昨年12月は初め頃は夏日を記録するなど、とても冬のコートなんか売れるような気温ではなかった(12月4日の東京都の最高気温は23.4℃と翌5日も含めて20℃超えを記録)。後半に入ると今度は極端な寒波に見舞われ、1カ月の平均では東京の最高気温は12.1℃、最低気温は4.7℃だったが、極端な気温の上下動に翻弄されたのがこの月のファッション業界だ。

 

 月次の営業成績を20日締めする企業(しまむら、ライトオン)は先月の「ブラックフライデー商戦」を数字に取り込めたが、後半戦は厳しい内容になった。一方の月末締め企業(ファーストリテイリング、良品計画、アダストリア)は前年同月比で休日が1日多かったのも好結果で終えられた要因の1つだった。

*しまむら(既存店)売上高 92.2%、客数 92.4%、客単価 101.2%

 ブラックフライデーのテレビCMを中心に販促に注力し、婦人ニットや紳士NBカットソーなどの販売は好調。今年も「ブラックパック」という福袋を多数そろえて「ブラックフライデー商戦」に備えた。メンズでは新日本プロレスコラボ(税込3000円)、レディスではディズニーパジャマ(税込2000円)が人気だったようだ。

 ただ、中旬まで気温が平年より高く、防寒アウターやパジャマなど冬物商品の販売に影響したことで、売上高は前年実績を下回った。これで既存店前年実績割れは8カ月連続と依然厳しい状況が続く。そして、野中正人代表取締役会長が12月31日付で退任。体調悪化を理由に本人からの申し出があったようだが、野中氏は2005年に社長就任後、積極的な出店や低価戦略で同社の成長をけん引してきただけに、今回の突然の辞任は驚きとして受け止められた。新たな会長職は置かず、代表権者は北島常好社長のみとなる。

*ライトオン(既存店)売上高 98.5%客数 98.8%客単価 99.6%

  ミリタリーアウターやスウェットトップスなど好調に推移した商品もあったが、例年に比べ気温が高い日が多かったこともあり、防寒アウターや防寒ボトムス等の冬物商品の販売が伸び悩んだ。メンズでは廉価タイプのMA-1(税込3900円)、チャンピオンの裏起毛プルパーカー、レディスではマルチウエイのモッズコートなどの動きが好調。「ブラックフライデーセール」ではキッズの790円(税込)シリーズにも人気が集まった。ディズニー、PBのMOCOMOCOシリーズ、ボトム各種もお値打ち感としてしっかりと訴求できたようだ。全体的に「ブラックフライデー」期間の販売は好調だったものの、翌週以降のWinter Outer Campaign(アウター含む1万5000円以上の買い上げでコーヒーグッズ4点セットのノベルティ付き)は、「ブラックフライデー」明けの反動対策にまでは至らなかったようで、既存店の同月比は売上高、客数が2カ月連続して前年に届かなかった。

アダストリア(既存店)売上高 104.9%、客数 102.3%、客単価 102.5%

 12月は前年より休日が1日多く、中旬以降、冬らしい天候となったことで、冬物衣料の売れ行きが加速した。ブランド別ではグローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファーム、ジーナシスなどがけん引。アイテム別では前月に続いてコート、ブルゾンなどのアウター、ニット類が売上げの中心になり、マフラー、ブーツなどの服飾雑貨も人気だった。

 2019年2月期第3四半期決算をみると、直近3カ月(18年9月~18年11月)の国内既存店売上高は前年比を103.1%と記録(9カ月累計は98.3%)。これは第1四半期から取り組んでいた次の3つの施策による効果だ。

(1)商品力強化のための意思決定、情報共有のスピードを上げる環境整備

(2)メリハリある価格設定により値下げ販売を抑制

(3)基幹ブランドが全社をけん引(ニコアンドが好調を維持、グローバルワークとローリーズファームが回復)

 これらに基づき、主要SC施設のセールタイミングに合わせるように、12月22日からSALEを全面に打ち出したが、従来と比べてきめ細かな値下げ率も功を奏したようで、客単価を落とさずに既存店売上高の前年実績をクリアしている。