライン』をもとに、今の小売業が直面している多言語対応の問題点を事例を用いて説明。解決策も分かりやすく解説した。第2部では小売りの現場で必要とされる多言語接客コミニュケーションの基礎用語を3カ国語(英語・中国語・韓国語)で学ぶ「ようこそことば勉強会」を実施した。

 多言語対応する上で大切なポイントは、日本人のお客と同じように対応することである。訪日外国人の6割はリピーターで、日本が好きで来ている人も多く、ショッピング体験で求められるのは「日本らしさ」。

 具体的には、笑顔の接客や店舗に在庫がないときに他店在庫を調べるといった人柄の真面目さが良い印象を持たれているので、外国人だからといって気負わずに他の日本人と同じように接することが大切である。また、日本の流行を教えて欲しいとも思っており、積極的にコミニュケーションを取ると喜ばれる。今後もインバウンド需要は増加していくので、最低でも簡単な言葉での接客は必須になってくるようだ。

「ようこそことば」を学んできた

「ようこそことば勉強会」では、訪日外国人を迎える上でのポイントと3カ国語での接客10大用語を、中国・韓国からの留学生の方を先生として迎えて、本場の発音で楽しく学んだ。

「ようこそことば勉強会」

 まず、英語のポイントは、お客を呼ぶときに、男性ならsir(サー)、女性ならma'am(マーム)と呼ぶ。オッケーはOKではなくAll right(オールライト)、Certainly(サーティンリー)と対応するなど、接客に必要で基本的なことを学んだ。

 英語は義務教育から学んでいることもあり、聞き覚えのある単語が多く、分かりやすく簡単に理解でき、すぐにでも実践で使用できる気がした。

 中国語は音の高さが第4声まであり、これをマスターすればきれいな中国語を扱うことができる。第1声は高い声でヤッホーと言う感じ(高く平らに)。第2声はビックリして「えええ」と驚くときの声に近い(中くらいの音程から一気に上げる)。第3声は「あああ」とがっかりしたときに近い(低く抑え、自然に上げる)。第4声は最高から一気に下げる(一生懸命探しましたが、良い例が見つかりませんでした)。

 韓国語は儒教の影響を受けており、目上の人、お客への言葉遣いが尊敬語であったり、助詞・尊敬表現・語順が日本語と似ていて学びやすい言語である。家族を「カジョク」や洗濯機を「セタッキ」と発音する。

 英語・中国語・韓国語の接客10大用語のヒアリングと発声練習を一通り行い、留学生の先生に「皆さん完璧です」とお墨付きを頂き、「ようこそことば勉強会」は、終了と思いきや、最後に理解度を図るためのミニテストを行った。

ミニテストの結果

 ミニテストはそれぞれの状況のときに言う言葉として、適切なフレーズをA、B、Cから選択するというものだった。先生のお墨付きをもらい、絶対の自信を持って挑んだところ、9問中6問正解という何とも言えない結果となってしまった。

 あれだけの自信を覗かせていた英語で一問不正解という結果を受けて、多言語対応は継続して練習を行い、人前で使うことが自分自身のスキル向上につながるのではないかと考えた。

 最後にジャパンショッピングツーリズム協会 情報戦略・広報部の魚住綾氏に今後の展開を伺ったところ、「今後もご要望があれば、このようなセミナーを定期的に開催したいと考えています」と語った。