今回は、あまり語られない「小型店の展開で必要になる商品戦略」について、分析した。

 最近、都市部への小型店出店に関する話をよく耳にする。これは人口減や都市部への人口集中を背景とするコンパクトシティ化の動きから、いわゆる『ミニスーパー』のような小型店への関心が高まっているためだろう。ただ、その一方で「ミニスーパー展開にあたり必要となる商品戦略とは?」というと、あまり語られていないように思う。

 ミニスーパー展開に必要な戦略を体現するのは要件が幾つかあるが、今回はその中で特に重要な「売場面積に制約がある中で置くアイテムをどう絞り込むか」を取り上げる。ミニスーパーでのアイテム絞り込みの実例をもとに、ミニスーパーの商品戦略の一端について分析を行っていく。

ミニスーパーにはSM型とコンビニ型が存在する

 まず「ミニスーパーは誰がどのように使っているのか」というデータから商品展開のヒントを得よう。今回はSCIデータを用い、分析を進めた(インテージは5万人のモニターから日々の買物データを集めており、「どのような人が、いつ、どこで、何を、いくらで、何個購入したか」が分かる)。

 分析の対象は、首都圏中心に多店舗展開するミニスーパーのまいばすけっととマルエツプチ。両者の利用のされ方について探ったが、その際、イオン、マルエツ、SM平均、コンビニ平均と比較し、それぞれの特徴を浮き彫りにした。

 まずは「ミニスーパーがどのように使われているか」を、購入品目分析で明らかにした。図表①は各チェーンでの購入品目構成比(金額)を表したものだが、まいばすけっととマルエツプチでは異なる傾向が確認できた。

 まいばすけっとでは「飲料」と「嗜好品」が大きな割合を占め、コンビニに近い品目構成比である。一方、マルエツプチは「生鮮・惣菜」の割合が最も大きく、ほぼスーパーマーケット(SM)と同様の構成比となっている。同じミニスーパーでも、購入品目で見た場合はコンビニに近いもの、SMに近いものがあるようだ。

 

ミニスーパーにはSM、コンビニと異なるニーズあり

 一口にミニスーパーといっても利用のされ方に違いがあることが分かったが、では具体的にはどのような人に利用されているのだろう。購入者の家族構成を比較すると(図表②)、どちらも単身者世帯の構成比がSM・コンビニよりも高く、ミニスーパーは単身者に多く利用されていることが分かる。利用のされ方ではSM・コンビニに近い傾向があったまいばすけっと、マルエツプチだが、利用顧客が異なるため、この特徴を考慮した品揃えが求められるであろう。

 

 そこで、ニーズを深掘りすべく、購買履歴からその人のニーズを理解する分析手法を用い、それぞれの利用顧客の違いを確認した(ここではインテージの『Genometrics』を使った)。今回は利用顧客を「高付加価値志向」「健康志向」「利便性志向」「価格志向」の4つのセグメントに分類。図表③で示した。

 まいばすけっとの顧客ニーズはコンビニと類似しているが、利便性志向の顧客が全体の半数を占めており、コンビニ以上に利便性ニーズに特徴があった。一方、マルエツプチでは、高付加価値志向の顧客が半数、利便性志向顧客も3割を超え、SM・コンビニとも異なる特徴的な顧客構成になっていた。

 

 ここまでで分かったことを整理すると、次のようになる。

「まいばすけっとはコンビニに近い利用のされ方をされるが、顧客の利便性ニーズはコンビニ以上に高く、マルエツプチはSMに近い利用のされ方だが、顧客ニーズはSMにも、コンビニにもない特徴がある」

 つまり、顧客にとって、ミニスーパーはSM・コンビニに似た役割を持っているものの、それだけに留まらない独自の差別化ポイントがあるというわけで、この部分こそがミニスーパーの魅力につながっているのではないだろうか。