わが国で毎月の売上前年比を公表しているアパレルチェーンはロードサイド紳士服まで含めて15社、しまむら、アベイルまで加えれば17チェーンあるが、その数字の意味するものと要因をつかめば次への施策も見えてくる。

公表数字の見方

 公表17チェーンは末締めのチェーンと20日締めのチェーンに分かれる。末締めが主流で、20日締めはパレモ、ライトオン、しまむらとアベイルの4チェーンに限られる。締め日が違うと曜日進行がずれるから土日や休日の日数、天候の影響も異なって数字も上下する。

 公表されているのは既存店/全店の売上高と客数、客単価の“前年比”であり、売上高を左右した客数と客単価の関係が読めるが、いずれも前年比であって実額ではないから前年の前年比や曜日進行のズレを読まねばならない。加えて近年はEC売上げも含めて前年比を公表しているケースも多く、実店舗の既存店前年比は計算して推計するするしかないが、ユナイテッドアローズだけはECを含む既存店前年比と含まない既存店前年比の両方を公表している(国内ユニクロは前者のみ)。

 EC比率が1桁だった頃はともかく10%を超え、20%、30%というチェーンも出てくると、実店舗とECの伸び率は12〜40ポイントも違うから(公表大手アパレル平均で26.8ポイント差)、販売の実態がつかみ難くなる。両方を公表しているユナイテッドアローズ(直近半期のEC比率19.1%)では四半期単位で3〜5ポイントも前年比に差が生じている。

 

 株式公開企業など毎月の売上前年比を公表するチェーンは米国でもリーマンショック前は15ほどあったが、倒産や売上げの低迷、ECの拡大で公表するチェーンがどんどん減り、今やギャップも公表しなくなって、公表しているチェーンはLブランズ(ビクトリアズシークレット/バス&ボディワークス)とバックル、ズミーズ、キャトーの4社になってしまった。

 米国や英国の場合、C&Cが進んで店受け取りや店出荷も多く、店舗とECのどちらに計上するか各社まちまちで、四半期/通期の決算でも店舗売上げとEC売上げを分けて公表する企業はまれになってきた。わが国でも経済産業省のEC統計値など実態との乖離が疑われ、今後はEC込みの前年比を公表するようになると思われる。

在庫消化の流れを読む

 各社の公表値は前年比であって売上げの実額ではないから、公表値から在庫消化の流れを読むのは難しい。それを読むには月々の売上実額と月末在庫の推移が最低限必要だから、在庫は無理でも売上げの実額を推計しなければならない。平均的な数店舗の売上げをつかんで月販売指数のパターンが読めれば、それを元に直近の前年比から売上げの流れは読める。それと合わせて毎月の店頭在庫の流れと値引き訴求を見れば、あらかたの在庫消化のフローは想像がつく。

 毎月の店頭在庫の流れといったが、定型的なパターンはあってもチェーンによって売場構成と在庫運用の手法は異なるから、そのチェーン特有の運用パターンを見抜かないと在庫消化の流れは見えてこない。台帳運用中心のチェーンは棚の欠品と値引きを見れば大枠はつかめるが、不定形なアナログ編集で回すチェーンは読みにくいし、どちらもDC在庫まで読めるわけではない。

 個々のアイテムが消化不振か否かはキックオフやマークダウンのタイミングと値引き幅で見るが、先読みするにはECサイトの値引きやクーポン発行を一覧すればよい。逆に再入荷待ちだったり、主要色が欠品していれば、人気で不足気味だと分かる。