マーケティングは人によっていろいろな定義がありますね。普遍的な定義としては『市場(market)での企業活動(ing)』とすることには誰も異論のないところでしょう。

 この『市場での企業活動=マーケティング』において『何を中心に考えるか』は、時代によって変化してきました。今日はマーケティングの変遷を見ていこうと思います。

(1)生産志向

 まずは『需要量に応える製品量を生産できる』ことを目指しました。言い換えると工場を建設し、市場に製品を流せば、作っただけ売れるというもの。

 この背景には好景気が続いたことがあります。かつて消費は美徳という風潮がありました。各企業はこぞって工場地の確保に走り、各地で工場団地が造成され、道路が整備されました。

(2)製品志向

 次に来たのが製品志向。『良い製品を作れば売れる』というものです。良い製品とは、今までに無い新しい製品、品質の良い製品、新しい技術を使った製品です。

 各企業は新製品開発、品質管理、新技術の研究に力を入れました。いわゆる、研究開発部門の強化です。その結果、企業の花形が工場から研究開発に移り始めましたが、この志向は盲目的技術信仰を生み、世の中に必要のない製品の誕生につながります。

(3)販促志向

 好景気が落ち着き始めると、大量に生産する、良い製品を作るだけでは売れない時代が到来しました。ラジオ・テレビの普及と相まって、販促志向が生まれました。

 これはテレビでCMを流す、低価格販売をする、大量陳列する等して『積極販売する』もの。この辺りから、過剰在庫、リベート等販売に関する問題が発生してきます。

(4)顧客志向

 徐々に『作れば売れるのか?』『良い製品を作れば売れるのか?』『店舗に製品を押し込めば売れるのか?』という疑問が出てきました。そこで顧客志向が生まれます。それは『消費者が望んでいる製品を提供する』ということです。

 消費者のニーズ、ウォンツの研究、CS(顧客満足)、CRM(customer relationship management)等、顧客研究の技術は進展しています。特にコンピューター技術の深化のおかげで、顧客の一人一人の情報は広く、深く、早く分析できるようになっていますね。

(5)社会志向

 そして社会志向。『社会へ、いかに貢献する』かということです。所属する業界、立地する地域、社会全体に対し、企業としての存在意義を問い続け、企業活動する考え方です。

 これはネットワーク社会の影響が大きいですね。今まで見えていなかった事実が見えるようになり、また、手に入りにくかった知識が簡単に手に入り、そして情報の伝達速度は増すばかりです。これでは企業は社会に目を向けざるを得ないですね。

そもそもマーケティングもメーカー向けだった

 お気付きになりましたか? 実はマーケティングも『カテゴリーマネジメント』と同様に、そもそもはメーカーよりの経営技術なのでした。チェーンストアの人がマーケティングの本を読むと「読みづらくて仕方がない」との声が聞こえることがありますが、それはこの理由からなのです。

 P.Fドラッカーは「既に起きた未来」という言葉を残しています。その意味は『過去に起きたことをしっかり研究することができれば、未来は必ず予測できる』というものです。

 自分の所属している事業のマーケティングの変遷を研究すると未来が見えてくるかもしれませんよ。