(株)ファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長

「ユニクロがスウェーデン代表選手団にアイテム提供」というニュースを配信しましたが、その会見でファーストリテイリング 柳井正会長兼社長が語った全てのことをまとめたのが、この記事です。4分弱の主催者あいさつでは、日本をはじめとする近代国家の進むべき道に言及し、11分強の質疑応答ではスウェーデンに行って感じたその魅力や、かの地で行いたいことを語り、日本の公式ユニフォームを提供でいなかったことにも触れました。この記事ではお話しになったことを忠実に再現しています。言葉のニュアンスや行間から、柳井会長兼社長の今、ユニクロのこれからを読み取ってみてください。

〈主催者あいさつ〉新しい服の在り方を世界に発信できると確認した

 皆さん、こんにちは。柳井でございます。お忙しい中、お集まり願いまして、大変ありがとうございます。

 今日、メディアの皆さまには新しい国際的なプロジェクトを発表したいというふうに思います。

 われわれ、ユニクロではございますが、スウェーデン・オリンピック委員会との正式なパートナー契約、およびスウェーデン・オリンピック・パラリンピックチームの公式ウエア提供契約を締結しました。

 ユニクロは『世界一のアパレルカンパニーになること』を目指しております。自らのブランドストーリーを世界に向けて積極的に語る段階にあります。ヨーロッパでも急速な店舗展開を続けておりまして、2018年8月、ストックホルムにスウェーデン1号店となるフラッグシップストアを、ストックホルム都市計画の父・スヴェン・マルケリウス設計の歴史的な建造物『スウェーデンハウス』にオープンしました。

 そうしたプロセスの中で、スウェーデンの人々の交流と文化に触れ、スウェーデンという国の先進国としての在り方、文化的な洗練、美意識の高さ、消費者の成熟度、これに大変感銘を受けました。少子高齢化が進む日本をはじめとする近代国家のあるべき姿であると思っております。

 そんな中でスウェーデン・オリンピック委員会から光栄なオファーをお受けいたしました。大変うれしく思っております。

 両者で協議を重ねてまいりました。その結果として、新しい服の在り方、すなわち、「全天候型の新しい快適性を備えた次世代の服」を世界に発信できると確信いたしました。グローバルカンパニーとしてぜひサポートをさせていただきたい。そういうふうに思っております。

〈質疑応答〉日本の公式ユニフォームを提供したいと思っていたが

――これまで『グローバルアンバサダー』という形で個人のスポーツ選手と提携してきた。今回のスウェーデンという国単位でオリンピック選手に対してパートナーシップを結ぶということが、今後のユニクロの商売にとってどういう意味を持つのか。同じような取り組みが増えていくのか。

 

柳井 スウェーデンという国はわれわれが模範とすべきようになっていくと思います。私がスウェーデンに行きまして、まず感じたことは人々の生活に余裕がある。それと人々の間に信頼感、フレンドシップがある。やはり、生活全体を楽しみながら一生懸命生きているという、その普通じゃありえないという、いろいろな人種の人がい、調和しながら素晴らしい社会をつくっている。しかも、文明、文化も進んでいる。余裕がある国、そういう国と一緒にオリンピックの衣料を提供するというのは、われわれにとって新しいライフスタイルを一緒に創っていくということに通じるのじゃないかということで、ぜひ提供させてもらいたいということで、今回の発表に至ったということです。

――今回のパートナー契約はスウェーデン市場の拡大という観点からどう考えているか。

柳井 スウェーデン市場の拡大ということは直接の理由じゃないです。われわれとスウェーデンとの親和性。それとスウェーデンの人たちが生活の一部としてスポーツを本当に楽しんでいらっしゃる。だから、スポーツを楽しむということに対して、それにふさわしい服を提供したい、それが第一の動機であります。その結果として市場が拡大するということはいいことだと思っていますが、拡大ということよりも、スウェーデンの人にもっといい服を提供したいという、そういう想いが強いです。

――ユニクロとして02年のソルトレークと04年のアテネと2回、日本の公式選手団にユニフォームを提供された。柳井さんは常々、日本初のグローバルブランドとおっしゃっているが、今回、スウェーデンと提携するが、20年の東京オリンピックに対して日本での取り組みをしたかったのか、そういう想いは。

柳井 当然、日本の公式ユニフォームを提供したいというふうに思っておりましたが、諸事情によりまして、それができなかったということであります(笑)。しかし、今回、スウェーデン代表を、しかもスウェーデンは小さな国ではありながら、オリンピックで優秀な成績を得ている。その国で公式ユニフォームを得られるというのは、日本代表と同様か、あるいはそれ以上の価値を持つものだというふうに思っております。