売場ではあえてウオールを作って見通しを悪くしている。そこまでたどり着くモチベーションを高める一方で、遠くまで歩く心理的なハードルを下げる仕掛けだ。

良品計画は百貨店における新しい大型店の展開モデルとして、近鉄百貨店四日市店の5階に東海地区最大の「無印良品近鉄四日市」を2018年11月20日にオープンした。全館リニューアルを進めてきた近鉄百貨店四日市店と協業し、コンセプトワークにも参画した。「無印良品」のローカライズ戦略や地方百貨店の再生策としても注目される取り組みと新店の見どころをレポートする。

「地域共創型の店づくり」に共感、百貨店の改装に参画

 無印良品は「商品やサービスを通じて、人と人、人と社会、人と自然をつなぐ存在でありたい」と常々発信してきた。今回はまさにそれを具現化した事例と言える。

 地方百貨店は地域住民の「集いの場」としての役割を果たしてきたが、環境変化に伴い、その位置付けも変わりつつある。そんな中で良品計画は「地域とともに成長する店」「地域共創型の店づくり」のテーマを掲げ、百貨店の新たな形態への変革を目指す近鉄百貨店四日市店に共感し、出店のみならず、全館リニューアルのコンセプトワークにも参画。より生活者に寄り添った「毎日来たくなる場所」へと転換する具体的プランを練り上げた。

 近鉄百貨店の梶間隆弘執行役員四日市店長は「今回の改装で百貨店、専門店、コミュニティを融合させながら、地域共創型百貨店として、人・モノ・コトをつなぐ街のプラットフォーム(基盤)を目指す」と意気込む。

 無印良品とのプロジェクトでは店頭のメンバーの意見を店づくりに反映させるため若手を中心に選抜。50回以上のミーティングを重ねたという。

 良品計画は集客力を高め、お客同士、あるいはお客と地域がつながる機会を創出し「地域に役立つ存在になる」ためには大型店が必要と判断。「無印良品」は東海地区最大の売場面積約2200㎡で出店し、顧客の要望が多かった「カフェ&ミール MUJI」も併設した。

 百貨店内の空間づくりでも協業。無印良品が出店した5階の催事場をはじめ、良品計画が百貨店内の共有スペースのデザインを提供。7階のレンタルオフィス「SYNTH(シンス)ビジネスセンター」や各階に設置した休憩スペースで床材や家具の配置など無印良品のコンセプトに沿って編集した空間を段階的に導入していく。

自動販売機「MUJIポケット}
無印良品と近鉄百貨店四日市店がコラボした「シンスビジネスセンター」
 

 シンスビジネスセンターは大阪発のサービスオフィスを近鉄百貨店がフランチャイズ展開するもの。約900㎡にビジネスラウンジとレンタルオフィス(22部屋)、貸会議室を併設した。内装デザインを無印良品と共通化し、ビジネスラウンジにも無印良品のテーブルやソファ、照明などを導入した。ドリンクや汗拭きタオルなどをキャッシュレスで購入できる自動販売機「MUJIポケット」の外部1号機も設けた。