好不調の要因をつかむ

 在庫消化のあらかたの流れとアイテムごとの好不調をつかめれば、何が要因かも読めてくる。好不調を分ける要因は以下の4点が大きいのではないか。

(1)アイテム構成の流れ

 ファッショントレンドと天候が売れるアイテムの流れを決める。冬場では暖かいとニットやカットの単品が売れ、寒いと防寒アウターや巻物・手袋が売れるが、同じニットでも編み地・ゲージやネックデザインを外すと売れないし、防寒アウターもウール系と非ウール系、その中でもアイテムのバランスで売上げは大きく変わる。

 毎シーズン見ていると、どのチェーンも継続アイテムのバランスを変える程度で新アイテムの導入には消極的で、18年冬もスポーツミックスの要となる中綿のトラックジャケットやベンチコートを手掛けるチェーンはほぼ皆無だった。実績アイテムも継続すれば販売数量は落ちていくものだから、新規アイテムの導入に消極的だと先細りしてしまう。

(2)鮮度と価格とクオリティのバランス

 アイテムを外さなくても、デザインディティールの鮮度やクオリティ、価格のバランスで売上げは大きく変わる。人気アイテムも踏襲すれば年々鮮度が落ちるから、その分、値頃にしていかないと販売数量が落ち込んでしまうし、今シーズンの顧客が求めるクオリティやフィットにしないと外してしまう。クオリティといっても売り手が思う品質より軽さや機能性が重要で、その方が価格との折り合いもつけやすい。

(3)フィットとテイストのずれ

 ファッショントレンドの中でも数字を決定的に動かすのはフィットとテイストで、当シーズンの顧客の好みとずれればてきめんに数字が落ちる。近年は抜けた緩いフィットへ流れており、似たようなアイテムでもジャストフィットな作りだと消化が進まない。サイズ別の消化率を見れば何が起こっているか分かるが、サイズだけでなく作りの緩さ・軽さも必要だ。カジュアルも古典的なアメカジベースからスポーツミックスなアスレカジュアルへと急速に移行しており、この流れを外すと顧客が離れてしまう。

 フィットとテイストはVMDの表現も問われる。トルソーやマネキンへの着せ付けのサイズ選択や着崩し、陳列ラックへの柄物や小物によるリミックスなど、同じチェーンでも顧客を見たテロワールな対応が必要だ。

(4)需給バランスと売価運用

 何も外さないジャストな商品をそろえたとしても、需給の変化に対応しないと結果は出せない。商品を供給しているのは自社だけではないから、ライバル他社も合わせた供給量と需要の関係を見る必要がある。需要に供給が追いつかなければ価格を通せるが、追加供給しないと機会ロスが発生する。需要を供給が上回れば消化が滞るから、キッキオフやマークダウンなど売価変更で対応する必要が生じる。値引きロスを最小化したければマークダウンより早めのキックオフ、店頭のキックオフより早めのECでのクーポン発行、品番単位の売変より店間移動やECサイト限定のSKU単位の売変が肝要だ。

 どのアイテムが供給不足か供給過剰か、以前はつかみにくかったが、今日ではECサイトを一覧すれば簡単につかめる。供給不足アイテムは有力チェーンの自社サイトで早々と欠品・入荷待ちになっているもの、供給過剰アイテムはゾゾタウンなど大手ファッションモールでクーポン発行が氾濫しているもの、と見てほぼ間違いはない。毎週のように点検しないと変化を捉えられないから、バイヤー/MDのルーチンワークにするべきだ。

要因をつかめば対策も見えてくる

 好不調を分ける要因は上記の4点以外にも納期管理や配分・補給・物流などのロジスティクス、CMIとSMIやVMIの使い分けによる個店対応、組織構成や業務分担、指揮系統や貢献評価などガバナンスも無視できない。17年冬はダウンの納期遅れが数字を大きく動かしたし、特定企業の全ブランドがそろって上がったり沈んだりすることも珍しくない。

 こうして見れば、好不調を分ける要因は不調を回避し好調をもたらす施策でもあると理解されよう。自社やライバルの好不調要因を数字だけでなく店頭やECフロント、取引先などから情報を集めてつかんでいけば、次に打つべき手も見えてくる。好不調の要因分析は次の施策を見出す重要業務だと心得たい。