〈M&A〉SMにHC、ドラッグストアも。百貨店は?

『救済合併は今後も行われていくが、さらに寡占化が進行していく中で強者同士の連携も起こる可能性も高まっていく。そして、M&Aの新たな担い手も登場し、全く異なる業種からのアプローチも増えていく。そして、米国でアマゾンがホールフーズ・マーケットを買収したように、国内でもネット企業がリアルにM&Aを仕掛ける可能性も大きい』

 北海道のアークスと岐阜のバローHDが、九州のリテールパートナーズも加わり、「新日本スーパーマーケット同盟」を結成したのは、地域が重ならないローカルの雄同士の連携である(詳しくは『19年は「SMの業界再編が急加速!」』)。この同盟はさらに連携を呼び掛けており、加わるチェーンも出てくるだろう。

 そして去就が注目されるのは、近畿では平和堂、オークワ、首都圏では三和、東北ではヤマザワ、関東甲信越ではアクシアル リテイリング。どのような動きが起こり、どのようなアライアンスの形となるのか興味深い。一方、受け皿となる企業は、イオン、セブン&アイ・HD、ドンキホーテHD、エイチ・ツー・オー リテイリングといったところ。意欲はあるが動きのなかったライフコーポレーションの動向も要注意だ。新日本スーパーマーケット同盟と組めば、それこそ業界再編に大きな影響を与えるだろう。

 ホームセンター(HC)では4月にバローHDがダイユー・リックHDを傘下に収め、両社のHC事業が統合されるが、さらなる動きも予想される。ドラッグストアでは中小チェーンの大手グループ入りの流れが加速していくだろう。

 

 個別企業の動向も注目される。百貨店では、再建が進まないそごう・西武をセブン&アイ・HDがどうするのか、見切るとなると、買収先は首都圏での事業拡大のエイチ・ツー・オー リテイリング、不動産ビジネスとしてのJ.フロント リテイリングが有力だ。

 そして、昨夏、ウォルマートによる売却が報道された西友の将来がどうなるのか。今年はその結論が出る可能性は五分五分で、売却となるとファンド以外は有力視されているドンキホーテHDだろう。

 ドンキは海外でも事業を拡大しようとしている。年初にはタイに進出、2月には社名もパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスに変更し、環太平洋エリアでの事業展開を活発化させる。

 シンガポールでは既に人気店となっているが、海外事業で陣頭指揮を執る取締役に復帰した創業者の安田隆夫の手腕が注目される。

10年後を見据えた戦略を立てる必要がある

 このように予測される大きな流れを見てくると、小売業界が大きな曲がり角を迎えているのは明らか。2019年はポスト2020年に向けた助走段階と位置付け、10年後を見据えた戦略を立てるべき時期といえるだろう。

 そこでは、IT、IoT、スマホペイ、自動倉庫といったニューテクノロジーの活用に加えて、持続可能で多様性と包括性のある社会を実現するための「SDGs」、環境や社会に配慮した倫理的な「エシカル消費」、人とつながる「コミュニティ」といった社会的要素も考える必要がある。

 そして何より、ビジネスとしての全体最適を見据えて、小売りにとどまらない商品やサービスを生活者に届ける最適なサプライチェーンの構築が求められる。

 2019年は、山あり谷ありの波乱の年となることが予想され、小売業を取り巻く環境は厳しく、臨機応変に対応する場面も昨年以上に出てくるだろう。