「オープンMUJI」を起点に地域の人々と交流

地元と連携したイベントやワークショップを開催する「オープンMUJI」

 ワークショップやイベントも定期的に開く。近鉄百貨店四日市店と共同で、地域の伝統工芸や名産品、歳時イベントなどを再発見し、共有スペースや無印良品店内のイベントスペース「オープンMUJI」で広く紹介していく。

 特に「オープンMUJI」は無印良品の独自性を際立たせる象徴的な取り組みだ。南秀康無印良品近鉄四日市コミュニティマネージャーは「これまで無印良品で『感じ良いくらし』を追求してきたが、たどり着いたのは『土着化』だった」と語る。「さまざまな人と人とがつながることを当社が支援し、新たな価値を生み出すことに挑戦する」と言う。しかも「目的は商品の販売ではなく、地域の人々と交流することだ」と言い切る。

 四日市店はコミュニティ型店舗と呼ぶ店としては全国4店目、新店ではイオンモール堺北花田に続く。自身も店長ではなくコミュニティマネージャーと称しているのもそのためだ。

 他にも、近鉄四日市が地域の良さを伝え、にぎわい創出の場の目玉として打ち出す「いいよん!よっかいち」では、両社のプロジェクトチームが発掘した多彩な名産品を紹介し、地域を拠点に日本や世界で活躍する著名人らともコラボする。近鉄百貨店四日市店は物産展や催事にも力を入れる方針で、無印良品と同じ5階で一体感を持たせ新しいイメージで催事を楽しんでもらう考えだ。

地域との共創を色濃く打ち出す無印良品近鉄四日市

 無印良品近鉄四日市の主なコンテンツは「四日市 to GO」「オープンMUJI」「木育広場」「つながる絵本」「香り工房」「刺繍工房」「MUJIユアセルフ」「MUJIブックス」「100円コーヒー」「インテリア相談カウンター」そして「カフェ&ミール MUJI」だ。

地元のお薦め店舗や見どころなどを記した「四日市 to Go」

「四日市 to GO」は地図を大きく張り出し、従業員のお薦めスポットや街歩きで発見した四日市や周辺地域の良いもの、伝統的なものなどを「学べる」「食べる」「感じる」「楽しむ」をキーワードに紹介するコーナーだ。

「木育広場」は木のぬくもりをキーワードにした子供が遊べるスペース。「近鉄百貨店四日市店内には子供が遊べるスペースがなかった。

子供が館内でゆっくり過ごせる場として提供する「木育広場」

『MUJIブックス』の絵本や読まなくなった絵本を提供して次世代につなげていく絵本図書館『つながる絵本』などもあるので、子供がゆっくり過ごし、お母さまがゆっくりと買物できるようにしたい」と南さん。

「カフェ&ミールMUJI]

 

ごはん、みそ汁と旬の素材を使った食事を提供


「カフェ&ミール MUJI」では「素の食」という新フォーマットを投入。カフェメニューから「後世に残していきたい、日本の古来の伝統的な調理法」や「ごはん、みそ汁を軸に、旬の素材を使った食事」「選びやすく料理のラインアップが伝わる提案方法」に刷新。初めてメイン1品とデリ3品を選べるセット販売に切り替えている。

ウオールはそのゾーンの象徴的なアイテムを整然と大量陳列
 

 内装にも産品を活用。萬古焼の不良品を使ったウオールや蔵に眠っていた籠、伊勢木綿を使ったアートなどを飾っている。動線上にあえて象徴的な商品で作ったウオールを配して買物客の興味を引き、大型店ならではの目的地までの遠さを感じさせないように心理的なハードルを下げる工夫をしている。

 自社や自ブランドの魅力を生かしながら、そこでしか味わえないモノやコトを提案する「ローカライゼーション」は、デジタル化や少子高齢化、競合の激化が進む時代の有望な生き残り策だ。成功のためには既存顧客や潜在顧客など地域の人々との共創が欠かせない。無印良品近鉄四日市はそれをいち早く徹底的に実践した。

 今を時めくドン・キホーテの好調要因の1つは個店仕入れである。つまり究極のローカライゼーションだ。行き過ぎたチェーンオペレーションを見直し、ローカライゼーションを再強化する機運が高まっている。それがお客が訪れる理由のある店づくりにつながるのである。

無印良品近鉄四日市
所在地/三重県四日市市諏訪栄町7-34 近鉄百貨店四日市店5階
売場面積/無印良品約2200㎡、カフェ&ミール MUJI約230㎡(約70席)
オープン日/2018年11月20日
展開企業/良品計画

近鉄百貨店四日市店
所在地/三重県四日市市諏訪栄町7-34
改装面積/約6000㎡(1~7階)
年間増収目標/約14億円
総工事費/約10億円
オープン日/2018年11月20日
展開企業/近鉄百貨店

 

※本記事は『販売革新』2019年1月号に掲載されたものです。内容は取材当時のものです。
※『販売革新』はオンラインストアや紀伊国屋書店など大手書店で発売しております。