「競合の新規出店に加え、ネット通販によって、前年割れが続いています。人時生産性について取り組まなくては……と考えているのですが」

とあるチェーンの経営者からのご相談です。

――Amazonを使ったことはありますか?

「いいえ…」

――お時間をつくって、Amazonで「売り・買い」をやってみてください、とお伝えすると

「ネットはあまり詳しくないので……」と声が小さくなります。

 Amazonが、コンビニが、ドラッグストアがと、不振理由を上げる方は多いのですが、彼らが何をどうやって稼いでいるのかに興味をもっておられるチェーン経営者が少ないのにも驚かされます。

アマゾンのアルバイト採用単価は1500円

 創業者・ジェフベゾスが小売りチェーンのウォルマートを徹底研究して、あの通販モデルを創り上げた話は有名です。そして、今やネット通販では、世界最大の規模と企業価値を誇るまでになりました。

 最近、話題となったのは、その採用アルバイト単価の高さです。Amazonのアルバイト採用単価は時給1500円。物流センターは24時間稼働ですから、深夜はさらに高くなります。コストコが1200円時給をつい先日発表したかと思えば、それを上回る金額です。

 一方、小売りチェーンの首都圏のアルバイト単価は、時給1000円前後。それで、このままでは利益が出ないと大騒ぎをしているのに、なぜAmazonではこんなに高い時給が出せるのかということです。

この時給を出し続けても採算がとれる仕組みがある

 理由は簡単で、この時給を出し続けても十分採算がとれる、人時生産性が確保できる仕組みで回っているからです。

 Amazonの物流拠点となる、フルフィルメントセンターでは1拠点当たり数千人規模の従業員が働いています。

 そこには Amazonのホームページからアクセスした人や企業が、売り・買いが素早くできる商品注文、決済、物流の3つの機能が備わっています。

 もともと、Amazonはアメリカで本を通信販売で売り始めたのがスタートです。本は荒利が低く、品数が膨大で、重くて、場所をとる。顧客にとっても、新刊やちょっとした専門書となると、都心の大型書店に行かないと買えない。近所の書店に注文すれば2週間前後かかるといった、売り手も、買い手も本当に労力が必要な商品でした。

アマゾンは売り手と買い手の問題を解決した

 その両者の問題を徹底的に解決し、多くの顧客にそのメリットを提供するプラットフォームとして創り上げたのがAmazonです。今や生鮮食品を含め、2億アイテムといわれる商品の取り扱いオペレーションは、他ではマネのできないものとなっています。

 実際に、アカウントを設定し、出品してみると分かるのですが、とても簡単にモノを売ることができます。出品 注文、決済、物流の業務をインターネットで申し込むだけで、一手にやってくれるのです。

 ビジネスアカウント登録をして有料会員になれば、Amazon倉庫に納品し発送してもらうことも可能です。

メーカーは通販部門を置かなくて済む

 メーカーや製造業各社にとってみれば、通販部門を置かなくても、Amazonを使うことで、販売、決済、配送を自動的にやってくれる仕組みにのせることができます。

 出品には手数料は掛かるものの、販売完了から支払いまでのサイトが10日ほどであることから、出品者の資金繰りが軽減され、出品のハードルが低く抑えられています。そのため、多くの出品者が参画することから、取り扱いアイテムが多くなり、ないモノはないといった前代未聞の品揃えとなっていったのです。