2018年10月19日にリニューアルオープンした「ABC-Mart GRAND STAGE GINZA」。2階の壁画は日本人若手アーティストの キーニュ(Keeenue)が手掛けたアートワークを使用した。

 靴専門チェーン店のエービーシー・マートが好調だ。2018年3~11月までの連結決算では売上高1961億円(前年同期比4.0%増)、営業利益332億円(前年同期比1.7%増)と同期間として3年ぶりに最高益を更新。2019年2月期末には創業40周年の記念配当40円を実施、普通配当130円と合わせて年間配当は170円と大盤振る舞いをする。

 その好調要因の1つとして挙げられているのが、「アスレジャー」(街にも着ていけるようなスポーツスタイル)の流行を追い風に主力のスニーカーが販売好調だったこと。そして、まだ取扱量、売上高構成比は低いものの、アパレルが前年同期比で2ケタ増の高い伸びを記録したことによる。

 片や、スポーツカテゴリー大手のアルペンでは、年明け早々に45歳以上64歳未満の社員を対象に300人規模の希望退職者を募るといった状況。同じように「スポーツ」をキーワードにしていても、カテゴリー総合取り扱い大手のアルペンと、シューズ専門店として成長してきたエービーシー・マートのこの差はどこから生まれるのだろうか。今回は好調なエービーシー・マートの最新業態の取り組みや、克服すべき課題について考えてみたい。

活況を見せる「グランドステージ銀座店」

『ABC-MART GRAND STAGE』は従来の品揃えから高価格帯の靴やアパレルまで取り扱う大型店で全国に15店舗を展開しているが、中でも昨年の10月にリニューアルオープンした銀座店は旗艦店としての位置付けだ。

 銀座2丁目に地上3階建てで内装デザインを、米国シアトルを拠点とした設計事務所の協力も得た上質な空間造り。出店場所自体、海外旅行者のインバウンド需要も期待できるし、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの競技場や選手村・各国のメディア拠点が集中する東京ベイエリアに近いことも出店意図の1つと考えられる。

マネキンを使ってアスレジャースタイルを訴求している。1階のナイキエリア。

 1階は、最新スニーカーで片面をナイキ、もう片方をアディダスと2大ナショナルブランド(NB)を中心とした品揃え。アスレジャースタイルを全身マネキンでアピールして、子供専用コーナーも設置した。

 2階では、その他のスニーカーに加えて直輸入したビジネスシューズを展開。

 3階は関連会社でもあるレザーシューズ&リペア専門店「STUMP TOWN」が出店し、「Danner」や「WHITE’S BOOTS」といったアメリカのブランドを中心とした20万円を超えるハンドメイドブーツなどを取り扱う。建物全体を見渡してみると、ややカオスとも思える世界観だが、フロア単位・コーナーブロックで区切られているため、大きな違和感は覚えないようになっている。 

フォトスポット兼オンライン注文用のデリバリーロッカー。ロッカーはまだ準備中の状態。

 この銀座店、活況を見せているわけだが、その要因には立地の良さが挙げられるだろう。外国人観光客以外でも銀座には幅広い客層を呼び込む素地がある。店舗の広さも含め、若いファミリー層やその上の大人世代に「アスレジャー」の世界観を伝えやすかったと思われる。また、ブランド単位でNBを際立たせる見せ方は、ビギナーを含めた幅広い客層へのインパクトには十分な迫力があった。

 銀座店のオープンに際し、野口実代表取締役社長はマーケットのカジュアル化を受け、「スニーカーやデニム、スウエットなどのカジュアルさに価値を見出すマーケットの頂点で新たなカジュアルの波を作っていきたい」という趣旨の発言をしている。